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グローリークレスト  作者: 柏木サトシ
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作戦会議

 本隊に合流したセシルたちは、接敵をして来た旨と、相手が持つ紋章兵器マグナ・スレストについての情報を報告した。


「そうか、二人もやられてしまったか……」


 本陣の天幕の中でセシルたちからの報告を聞いたファルコは、失った仲間を想って静かに黙祷を捧げる。

 ファルコに倣い、他の仲間も死んだ仲間に黙祷を捧げる中、ユリウスはセシルに忍び寄って静かな声で話しかける。


「先ずはよくやったと褒めてやろう」

「……何それ。馬鹿にしている?」

「それについては半々というところだ」


 不満そうに睨んでくるセシルに、ユリウスは真っ直ぐに睨み返す。


「相手の紋章兵器について追加情報を手に入れられたのは褒めてやろう。条件次第で射程がさらに伸びるのがわかったのは僥倖だ」

「……ハッキリ言って偶然だったけどね」

「そう拗ねるな。ただ、僕の命令を無視して、相手の頭を殺そうとしたのはいただけない。次からは他は殺しても、命令がない限り隊長格の人間は必ず生かせ。いいな?」

「なんでよ。あんな酷いことを平気でやるような親玉なのよ? 真っ先に殺すのが妥当じゃないの?」

「……だから、お前はバカなんだよ」


 ユリウスは呆れたように大袈裟に嘆息すると、その理由について話す。


「いいか? 組織というのは頭がいるから成り立っている部分が大きい。頭がいるから人数がいても混乱が起きず、統率の取れた動きができるのだ」

「だからこそ、真っ先に潰すべきじゃないの?」

「普通はな。だが、今回は相手に本隊と合流してもらう必要があった」

「どうして?」

「連中は残虐非道な行為を平然とする連中だ。そんな者をこの国に野放しにするわけにはいかないだろう? だからこそ一か所に集め、皆殺しにする必要がある」

「あ……」


 そこまで言われたところで、セシルはようやく理解したようで、口を開けたまま固まってしまう。

 ユリウスはそんなセシルの肩を叩きながら、励ますように笑いかける。


「……そういうわけだ。お前の実力は確かなのだから、次からは人の話はちゃんと聞くんだぞ?」

「わ、わかったわ。次はちゃんとするわよ」

「頼んだぞ。となれば今は体を休めておけ。次の出撃はそう遠くないぞ」

「……うん、そうする」


 セシルはゆっくりと頷くと、体を引き摺るようにして天幕から出ていく。


 これといった負傷はなかったが、命の削り合いをして来たのだ。セシルの体には相当疲労が溜まっていたようで、去っていく背中にはいつものような覇気はなかった。

 それを見ながら、ユリウスはセシルたちの疲労回復にどれだけの時間が必要なのかを計算しながら、これからの作戦を考えていく。



「……ユリウス、ちょっといいかい?」


 セシルが立ち去ってから暫くして、顔を上げたファルコから声がかかる。


「相手の紋章兵器についてだけど、ユリウスはどう思う?」

「そう……だな」


 ファルコからの質問に、ユリウスは自分の考察を交えながら推論を発表する。


「相手の武器についてだが、思ったより射程が長いのと、切れ味が落ちないのが厄介だ。だが、思ったより強力な武器というわけじゃなさそうだ」

「どういう意味だい?」

「報告では、その相手が紋章兵器を発動させた途端、周りの人間は泡を食ったかのように逃げたと聞く。それに、射程がさらに伸びるのにそれを普段から使わないということは、それなりの理由があるということだろう」

「それは……紋章兵器の代償ということかい?」


 その質問に、ユリウスは鷹揚に頷く。


「そういうことだ。おそらく、周囲に何かしらの影響がある紋章兵器なのだろう。そして、力を増大させると、その影響が自分自身に降りかかる。だから、普段は使いたくても使えないと考えられる」


 そこから導き出される結論は一つ。


「件の紋章兵器は、発動中は自由に動くことができないと思われる。だからここは、相手の注意を引きつつ、遠距離から大量の矢を射かけることが有効と思われる」


 ユリウスがそうハッキリと断じると、周りの者から「おおっ」という感嘆の声が上がる。


「……決まりだな」


 他から反対意見が出ないことから、ファルコもユリウスの対応策を採用すると決める。


「となると後は、連中の本隊との決戦についてだけど……」

「大丈夫だ」


 ファルコの呟きに、ユリウスはすぐさま応じる。


「それについても既に考えてある」

「本当かい? それじゃあ、ユリウスの考えを聞かせてもらえるかい?」

「ああ、先ずは……」


 そう言うと、ユリウスは相手とどのように戦うかを、事細かに説明していった。

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