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【3巻発売中】私の推しは魔王パパ  作者: 夏まつり
4章 盾の巫女と亡国の騎士

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04-02 平和な日常(3)



 フィオデルフィアに帰る前に稽古をつけてやろうかとカルラが言って、ザムドが当然のように手を上げた。もちろん私は全力で拒否させてもらった。


 城の庭に出て、カルラとザムドが向かい合って対峙する。カルラは特に構えるでもなく、ザムドに対して半身になって立っていた。


 ザムドが地を蹴って飛び上がり、炎をまとわせた腕を振りかぶる。おっ速い、と思ったけれど、カルラは振り下ろされたザムドの腕を半歩ずれるだけでひょいとかわすと、素早い回し蹴りをザムドの背に叩き込んだ。自分が飛んできた勢いに蹴りを乗せられたザムドは、頭から木に叩きつけられてそのまま落ちた。


「ちょっ、大丈夫!?」


 慌ててザムドに駆け寄ると、回復魔法を彼にかけ始める。ザムドは少しの間気絶していたけれど、ぱっと体を起こすとふるふると首を横に振った。


「ちょっと速うなったか? でもあんな真っ直ぐな攻撃、避けてくださいって言うてるようなもんやで。フェイントくらい入れんかい」


 カルラが両手を腰に当てながら私たちを見下ろして笑う。ザムドはむうと口を尖らせながらそれを見上げると、「もう一回!」と勢いよく立ち上がった。本当に戦うのが好きだなあ。回復魔法の手を止めて離れることにする。


 ザムドは今でも毎日のように狩りに誘いに来るし、私と狩りに行く時間以外はザークシードやその部下たちとよく稽古をしているのを見かける。最近はザークシードが魔獣狩りに出ると言えば、ほぼ欠かさず連れて行ってもらっているらしい。おかげでこの辺の森なら一人で出歩いていいとザークシードから許可が下りるまでになった。


「やる気があってええな。坊主、どこまで強くなりたい?」


 カルラの問いに、ザムドは「魔族で二番目!」と右手の指を二本立てながら即答した。


「……ん? それ、一番は誰やの?」


「ディア!」


「へえ?」


 カルラが不思議そうな顔で私を見るので、私は両手を胸の前に出しながら何度も首を横に振った。


 私が一番目、ザムドが二番目に強くなるのだと言ってしまった私の失言を、ザムドはなかなか忘れてくれない。それどころか完全に目標にしているようだ。私は一番に強くなるつもりはなんてない。あれはゲームの内容を受けた発言だっただけで、お父様が存命の今となっては無かったことにしたい。


 でも困ったことに、私のレベルはもう九十九まで上がっている。極力戦闘は避けているつもりなのに、勝手にぐんぐん上がった。ザムドと森に行くとザムドが魔獣を倒すたび経験値が入るし、どうやら体の成長とともにレベルもある程度上がるものらしい。 


 寝て起きたらレベルが上がっていることに気付いたときには頭を抱えた。確かに寝る子は育つと言うけれど、そんなに勢いよくレベルアップしなくてもいいじゃないか。


 カルラは「まあええわ」とザムドに視線を戻し、面白そうに口元を釣り上げた。


「つまりうちに勝つって言ってるな? やれるもんならやってみい」


 再び二人の稽古が始まって、私は極力二人から距離をとった。ザークシードが城の壁を背に様子を見守っているのが目に入ったので、彼の隣に立たせてもらう。ここにいれば何か飛んできてもザークシードが守ってくれそうだ。


 ただ眺めているのも退屈だし、ザークシードに話を振ってみる。


「ザムドって、稽古とか狩りとか、ほんと好きね」


「いやあ、(せがれ)の場合、勝負が好きというのもありますが……それ以上に、一刻も早く強くなりたいのだと思いますよ」


「なんで?」


 見上げると、ザークシードは曖昧に笑った。


「それはまあ……いずれ、本人から聞いてやって頂けると嬉しいですね」


「?」


 別にザークシードが教えてくれてもいいじゃないか。でも強くなりたい理由なんて本人に無断で聞くのもなんだかなという気がしたので、首を傾げるだけにしておいた。


 まあ、ザムドも男の子だからな。いろいろ思うところはあるんだろう。


「親としては、そうですね。あいつの努力を見ていてやって頂けると嬉しく思います」


「はあ……まあ、見てるだけなら」


 再びザムドとカルラの稽古に視線を移し、いや、やっぱりちょっと怖いかも、と先の自分の発言を早くも後悔したのだった。


 そのあとジュリアスが様子を見に来たので、ザムドがジュリアスにも挑んでいたけれど、ザムドはあっさり負けていた。



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[一言] 恒例の主人公補正「鈍感」発動
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