表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【3巻発売中】私の推しは魔王パパ  作者: 夏まつり
1章 魔王は魔界を手に……入れたくない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/227

01-09 後悔はいつしたって遅いのだけれど(2)


 どすどすとやかましい足音が近付いてくることに気がついて、ジュリアスは顔を上げた。ジュリアスが扉を開けてやるより早く、執務室の扉が大きな音を立てて開かれる。血相を変えて入ってきたザークシードは、開口一番「グリード様は!」と詰め寄ってきた。


「今は部屋でお休みです。容態が(かんば)しいとは言えませんが……」


「そうか……お主の回復魔法でもか……」


 ザークシードが執務室のソファーに腰を下ろす。普段なら汚れた格好のまま座らないでくれと咎めるところだが、今はそんな気にはならなかった。


「それが、妙なのです」


「妙、とは?」


「グリード様に送った力がそのまま抜けていくような……穴の空いたコップに水を注いでいるような感覚、と言えば伝わるでしょうか」


「むう……ステータスに干渉する魔法はカリュディヒトスの十八番であったな」


「ええ、何かかけられているのかもしれません」


 ジュリアスは息をつく。何かかけられているのだとしても、彼が生死の境をさまよっている今は下手に手が出しにくい。カリュディヒトスの十八番にはトラップ魔法もある。無策で手を出して暴走させようものなら、グリードの命に関わる可能性があるからだ。


「それで、フィオデルフィアに向かった魔族達はどうなりました?」


「ディアドラ様が一人残らず黒焦げにしてくれたのでな。最低限の手当だけして牢にぶちこんである。カリュディヒトスとリドーの姿はなかったが」


 牢屋は満員御礼どころか定員オーバーよ、とザークシードは笑うが、いつもほどの覇気が含まれてはいなかった。


 さすがはディアドラ、一人で多数の魔族を短時間に戦闘不能にするとは。ジュリアスにもザークシードにも、そんな芸当はできなかったに違いない。特にあの時は自分もザークシードも魔力のほとんどを魔石に注いだ後だったのだ。


 あの時、かなりの数の魔族が一斉に同じ方角に向かっていた。魔族達が偶然同じ動きをするとは思えない。カリュディヒトスやリドーが事前に手を回していたと考えるのが妥当だろう。


 こんなことなら、もっと早くにカリュディヒトスやリドーは五天魔将から外すべきだった。実際そんな案が上がったことはあると聞いているが、彼ら以上に強い魔族はいなかったし、彼らを排除していればとっくに別の衝突が起こっていた可能性もある。


「……それはそうと、グリード様の意識が戻るまで、ザークシード様の部隊には城の警護をお願いしたいのですが」


 ジュリアスはザークシードに向かって言う。これを機に魔王の座を狙う者が出ないとも限らない。それにカリュディヒトスやリドーが何か仕掛けてくる可能性もある。


(うけたまわ)った。して、カリュディヒトス達はどうする」


「カルラ様に連絡しました。こちらに仕掛けてこなければフィオデルフィアで動きがあるでしょうから」


「そうだな……」


 もしかしたらカルラには、それとは別にグリードにかけられた何かの解呪方法を探してもらわねばならないかもしれない。解毒や解呪に関する魔法は、魔族より人間の方が得意であると聞く。それに壊されてしまったナターシアの結界の修復についても考えなければならない。まあそれも、まずはグリードの意識が戻ってからになるのだろうが――


 グリードの部屋がある方角に視線を向け、ジュリアスは彼の無事を祈った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ