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没落令嬢の悪党賛歌  作者: もちもち物質
第一章:裏世界より
20/178

20話「閃きましたわ……!」

 ごきげんよう。ヴァイオリア・ニコ・フォルテシアよ。

 私はたった今、最高の提案をしたところですわ!

『私達に楯突く連中を炙りだして皆殺し』。

 単純かつ大胆、そして手っ取り早くて明快な、最高の提案じゃなくって?


「……それは中々難しい話だな」

「そうかしら?稼ぐだけならドラゴンを延々と狩り続けていればよくってよ。そしてドラゴンが居ないならそこらの貴族を狩ればいいじゃない」

「いや、稼ぎ方もだけどね。それより、そんなに敵作ってどうすんのよって話」

 最高の提案だったのですけれど、案外渋られましたわね。

 渋られましたわね。

「俺もそうしたいのは山々だけどね、2つ、問題点がある。1つ目は稼ぐ手段がもうそんなに無いでしょ、ってこと。2つ目は、そんなに一気に敵作っちゃったら、俺達の身が危ないでしょ、ってこと」

「え?稼ぐならドラゴンを狩ればいいのですわ!ドラゴンが無くても他の魔物を狩ればいいんじゃなくって?」

「少なくともドラゴンは今後しばらく売れないね。そんなにガンガン売ったら値崩れしちまいますよ、お嬢さん。それに今日一気に5体分素材が来ちまったもんだから、もうお腹いっぱい」

 まあそうですわね。

 私、ドラゴン皮なんて少し珍しい素材、くらいの感覚で居ましたけれど、どうやら世間一般、ならびにこの裏の世界ではなかなか貴重な代物だったようですし。そんなものが大量に一気に出回ったら、価格を操れなくなりますわね。それは困りますわ。

 そして他の魔物についても同様でしょう。何なら、ドラゴン素材と似たような性能の素材があったなら、それが売れることでドラゴン素材の売れ行きが悪くなりかねなくってよ。

「戦力については言わずもがなだろうが、俺達はお前を含めても4人しかいない」

「しかもその内1人は薬中ときたもんだ」

「はは、悪いなー」

 そうですわね。薬中チェスタを除けば、安定して使える人員が3名だけ。しかもジョヴァンはあまり積極的に戦闘したくないようですし、そうなると私とドランの2人分、と考えるのが安全ですわね。

「ということで、そんなにガンガン稼いで敵を作って、それを真っ向から叩き潰していく、っていうのは結構厳しいと思うんですがね。どうだいお嬢さん」

 ジョヴァンはそう言いますし、ドランも頷いてますし、チェスタは私を見てるだけですけれど……全員、賛成はしてくださらないようね。

 でも、本当に実現は難しいかしら?

 私、色々と考えてみましたけれど……やっぱり、何とかなる気がしますわよ?




「1つ目。お金の稼ぎ方ですが、これは幾らでも何とでもなりますわね。魔物狩りだけが稼ぐ手段じゃなくってよ。金銀財宝を探してくることだってできるでしょう?」

「それを売る相手って大体同じだからね。要は、闇市経由でもいいから欲しい、っていうお貴族様か、無駄に金持ってるこっちの奴か、そのどっちかだ」

「成程。今の商品は貴族向け、ということですわね。なら、庶民向けの商品を売れば稼げる余地はまだまだあるということですわ。ま、要は、お金は何とでもなりますの。売れるものを探して売ればいい。それだけですもの。それで駄目なら、『売れる環境を作る』ところから始めればよくってよ」

「……売れる環境?」

「例えば、戦争になれば武器が売れますわね?なら、大量に武器を仕入れておいてから戦争を起こせばいい。そうは思いませんこと?」

「発想が悪魔のそれだぜ、お嬢さん」

 私、生憎悪魔とお話ししたことなんて無くってよ。悪魔の発想なんて知ったこっちゃーありませんわ!




「……ま、いいや。金が何とかなったとしよう。それで、嫉妬に駆られた奴らは炙り出されて出てくる……ってことだったわな。でもそれってそんなにうまくいくかね?全員が全員、炙られてくれるとは思えないけど」

「それでよくってよ。見せしめに多少殺して巻き上げられれば。後の連中は水面下で嫉妬の炎を燃やして、精々頑張ってくれればいいのですわ」

「厄介だろう、それは」

「向かってきたなら叩き潰せばいいだけですわ。向かってこなくてもいずれこちらから赴いて潰すので問題はありませんわね。すり寄ってきたら取り込んで利用するまでですわ」

 要は、こちらの知らないところで何かされたら困る、というのが一番の問題だと思いますの。或いは、村八分にされて販路を失ったり、物資の供給に支障が出たりすることも考えられますわね。

 けれど、それなら販路ごと叩き潰して私達が新たな販路を生み出してしまえばよくってよ。別に、味方から搾取してはいけないなんてことはありませんわ。潰せるものは潰して、すり寄ってくる奴らからは搾り取ればよくってよ。


「なんだよ、まるで裏の世界統一しようとしてるみてえじゃん」

 ……と、そこでチェスタが素晴らしいことを言ってくれましたわね。

「素晴らしいですわね。それ、採用しましょう。折角ですからこの世界を統一しましょう。裏の世界を私達に都合のいい一枚岩にしてしまえばよくってよ!」


「え、マジで?」

「マジですわ」

 チェスタは意外そうな顔をしていますけれど、私からすれば最高の案ですわね!

「大暴れしましょう。暴利を貪りましょう。稼ぎに稼いで、裏の世界のロクデナシ共を嘲笑って差し上げましょう。……そうして裏の世界で力をつけて、表の世界に殴り込みにいくのですわ。如何かしら?」




「へー。いいじゃん。面白そうじゃん。俺、乗った」

 あっさりと、チェスタはそう返事をしましたわ。薬中の割にいい判断ですわね。

「元々やりたいことがあるわけでもねえし。薬と酒が手に入ればそれでいいわ」

「良い判断ですわ。ドラン、あなたはどう思われますこと?」

 ついでにドランにも話を振ってみましてよ。まあ、こちらも答えは分かってますけど。

「俺は元々、金で貴族位を買うつもりだった。そうすれば王家に手が届くからな。……だが、どうせ王家を潰したら方々から追われることになる。なら、先に裏の世界を安定させておくべきか」

 そうですわね。王家を潰した『後』まで考えるなら、そうですわ。そしてそのくらいは贅沢しなきゃ、割に合わなくってよ。

「嘘だろドラン。お前だけはもう少し冷静だと思ってたぜ」

「あら、ジョヴァン。あなたは抜けますの?」

 私とドランとチェスタが全員でジョヴァンを見つめると、彼、盛大にため息を吐きましてよ。

「……俺はのらりくらり生きてられるならそれでいいんだけど」

「あ、ごめんなさいね。もうあなたを逃がすつもりはありませんわよ」

「でしょ?聞かなきゃよかったなこの話……」

 そしたら押さえつけてでも無理矢理話を聞かせていましたわよ。おほほほほほ。

「……ま、いいよ。分かった。分かりましたよ!ったく、とんでもないことになっちまったなあ……ま、元々捨ててた命だ。最期にちょいと面白いことやって死ぬのも、悪かないかもね」

 はい。これで全員分の同意を得られましたわ!

 これで実行は決定!あとは……具体的なところを詰めるために必要な情報は……。


「じゃああなた達の特技や秘密、全部ぶちまけて頂けますこと?」

 互いの能力の把握ですわ!




「……マジか」

「当然でしてよ。裏の世界を統一してやろうとなったら私達は運命共同体。互いに互いの能力を余すことなく知っていた方が何かと便利ですわ!」

 というか、それが分からないと今後の予定も立てられなくってよ!


「まず私からですわね。もうドランにはバレましたけれど、私、血が毒ですの」

「ちょっと待ってお嬢さん。しょっぱなから分かんない」

 ……ということで、ざっと私の能力を説明しましたわ。

 血が普通の毒と魔法毒の塊になっている、ということ。矢尻にたっぷりと塗り付けて目玉か口腔かを狙えば、ドラゴンも一撃死させられる、ということ。それから私自身は強い毒耐性を持っているということも。

 一通り説明したら、チェスタが挙手しましたので発言を許可しますわ。

「血が毒ってことはさ、つまり俺が今お前に噛み付いたら俺、死ぬってこと?」

「多分死にますわね。私の血、ドラゴンコロリでしてよ」

「じゃー、それ、ヤる時どうなんの?お前が処女だったら相手、死ぬんじゃねえの?」

「もうドランにも言いましたけど、多分ちんたまもげて死にますわね」

 案の定の質問でしたわ。やっぱり気になるのそこですのね。

「こっわ……」

「男の敵……」

 お2人の反応も案の定の奴ですわ。もうドランでこれ見ましたわ。


「……ということで、あなた達ももう調べてるとは思いますけれど、私、ヴァイオリア・ニコ・フォルテシアは王子暗殺の濡れ衣を着せられて投獄されましたわ。それは確かに濡れ衣でしたけれど、王子暗殺を目論んでいたことも事実でしてよ!まあ、連中、そんなことは露ほども知らずに『まんまと濡れ衣着せてやったぜ!』ぐらいに思ってると思いますけど!」

「濡れ衣を着せたつもりが大当たり、ということか」

「もしこれを王家の連中が知ったらと思うといたたまれないね」

 大丈夫ですわ。知る頃には王家なんて全滅してましてよ!おほほほほほ!




「……成程な。ドラン。お前がお嬢さんを信用することにした理由、分かったぜ」

 私が説明し終えると、ジョヴァンがそう言ってへらり、と笑いましてよ。

「お前も王家潰しが目的だもんな」

「ああ。そういうことだ」

 その割にまだ私、ドランの異常な身体能力の種明かし、されてないんですけど。

 けどそれより先にジョヴァンが喋り出したので先にこっちから、ですわね。

「お嬢さん。先に言っておくが、俺は別に王家が潰れようが潰れまいがどうでもいい。ただ俺の目的は、ある貴族をぶっ潰してやれれば最高だけど、それもまあ……どうでもいいっちゃどうでもいいの」

「成程。素敵ですわね。お手伝いしますわよ。私もぶっ潰したい貴族、いくつかありますの。ぶっ潰しましょうね」

「話が早すぎて泣けてくるぜ」

 存分に嬉し泣きすればよくってよ!


「んじゃ、俺の方からも自己紹介……ね。ま、さっきも言ったけど、目的はある貴族に嫌な思いさせてやること。それ以外はのらりくらり生きてられりゃいいって姿勢。特技は……ま、頭脳戦よね。ドランが脳筋だから、そこは俺が補ってるの。情報収集とかも俺の担当」

「殺しの手段は?」

「罠。……要は、仕掛けておかないと俺は無能ってことよ。だから攻め入るのには死ぬほど向いてない。逆に防衛戦なら期待してくれていいぜ」

 罠。それは……なんとも面白いですわね。

「ということはあなた、エルゼマリンの町中に罠を仕掛けてらっしゃるの?」

「ま、そこはご想像にお任せします、ってことでヨロシク」

 あー仕掛けてるんですわ!これ絶対仕掛けてるんですわ!

 ……今度こっそり探してみますわ。




「じゃあ次、俺も説明しとくか。っつってももう分かってる気もするけど」

 次はチェスタの説明ですわね。

「俺はとりあえず楽しけりゃいい。元々ドランに拾われた命だし、死ぬ間際まで楽しけりゃもうそれでいいやってところかな。特に目的もねえし、恨みがどこかにあるわけでもねえし」

 なんとなくそんな気はしてましたけど、実に単純明快な動機ですわね。こういう、特に何の理由も無く悪党やってる奴ってのが一番怖くってよ。

「戦い方はもう見てるだろ?」

「実は碌に見てませんの。義手にナイフが仕込んであるのだけは分かりましたけど」

「はは、良い目してるじゃん。なんだ、つまりほとんど分かってるってことかよ」

 あ、そうでしたの。なんか拍子抜けですわね。

「見ての通り、片腕吹っ飛ばしちまったからさ、義手にしてるんだけどな。そこにナイフ仕込んで戦ってる。他にもロープとかそういう道具も一式、義手の中に入ってるから何かあったら言ってくれよな」

 ……戦い方自体はまあ、ドランと大して変わらない気はしますわね。

 要は、頭脳の欠片も無い肉弾戦、ですわ。

 ……ただチェスタの場合、ドランよりもさらに頭が無いように見えますわね。

 要は、人間どころか動物にあるべき理性すらありませんわ。

 多分それは、『恐怖』。

 ……薬中だからなのか、それとも根無し草みたいな生き方してるからなのかは分かりませんけれど。けれど、『恐怖心』の無い狂戦士がナイフ付きの腕振り回しながら特攻してきたら、それはそれは性質が悪いでしょうね……。ええ。想像できましてよ。




「最後は俺か。目的はもう言ったが、王家の滅亡を目指している」

「何か恨みでもありまして?」

「大切な人を奪われた。それだけだ」

 あらそう。ま、理由は深くは聞きませんわよ。そこは別に必要ありませんもの。

「戦い方は見ていたな?」

「ええ。身体強化魔法を使っての肉弾戦。……けれど」

 ドランが私の様子を窺うようにじっと見つめているのを見つめ返しつつ、私は素直に疑問点は口にすることにしましたわ。

「度が過ぎていますわね」

「……そう思ったか」

「ええ。到底、人間業じゃなくってよ」

 身体強化魔法、という魔法は確かに存在していますわ。私もある程度は使えますもの。

 けれど、それってあくまでも、人間から逸脱することはできない程度でしてよ。ドランのあれは……ドラゴン一本背負いなんてのは、到底、身体強化魔法だけでは説明がつかないですわ。

 ということで、答え合わせを求めたら。

「ああ。その通りだ。俺は人間じゃない」

 ……ぶっ飛んだ答えが返ってきましてよ?


「え?どういうことですの?人間やめたんですの?」

「俺は人狼だ。だから力は人間よりよっぽど強い」

 ……じんろう。

 つまり……狼人間、ですの?

「尻尾生えてませんわよ?」

 ついでに耳もありませんわね?私てっきり、人狼って耳と尻尾が生えてるものだとばかり思ってましたけど。

「満月でもない限りはほとんど人間と変わらない。変わっているところがあるとすれば……これだけだな」

 そこでドランは口を開いて、中を見せてくれましたわ。

「あ、牙ですのね」

 開かれた口の中、確かに人間のそれにしては鋭すぎる牙が並んでいますわね。

「……というわけだ。これで納得できたか?」

「まあ、とりあえずは」

 人狼なんて初めて見ましたもの。驚きですわね。

 それもそのはず。人狼って……狩りの対象ですもの。


 より狼の特徴を備えた人狼は皆、もう殺されてますわね。今も生き残っているのはドランのように、ほとんど外見に狼の特徴が出ていない人狼だけなのでしょう。

 ……人狼狩りを先導していたのは、王家ですわ。当時の圧政から民衆の不満を逸らすため、国を挙げて人狼や他の半人を狩り尽くしましたの。

 ドランが王家を滅亡させようとしているのは、そこらへんの理由なのかもしれませんわね。

 ……ま、聞きませんけど。私だって言いませんもの。ここは割り切ってお互い知らんぷり、ですわね。




「俺達の能力は把握できたか?」

「ええ。まあ、細かいところは追々教えて頂きますわ。ひとまずこれで作戦が立てられそうですわね」

 色々と不足が無いわけじゃあありませんけれど、とりあえずはこれで十分ですわ。

『手の内を明かす』ということは、半ば強制的に信頼関係を構築させることになりますもの。私が欲しかったのは情報もですけれど、どちらかというと前者が目的でしたのよ。

「お嬢さんの話じゃ、この後ひたすら稼ぎ続けて目立ち続けて、襲いに来る奴らを全員返り討ち、ってとこだった?」

「そうですわね。つまり最初の目標は、ひたすら稼ぐことですわ。それからそれと並行して、戦力の増強、ですけど……」

 ……ちょっと考えますわ。




 私、ギルドで活躍したのには理由がありましたわ。それは、『居なくなられたら困る人』になりたかったからですの。

 そうすればある程度は悪事をお目溢ししてもらえますし、私が多少の不利益を振りまいたところで、与える利益の方が大きいと思われれば当然、生かされますわ。……ピンハネ嬢みたいなアホも居ることにはいますけど!

 けど、そういう例外を除けば、『自分達の価値を上げる』ことって、生存戦略的に大正解だと思いますの。

 つまり……私達が目指すべきは……『依存』。

 そう。相手に依存させればいいのですわ。居なくなられたら困る、そういう存在になって……それでも襲い掛かってくる奴らから先に潰していけば、ある程度戦闘の頻度も抑えられるでしょうし、各個撃破は戦略の基本で……。




 ……そんな時、私の目に、チェスタの姿が入りましたわ。

 チェスタはそろそろ薬が欲しくなってきたらしく、義手の中から小瓶を取り出し始めましたわね。

 ……依存。薬。これって……めっちゃよろしくなくって?


「ねえチェスタそれってどこで手に入れてますの?」

「え……まあ、割とどこでも売ってるだろ?路地裏とか。あとそういう店とか」

 ほーん。

「幾らで買ってますの?」

「これは魔法系の奴だから高め。3回分で金貨2枚だった」

 ほほーん。

 ……やっぱりこの手の物って、大分ボッてますのね。

「あなた、葉っぱは使いませんの?」

「使うぜ?けど同じのばっかだと飽きるじゃん」

「ちなみに葉っぱっておいくら?」

「安モンなら10回分で金貨3枚とか?高い奴だともっとする」

 成程……。

 麻薬栽培でしたら、土地と時間さえあれば何とでもなりますわ。原価、ほとんどゼロですわ。勿論、国に隠れる必要がありますけれど……まあ、それはどうとでもできてよ。

 ただし、葉っぱ育てる暇はありませんわね。今はとにかく、瞬間的に!爆発的に!お金を稼ぎたいんですの!葉っぱが育つ時間も惜しくってよ!

 つまりすぐに手に入る麻薬が必要なんですわ!けれど誰かから買って転売するなんてチャチなことはしたくありませんわね!やるなら堂々と!原料から私達の手で調達したくってよ!その方がボッたくれますわ!

 ……けれど、魔法薬を調合するには専用の機材と技術が必要ですわ!初期投資が莫大ですし、技術者を攫ってくるか独学で技術を身につけるかしなきゃならない時点でちょっと手が出しにくいですわね!


 悩みますわ!めっちゃ悩みますわ!

 麻薬、すごくいい案だと思いますの!でも、麻薬が手に入るか、というと……!

 いずれは適当な村を焼き払って焼きだされた村人達を金で動かして麻薬栽培させて買い上げる予定ですわ!でもそんな悠長なこと、今はしてられませんわ!

 ああ、どうしましょう!どこか身近なところにヤクが落ちていたりしないかしら!


「何?お前、一発キメてみる?なら分けてやってもいいけど」

「要りませんわよ!大体私、薬なんざ効きませんのよーッ!」

 あー!イライラしますわーッ!こういう時も私はこの体質のせいで!酒に逃げることも!薬に溺れることもできませんのよ!

 ……。


 あっ。




「もしかして私の血ってめっちゃ薄めたら麻薬になりませんこと?」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 血液が毒なら唾液や他の分泌液も全部毒になると思うんですが、どうなんでしょう。 (処女じゃなくても交われば死ぬのではというだけなんですが…)
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