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第八章 最終節に臨む Ⅱ

 でも……。

(1部でも十何人って少ない方じゃないか?)

 順位が順位だけに、1部のトップリーグでもファンやサポーターが少ないというのもうなずける話だ。


 あの試合での観客数は、2万8千452人だったとあとで聞いた。が、それは立地条件のよさのおかげで、目当てはあくまでもサッカー観戦で、シェラネマーレそのものを応援する人は少なかった。

 しかし、数の多い少ないの話ではない。という事ぐらいはわかる。


(どこも一緒なんだな)

 ファンやサポーターの気持ちというものは。

 止める、蹴る。という基本に徹した練習をし、最後にミニゲームをして試合を締めくくったあと。

 監督や選手たちメンバーは脇にいるサポーターたちのもとまで来て。一列に並び、背筋を伸ばして。

「ありがとうございました!」

 と、一礼をして感謝の気持ちを伝えた。


 見学のサポーターたちは、「頼むぞ」「頑張れ」と声援と拍手を送ってくれた。

 もちろん龍介にもだ。

(すげえなあ。こんなことまでするのか)

 後でリョンジェが言ってくれたが、これはシェラーンの意向でレガインも賛同してしていることだという。

(シェラーンらしいな)

 彼女は貴族でありながら威張ることもない。


「あとは、オレたちがその恩に報いるかだが……」

 練習が終わり、練習場を後にするとき、リョンジェは歯噛みしながらつぶやく。

「じゃあな」

 練習場は郊外にあるが、皆それぞれ馬車に乗ってきており。それぞれが帰路につく。龍介も屋敷に帰り、身体を休めた。


 そんな風に、ストイックに日々を過ごし。

 ついに迎えた最終節。

 場所は第3コロッセオ。第3コロッセオは街の南西にあり。街中とは言え徒歩では遠く、馬車に乗せられて前日に出て、近くの宿に宿泊し。そこで最終節の日曜日を迎えた。


 選手やクラブのメンバー一同朝にコロッセオ入りし、練習をしてどのように試合を進めるかの最終的な打ち合わせをして、宿に戻った。

 それと入れ替わるように、対戦相手のギュスノーヴがコロッセオ入りして、同じように練習をこなし、どのように試合を進めるかの打ち合わせをした。


 ギュスノーヴのユニフォームは、白で胸に赤色で楔形文字のような文字でクラブ名が、左胸に帆船のエンブレムが貼られていた。

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