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第十三章 運命の入れ替え戦! Ⅱ

 審判を真ん中に選手たちは横に並び、貴賓室を見上げる。窓からバジョカ大王が選手たちを見下ろしていた。

 その少し後ろに、ミシェロが控えている。


「静粛に!」

 無口な警備兵だが、この時は観衆に向かって静かにするように促し。観衆もそれに従った。

 熱狂の轟きから一転して、引き締まるような静寂がコロッセオを包んだ。


「双方の健闘を祈る。悔いが無いよう、最後まで戦い抜け!」

 バジョカ大王のよく通る声が選手にふりそそがれる。とはいえ、広いコロッセオである。格所のスタジアムDJピエロが、厳粛に起立し、バジョカ大王の言葉を伝え広めてゆき。


 やがて、

「うおおおーーー!!!」

 という熱狂の雄叫びが轟いた。


 皆で握手を交わし合って、ジェザと相手キャプテンでミッドフィルダーのダライオスがコイントスを行ない。ファセーラのキックオフで試合が開始されることが決まった。

 それから、それぞれの自陣の真ん中でそれぞれの選手たちは円陣を組み、必勝を誓った。


 テンシャンにローセス、シェラーンも祈るように手を組み勝利を強く祈る。

 観客席はいつもの貴賓室と雰囲気が違う。サポーターと言わず、コロッセオ、ひいては試合そのものの息遣いが全身で感じられて。

(癖になりそう)

 などと考えてしまった。


 円陣が解かれて、各選手たちはそれぞれのポジションにつく。

 シェラネマーレもファセーラも4-4-2のフォーメーションだった。

 ファセーラのフォワードの選手がピッチのセンターのボールのそばにいる。


 ぴー、と審判は笛を吹いた。

 キックオフだ!

 両クラブのサポーターは声を大にしてチャントを歌い上げてくうを揺らし、コロッセオを喚声で包み。

 大旗が上下してはためく。

 この瞬間、コロッセオはひとつの生命体になったかのような雰囲気に包まれて。そこにいる人々すべてが一体となった。


 ボールはまずファセーラ側に転がされて、真ん中、ボランチと呼ばれる位置のミッドフィルダーのダライオスが受け。右斜め前に転がし。右ミッドフィルダーの選手がドリブルする。

 その間にファセーラのツートップが前に進み出ようとする。


 ボールは龍介から見て向かって左側にもたらされた。

「させるか!」

 ジェザがボール目掛けて駆けるが。相手ミッドフィルダーは進み出たフォワードに向かいパスを放った。


 相手フォワードに迫るのはトゥーシェン。ふたり上空のボールを睨んで並び、跳躍し空中戦でボールを奪い合おうとする。

 高さはトゥーシェンが勝って、頭でザンジャに向かって落とした。

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