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異世界人にとって俺のレゾンデートルは?  作者: 遊司籠
第二章 鴉隊と勉強編
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閑話 3番隊の問題児!

何気なく思い付いたので執筆しました。因みに話の流れ的にハルがエルドランドに来る前の話となります!

 一人の女性が廊下をダラダラと歩いている。

 ここは王都フィリアロックにある兵舎の廊下。


「暇だ……」


 廊下を歩きながら、覇気を感じさせず怠そうに呟いた女性の名はソルフィナ・ザワードという。

 彼女ソルフィナ・ザワードは王都フィリアロックでは知らぬ者が居ない程の有名人である。

 何故かと云われれば彼女が軍所属で尚且つ都市防衛を主な任にしている3番隊の副隊長で、冒険者達の支援等々何かと市民に触れ合う機会が多い鴉隊の取り纏め役であるからだ。

 まぁ、それ以外の理由で王都では有名なのだが本人ソルフィナ・ザワードはその事を知らない。

 人には知らなくていい事など沢山存在している……王都に住む人々は、敢えて彼女に他の何で有名なのかを教えていない。

 そう人には知らない事が幸せな事の方が多いのだ。


「はぁ……非番なのに知り合い全員仕事とかマジ無いわ~。やる事無いしどうするかな~……」


 ソルフィナは廊下で足を止め窓から外を眺めている。

 仲の良い同僚や友達は皆仕事で彼女ソルフィナだけが非番なので遊びに出掛ける事も出来ない。

 ましてや女性一人で街に繰り出しても案外時間潰しが出来る場所は王都フィリアロックには少ない。

 日用品等は普段から買い揃えているので今更必要な物も無い。暇なソルフィナは仕方なく服を見に行こうと市街に足を延ばす事にした。

 兵舎から王都の服を専門に扱う商店が密集している区画まで、それ程離れていないので直ぐに到着したのだが、わざわざ足を延ばした事をソルフィナは後悔するハメになる。


「おいおい……カップルの比率高すぎだろ。何だよ……お一人様は私だけじゃん」


 商店の至る所にカップルたちがイチャイチャしながら幸せオーラを振りまいているのを横目にソルフィナは場違い感をヒシヒシと全身に感じていた。

 何気なく路地の壁に目線を向けるとカラフルなポスターが目に入ってくる。


「ん? 何々……今日はカップルのみ特別割引デーだと!! 通りでカップルばっかりいると思ったよ!! ……リア充爆発しろ!!」


 今日は、この区画のみの特別イベントが開催され大いにカップル達で賑わっている。

 知らずに服を見に来たソルフィナが悪態を付くのは仕方が無いだろう。

 何故ならば彼氏がいないソルフィナなのだから……。


「はぁ……独り身の私は辛い現状を直視し続ける勇気が無いです。仕方ありません……外縁部で散歩にしましょう」


 周りに聞こえない声量で独り言を言い放ち、そそくさと外縁部に向け歩き始めるソルフィナ。

 歩きながら前方に見える外壁を何気なく見つめる。


「あぁ、確かアニメで巨人が攻めてくるヤツがあったな……」


 転生前に少しだけ見たアニメの事を思い出す。

 巨人から自分達を守る為高い壁で街を覆ってたな……。

 少しづつ記憶から詳細を思い出していくにつれソルフィナの中に悪戯心が芽生えてくる。

 もし、もしもの話だが、あの場面を再現出来たら面白そうだろうと考える。

 次第にソルフィナの顔は邪気を含んだ笑顔になった。


 某アニメのオープニングを口ずさみながら両手を外壁に向かって突き出す様に向ける。

 少し王都に住む人達に驚いてもらおうと身体に力を入れる。


「スキル『ゴーレム創造(クリエイト)』!! 外壁が大体30mくらいだから50mぐらいのゴーレム作れば再現可能かな? っと」


 両手を差し向けた外壁の先から徐々に土で出来たゴーレムが姿を現していく。

 完全にゴーレムが姿を現すとゴーレムの胸から上が外壁からはみ出し、その巨体の存在感の凄さが伺える。

 ソルフィナ自身が創り出したゴーレムなので当然操る事が出来る。ソルフィナはゴーレムを操り片手を外壁に掛ける。

 完璧にアニメのワンシーンを再現出来たと心の中で自画自賛していると周りから悲鳴やら怒涛やらが聞こえて来た。


 視線を先程いた商店区画に向けるとカップル達がワラワラと土蜘蛛の子が散っていくみたいに逃げていくのが見える。


「……リア充に天誅!!」


 先程まで心の中にあった嫉妬が落ち着いていくのが分かる。

 悪戯も成功したしゴーレムを片付け様と外壁に視線を向けようとしたら軍兵舎から一条の光が巨大ゴーレムに向かっていくのが見えた。

 光はゴーレムに当たるとゴーレムの胸に大きな穴を空ける!

 ソルフィナは唖然としながらゴーレムの胸に空いた穴を見ながら光の正体について考える……考えるも何もソルフィナは光の正体を知っている。

 あの光は2番隊所属の自称魔女っ子(・・・・)が得意とする『集束魔力砲』だと。一時期とはいえ同じ部隊にいたのだから大体の隊員達のスキルは知っている。


「私の可愛いゴーレムに何て事を!! ごっこ遊びは止めだ!! 仕返ししてやる!!」


 頭に血が上ったソルフィナはゴーレムに空いた穴を修復させていく。

 完全に穴が塞がったら外壁内に入れ自称魔女っ子に鉄拳を喰らわせてやると心に誓う。

 修復にかける魔力量を増やし、さっさと穴を塞ごうとしたら外壁に手を掛けていたゴーレムが外壁から大きく吹き飛ばされる。

 いきなり吹き飛ばされるゴーレムを唖然と眺めるしか出来ないソルフィナ。

 何が起きたのか今度こそ分からなかった。

 よくよく見ると外壁の上に人が立っているのが見えるのだが、ソルフィナは全身に冷や汗が出てくるのを止めようがなかった。

 何故なら外壁の上にいる、ゴーレムを殴り飛ばした格好のまま動かない緑髪をセミロングにした女性が1番隊隊長だったからだ。


「嘘……でしょ? 1番隊隊長まで出てきちゃった!! ヤバイよ! この事が私の仕業とばれたらタダじゃ済まない!!」


 ソルフィナは、この場から誰にも見つからないよう移動をしようとしたら両肩を後ろから掴まれる。

 そ~と後ろに顔を少し回すと視界の端に鬼の形相をしたエレナ・スカーフィールドが立っているのが見える。

 なんとか言い訳を考えて、この場を乗り切るしかないと思考をフル回転させながら3番隊隊長で自分の上司であるエレナに声を掛ける。


「いきなり巨大ゴーレム出現したので遊撃の為ここに来ました!!」


「……おいコラ! あんなゴーレムを創り出せるのがエルドランド中探してもソフィ……お前ぐらいなんだよ! 都市防衛するのが3番隊の任務なのに都市攻略しようとするな!!」


 両肩を掴むエレナにその場で回され向かい合うように位置を変えられる。

 もうソルフィナは今後の事で頭が一杯になっている。

 まず長い説教を喰らうのは目に見えているし他部隊の人まで迷惑を掛けたという事で反省書を書かされる……始末書の可能性もあるかもしれないと内心穏やかじゃない。


「違うんです! これは進撃ごっこなんです! 遊びですよ遊び!」


 言い訳にならないが一応言い訳をしておくソルフィナ。


「何が進撃ごっこだ!! 街中パニックになったんだぞ!! 1番隊隊長エルエンジュさんの転機で仮想の軍事演習って事で街中のパニックは収まったが他部隊まで迷惑を掛けてるんだ……分かってるんだろうなソフィ?」


 向かい合うエレナの表情が段々と険を強くしていく。

 後悔しても後の祭り……ソルフィナはエレナからの説教に耐えるしかないと諦める。





 その後路地に正座させられ長時間衆人観衆が見守る中説教を受けているソルフィナがいた。

 皆が皆、今回の騒動の犯人がソルフィナ・ザワードなのだという事を説教を受ける姿で悟り、仕方ないと怒りとかを心の中に仕舞い込む。

 何故ならこの王都に住む人達は知っている……ソルフィナ・ザワードが3番隊の問題児なのだという事を。

 毎回事件を起こすのはソルフィナで毎回説教をしているエレナに住民たちは憐みの目を向け、『問題児を抱え込んでいると苦労しますね』と心の中で合唱する。



 夜、足が痺れたのか路地に寝ころび奇声を放つソルフィナが目撃されたとかされないとか……。

番外編は考えが浮かんだら執筆していこうと思います。

今回は書き方を変えてみました。慣れない書き方なので文法等おかしいかも知れませんがご了承下さいね。

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