登場人物紹介
織田家
織田兵庫頭信顕
本作の主人公。大河時代劇に登場した北畠顕家に憧れをもつ薬丸自顕流の剣士だったおっさんが死んだ後、何の因果か北畠家を潰し、後の世に“戦国の不覚人”と蔑まれる織田信雄（茶筅丸）に転生した。
織田弾正忠信長
言わずと知れた“戦国の覇王”。しかしその実態は、家族が大好きな親父。
織田勘九郎信重
信長の嫡子。少し信顕に対してコンプレックスを持っているものの良いお兄ちゃん。
吉乃
信重・信顕・徳姫の母。信長の事を“三郎”と呼んでいる。
徳姫
信顕の妹。共に育ったため屋敷の剣の稽古をしていた信顕に影響を受け、剣術の稽古が好きなお転婆娘。時には父・信長につれられて鷹狩りなどにも出かけていたため火縄銃の扱いにも慣れている模様。“生駒の鬼姫”という異名を持つ。
川之辺寛太郎顕長
元河原者の若者で、とある事情から茶筅丸と出会い妹共に生駒屋敷で暮らす様になる。
石川五右衛門顕恒
元は伊賀の百地丹波守配下の忍びで、三河の服部半蔵の要請で三河に向かう予定だったのだが、その途中で出会った茶筅丸に傾倒。百地丹波守の許しを得た上で生駒屋敷に転がり込んだ。
竹中半兵衛重治
今孔明と称されるほどの知恵者。美濃攻略のために調略に動いた茶筅丸と出会い押し掛け傅役となった。
前田蔵人利久
荒子城の城主であったが、信長の意向により弟・前田利家に前田家の当主を譲ることとなり行き場を失った所を茶筅丸にスカウトされた。
前田慶次郎利益
利久の養子で本来ならば次代の荒子城城主だったが利家が前田家当主となったため織田家を出奔するところだったが、利久と共に茶筅丸にスカウトされた。助右ヱ門とは竹馬の友。
奥村助右ヱ門永福
元荒子城城代。利益と共に次代の前田家を背負って立つはずだったが、当主が利家に代わったことで利益と共に織田家を出奔するつもりだった。慶次郎とは竹馬の友。
小野和泉守政次
元は遠江井伊谷の井伊家家老だったが、今川・武田・徳川の三家の争いの中で井伊家を存続させるために汚名を被り自らが死ぬことに活路を求めたが茶筅丸に諭され、井伊家を致仕し茶筅丸に仕えることとなった。
柴田左京進勝家
元は信長の実弟・信勝の重臣だったが信勝が反旗を翻したため、信勝の死後も冷や飯を食わされていた所で美濃攻略の足掛かりにと墨俣築城を秀吉と共に成し遂げて以降、美濃の国人領主調略、上洛戦での観音寺城攻略等々秀吉と共に武功を重ねていった。その裏には茶筅丸の様々な助言があったため茶筅丸に対し信長に対するのと同等かそれ以上の忠心を寄せている。
南伊勢攻略でも一軍を率い大いに武功を重ねたことで、信長からもその力を認められ、美濃岩村城城主となった信勝の遺児・遠山左衛門尉信澄の後見として信濃方面から迫る武田に睨みを利かせる大役を命じられた。その際、前岩村城城主・遠山大和守景任の未亡人・お艶の方と婚姻した。
木下小一郎長秀
木下藤吉郎秀吉の実弟。最初は茶筅丸に懐疑心を抱いていたが、数々の献策を立て難題を解決して行く茶筅丸に心酔するようになった。上洛戦後、前野将右衛門との諍いを機に兄・秀吉の元を離れ蜂須賀小六郎と共に柴田勝家の下に身を寄せていたが、南伊勢攻略戦を機に信顕の家臣となる。妻のお藤の方は六角家の重臣・平井加賀守定武の娘。
蜂須賀小六郎正勝
元は川並衆の頭領で、前野将右衛門と共に秀吉に仕えていた。茶筅丸の生家・生駒家とは縁戚関係に在り、茶筅丸の伯父・八右衛門と親しい関係だったことから頭角を現す茶筅丸を微笑ましく見ていた。小一郎長秀と同じく前野将右衛門との諍いから秀吉の元を離れ信顕に仕える事になる。
木下藤吉郎秀吉
史実では百姓（足軽）から天下人へ大出世を果たした“出来人”だが、茶筅丸との出会いと配下の前野将右衛門の行動によって、出世の第一歩となる墨俣築城を権六勝家と協力して行うよう仕向けられ、軍師となる筈の“今孔明”半兵衛は茶筅丸の傅役に取られるなど力を削がれているが、それでも堺の代官に抜擢されるなど出世の階段を上がってきている。しかし、片腕ともいえる小一郎長秀と小六郎正勝が信顕に仕える事になり今後の出世街道にどの様に影響が出てくるか…。
前野将右衛門長康
川並衆の頭領で、河原者を従えていたがある出来事から茶筅丸と諍いを起こして以来、茶筅丸を敵視している。
九鬼孫次郎嘉隆
九鬼水軍の頭領。茶筅丸の指示で和製南蛮船の建造を任され『尾張』を完成させる。
徳川家
徳川三河守家康
三河を治める領主で、駿河に侵攻してきた武田家と交渉によって遠江もその勢力圏に取り込んだ。
信長とは同盟を結び、嫡男・竹千代との信長の娘・徳姫との婚儀の約定を結んでいたが、婚儀に際し徳姫が無理難題に苦慮した茶筅丸が直談判のために岡崎城に乗り込んできたことで初対面を果たすと、その力量を感じ取り茶筅丸の話に乗ることを決め、上洛にも参加する代わりに婚儀が成立するまでの間茶筅丸を岡崎城にて質にすることを了承する。上洛に参加した事で義昭からお褒めの言葉を賜り面目を施したと喜んだ。
徳川次郎三郎信康
三河守家康の嫡子。幼き頃は粗暴な面が目についたが、質として岡崎城に入った茶筅丸に性根を叩き直され優れた若君に成長中。妻は信長の次女・冬姫。
瀬名の方（浜松御前）
家康の正室で信康の母。岡崎城では“築山殿”と呼ばれていた。茶筅丸の尽力（？）により家康との夫婦仲が良好となり、浜松城に入る家康に同行した。
酒井小五郎忠次
上洛に参加する家康の命により岡崎城の城代となり、信康の教育係となる。茶筅丸に一目置き、竹千代の更生を感謝し何かと便宜を図ってくれる良き理解者となる。
本多平八郎忠勝
ご存じ徳川最強の武士。徳姫の件で岡崎城に直談判に訪れた茶筅丸に傾倒。主である家康の前で、「もし、殿にお仕えしていなければ茶筅丸様の郎党の端にお加えいただきたいと馳せ参じた事にござりましょう。」とまで言ってしまう程。茶筅丸が岡崎城に滞在の間は馬術や槍術の師として胸を貸していた。
六角家
六角左京大夫信賢
信長の次男。史実での三七信孝だが、初対面の茶筅丸に兄と呼ばれた事で無事次男として認められ、それまで抱えていた憤懣が払拭された事を感謝している。
織田家に臣従を決めた六角承禎の養子として六角家当主となった。官位の左京大夫は父信長よりも上の官位ではあるが、養父承禎と同じく六角家が代々賜る官位の為に下賜される事となった。良い兄ちゃん其の二。
六角承禎入道義賢
近江六角家の前当主。信長が上洛の時に三好家が擁立した将軍・義栄の命により上洛を阻もうと動いたが敗れて観音寺城から三雲城に落ち延びた。その後、滝川彦右衛門一益の働きにより織田家に臣従する事にし、最後まで反対した右衛門督義治を六角家から追放し信賢を養子に迎えた。
蒲生左兵衛大夫賢秀
六角家の重臣。三雲新左衛門尉成持と共に六角家が織田家に臣従するに際し折衝に当たり、六角家に養子に入った信賢を支える。
三雲新左衛門尉成持
織田家に敗れた承禎入道と右衛門督義治が逃げ込んだ三雲城城主。甲賀忍びの頭領でもあり、六角家に入った信賢を支える重臣の一人。
滝川彦右衛門一益
上洛戦の後、六角家に調略を行い見事に織田家に臣従させた立役者。その功により信賢付きの重臣として六角家に入った。
平井加賀守定武
六角家の重臣で長老格。娘・藤を浅井賢政の正室に出すものの離縁されて戻され不遇の扱いを受けていた。上洛戦後は織田家に臣従し近江を任されていた柴田勝家・木下秀吉に協力していた。その後、藤は小一郎長秀に嫁ぐ。
進藤山城守賢盛
六角家重臣。
目賀田次郎左衛門尉貞政
六角家重臣
後藤喜三郎定豊
六角家重臣。観音寺騒動の折に右衛門督義治に殺された父・後藤但馬守、兄・壱岐守の弟。
南伊勢攻略戦では軍監として信顕の傍近くに控え、信顕の戦振りに感銘を受ける。大河内城攻めの折には蒲生藤次郎重郷が信顕の軍に参陣できるよう渡りをつけた。
蒲生藤次郎重郷
蒲生左兵衛大夫の次男。六角家の若武者の中で剛の者と名高く、南伊勢攻略戦で織田勢を指揮し連勝を重ねた信顕に関心を持ち、大河内城での一騎打ちの際に同道し、一騎打ちの際には信顕の首を狙い乱入してきた北畠家の兵を前田慶次郎と共に討ち取った。
北畠家
北畠権中納言具教
北畠家の前当主。公卿家でありながら武勇を重視する傾向が強い。織田と六角による南伊勢攻略戦では大河内城に入り防衛に注力するも信顕によって大河内城は陥落。織田家に臣従し信顕を娘婿とし北畠家当主にすることを申し出た。仏門に帰依し名を不智斎天覚に改める。
北畠右近大夫将監具房
北畠当主。大腹御所と揶揄されるほどの巨漢ながら性格は温厚。其処の所を父・具教は歯痒く思っているが、為政者としての力量には一目置いているようで大河内城で自分が死んだ時は具房に託すと告げた。
大河内左少将具良
織田・六角の軍勢に囲まれた安濃津城に援軍として兵を率いたが、信顕の差配する織田軍に敗れ、大河内城では城門を守っていたが信顕との一騎打ちにも敗れた。
鳥尾屋石見守満栄
安濃津城の援軍では副将格を務めるなど、北畠家の軍師的な役割を果たすことが多い。
職人衆
加藤清兵衛
鍛冶を生業にしている熱田の職人。火縄銃の改良に手を貸したのが縁で木砲『清兵衛砲』の完成に尽力するが、完成間近の試射の事故で命を落とす。
加藤虎之助
清兵衛の息子で茶筅丸と共に南蛮船の模型を作り上げる。父・清兵衛の死後清兵衛の名を継ぎ鍛冶職人として精進する。
福島与左衛門
熱田の指物職人で清兵衛とは昵懇の間柄。与左衛門の妻は藤吉郎・小一郎兄弟の叔母に当たる為二人の事も良く知っていた。清兵衛の紹介で火縄銃の改良に手を貸した後、木砲『清兵衛砲』、携行砲『与左衛門筒』を清兵衛と共に作り上げた。
福島市松
福島与左衛門の息子で虎之助と一緒に茶筅丸たちと南蛮船の模型を作り上げた。与左衛門の下で職人として修業中。
