表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/40

第4話 異世界でも働きたくないでござる

 ともちゃん、大変です!

 迷惑を掛けたくないという私の矜持が今ズタズタになっています!

 ズタズタになるほどおしっこやうんちをしています!

 何度やっても下着をつけたままおしっこやうんちをすることになれることができません!

 下着は天使が代えてくれていますが、罪悪感がハンパないのです!

 そしてその度に息子と息子の息子の成長を確認されています!

 この人は将来絶対に息子の成長を確認するとしょうして隠しているエロ本のネタをチェックするに違いありません!

 そしてきっと学校から帰ってくるとそっと机の上に置かれているのです。

 男の性欲がどれほどのものかは知りませんが、絶対に耐えてみせようと私は心に誓いました……。



 転生して早二ヶ月。

 私は天使やメイドさんたちの会話から色々なことを知った。


 まず一つ目は当然ここが地球じゃないってこと。

 簡単に言うとファンタジー世界。

 剣も魔法もあるらしい。

 もう魔法にはびっくり。エフェクトは綺麗だし超便利。

 そりゃあ、魔法のある世界だと科学なんて発達しないなと納得したよ。


 そして二つ目は言葉が分かるってこと。

 天使さんたちがしゃべっている言葉は日本語の発音じゃないけど、普通に意味が理解できる。

 理由はよく分からないんだけどね。

 当然文字なんかも普通に読むことができた。


 そして三つ目はどうやら私が貴族のご子息として産まれてしまったらしいってこと。

 何でも天使の旦那さんはこの国に一つしかない侯爵家の次期当主なんだとか。

 侯爵家と言えば、王族の血を引いてない貴族の中で一番偉い爵位になる。

 しかも男の子。

 しかも第一子。

 しかもママが天使!あ、これは関係ないか。

 だから屋敷にはメイドさんだっているし、ママは天使みたいに綺麗!あ、これも関係ないか。


 しかしこれはひじょーに不味い事態である。

 私はこれでも『絶対に働きたくないでござるSNS』の創始者だ。

 例え世界が変わったとしても働くつもりなんてない。

 だって私は働けないのではなく、自分で働かないことを選択したのだから。

 状況が変わったので働きますなんてことは口が裂けても言えない。

 まだ地球では働きたくない仲間たちが頑張って生きているはずだしね。

 働かないことっていうのは私たちにとってはある種の社会活動だった。

 そう。働かないことはいくら選挙をしようが政権が変わろうが、変わることのない社会に対して力無き私たちができる唯一の抵抗だったわけだ!


 とまぁ色々と言葉を並べてみたわけだけど、正直理屈なんてどうでも良いんだよね。

 つまるところ私は働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる!


 とは言え、働かないことイコール怠けるって意味じゃない。

 私にはこれでも二十年以上頑張って生きてきた歴史がある。

 さらには『働きたくないでござるSNS』で培われた偏った知識。

 これらを駆使して私は働かないための方法を模索するのだ!


 単純に働きたくなければ専業主婦になれば良い。

 専業主婦にも家事があるって?いやいや、私が嫌なのは社会や会社や組織に飼い殺されること。

 別に家族のために家事するのは嫌じゃないよ!

 だって将来の夢は実家で家事手伝いすることだったしね!


 でも残念ながら男の子に産まれてしまった時点でその案は没。

 専業主夫というものも考えてはみたけど、優秀な奥さんを捕まえて侯爵家の運営を○投げして、私は裏でひっそりと家事。

 最初はこれだ!と思ったけど、鏡を見て諦めることに……。


 まだ産まれて数ヶ月だから顔の良し悪しもそこまではっきりしてるわけじゃないんだけど、ママにびっくりするほど似てないんだ。

 それはもう本当にママの子供かどうか疑うレベルで。

 黒髪黒目……って時点で一瞬前世の自分を思い出すけど、中身がもうぜんぜん違う。

 目の形とか鼻の形とかは物凄く良いんだけど、とにかく目つき……というより眼光が凄まじく鋭い。赤ちゃんでこれだったら、大人になったらどんだけ凶悪な顔になるのか想像するだけでも恐ろしい。

 しかも笑顔とか超怖い。もうまるで獲物を追い詰めた捕食者のような笑み。

 ママは一体どんな悪魔と結婚したのよってツッコミたくなるレベルだよ。

 私が笑うと新人メイドの子とか普通に怖がるしね。

 ママはパパそっくりって喜ぶんだけど、明らかに趣味が特殊過ぎるから何の参考にもならない。

 だからもう専業主夫……というより恋愛も結婚も諦めてる。

 きっと何もしなければ嫌がる女の子が権力に抗えず無理やり嫁がされて来そう。というか絶対そうなる。


 でも私は当然侯爵家なんて継ぐ気はない。

 だからとりあえずは普通に生活していきながら働かないで済む方法を模索してみようと思ってる。

 そう。普通に。

 普通っていうのは下着の中にうんちやおしっこをしないこと。

 うぅ…………一体いつまでこの仕打ちが続くんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ