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第28話 メロンに惑わされることなく働かない勇気!

「それでは皆さん十九ページを開いてくださいね」


 私たちの担任はおっとりとした年若い美人の先生である。

 しかもおっぱいがメロン。

 だから質問を当てられた男の子は嬉しそうにする。

 おっぱいがメロンだから。


「それじゃあ、そのページの一行目からロルス様に……」


 この先生は単純に席順で当てていく。

 そしてちょうど私の番が来た。


 正直この年になって「はい」って手を上げて答えるのは相当に恥ずかしい。

 私は来たるべく羞恥心を噛み殺しながらチラっと上目遣いで見た。


「ひぃっ!」


 先生が悲鳴を上げて顔を教科書で隠してしまう。

 そして机の向こうで可哀想なくらいガタガタと震え始めた。


「ロ、ロルス様に朗読をお願い申し上げますのは非常に恐れ多いのでありま致しますれば、後ろのバード君お願いします」


 ちょっと先生!言葉が変になっちゃってるよ!

 しかも小学一年生相手に様付けとか勘弁してください!晒し者ですか!


「すげー。先生にも容赦ねぇ。すっげぇ!!!」


 と、それを見た男の子たちがざわつき始める。

 女の子の中には目に涙を浮かべてる子までいる。

 え、これって私が悪いの?ねぇ?ねぇ!!!


 これはもういっそのこと仮面でも付けたほうがいいんだろうか。


 某ロボットアニメなんかにはそんな人も時々いるけど、リアルでそれやっちゃったらかなり痛い人だよね。トモちゃんに大佐とか呼ばれそうだし……。




 そしてお昼休み。


「というわけで仮面を付けよう思います」

「一体どういうわけよ……」


 結局背に腹は変えられず、私はトモちゃんに相談することにした。

 ちなみに小学校の間は給食となる。しかも配膳はメイドさんが全部やってくれる。私たちはただ準備ができるまで座って待っているだけでいい。

 うん、どう考えてもダメ人間製造所でしょ。

 まぁ私としては楽ができるのはありがたいけどね。

 自慢じゃないけど生活能力なんて前世の頃から皆無だから!

 ほんとに自慢にならないな……。

 というわけで配膳されたお昼ご飯を食べながらトモちゃんと話している次第なのであった。


「どんな仮面がいいと思う?」

「能面」

「いや怖いよそれ!はぁ……真面目に考えてよね」

「って言ってもね。もうその目がダメだから仮面しても意味ないと思う」

「た、確かに……」


 仮面の隙間からギロッと自分の目が覗いて見えてしまったら多分気絶するだろう。私が。


「じゃ、じゃあ仮面は置いておくとしてサングラスとか……」

「それだとヤ○ザくらいまでには緩和されるかもしれないわね」

「ダメじゃん!?」

「覆面してサングラスしたら不審者くらいまでには緩和されるわよ」

「却下!却下します!」

「じゃああの魔法は…………そういえばダメだったわね」

「うん……」


 変装魔法『ファントムフェイス』はその名のとおり別人に見える魔法。これは幻覚魔法によって別人の顔を三次元描写する魔法である。ちなみにその顔のモデルは前世の私の幼少期を参考にしてるんだけど、それでも女の子に間違われない前世の私って一体……。

 い、いや、それはいい。それはいいんだけど、まずファントムフェイスが使えることが知られれば、何かあったとき私が疑われることになるかもしれないし、とにかく疑われる原因となってしまう可能性が高い。

 ただでさえこの顔ってだけで疑われそうなのに……。

 だから私はあの魔法が使える事をトモちゃんとメアリとエメラルダさんにしか言っていなかった。


「じゃあ着ぐるみ」

「却下」

「包帯」

「却下」

「フルフェイスヘルメット」

「却下」

「貞子」

「却下」

「……文句が多いわね。それでも男の子なの?」

「いやいや!トモちゃんは私を晒し者にする気!?」

「割と」

「割と!?」

「冗談よ」


 そう言ったくせにトモちゃんは私の顔を見てプッっと吹き出した。


「今笑った!今想像して笑ったよね!?」


 こっちは本気で困ってるっていうのに!


「……気のせいよ、多分」


 そう言いながらも目を逸らすトモちゃん。

 多分ってそれ否定する気ないよねそれ……。


「仕方ないわね。確か城にいいものがあったはずだから明日持って来るわ」

「え!?ほんとに!?で、でも、いいの?それって城の備品とかじゃないの?」

「いいわよ。備品というより美術品だし」

「それ余計に悪いと思うんだけど……」


 私がそう言ってもトモちゃんは「いいのよ。美術品に興味がある人なんて趣味の悪い馬鹿貴族くらいなんだから」と言って翌日さっそく持って来てくれた。

 あの、私もその馬鹿貴族なんですけど……。

 しかしトモちゃんが持ってきたものはある意味私がその言葉を飲み込むに十分なものだった。

 だってこれは……。

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