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グローリークレスト  作者: 柏木サトシ
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悔しい撤退

いつも大変お世話になっております。自称カワイイもの好きの柏木サトシです。


いよいよ本日、私の新作『パパ、大好き!と愛娘に言われるためならば、俺は世界を敵に回しても構わない。』が発売となります。

このお話が投稿される頃には、既に店頭に並んでいると思いますので、よかったらチェックしてみてください。表紙を見た知り合いに「ロリコンになってしまう」とまで言わしめた表紙は必見です。


色々と癖が強い今作のヒロインたちとは違い、純粋無垢で愛らしさ全開の幼女ヒロインに癒されること間違いなしのほっこりアットホームファンタジーですので、天使が舞い降りるような作品が好きな方は特に気に入っていただけると思います(私はみゃー姉も好きです)

また、ゲーマーズ様、メロンブックス様、とらのあな様にて特典のSSを書き下ろさせていただいたので、そちらもチェックしてみて下さい。


今回は、ラノベ作家として進退を賭けたとても大切な一冊となりますので、何卒、購入を検討していただくか、小さな女の子が活躍する話が好きな友人に本を勧めていただけると幸いです。

何度も勝手に宣伝をさせていただき、大変恐縮ではございますが、今後は黙々と作品を投稿させていただく所存でございますので、今回はご容赦くださいませ。


長文失礼しました。それではどうぞ本編をお楽しみください。

 ユリウスから一度か二度、切り結ぶだけでいい。そう言われたセシルだったが、村での暴挙を見た後では、その程度で終わらせる気は毛頭なかった。


 何の罪もない、戦う力のない者を言うことを聞かなかったというだけで、惨たらしく惨殺してみせた紋章兵器マグナ・スレストを持つ者を討つつもりでいた。

 先程の攻撃で、相手が持つ紋章兵器の間合いを把握したセシルは、相手の動きを見極め、後の先を取るべきために剣を握る手に力を込める。


「その首、もらうわよ!」


 兵士長との距離はみるみるうちに迫っていき、彼我の距離が十メートルを切ろうかというところで、


「――っ!?」


 そこでセシルは、自分の考えが誤りだったことを思い知る。

 兵士長が持つ剣の間合いは、おおよそ三メートル。そう思っていたのだが、その刀身が突如として倍の六メートルまで伸びたのだ。

 相手は一騎当千の力を持つ紋章兵器。そんなものを相手に、間合いは三メートルしかないという思い込みで深く踏み込み過ぎた迂闊さをセシルは呪う。


「…………だったら!」


 だが、全てを諦めるのは早過ぎる。こうなったら例え腕の一本や二本、斬り落とされたとしても一撃は見舞ってみせる。

 セシルは一瞬で決断を下すと、玉砕覚悟で突貫することを決める。


 するとそこへ、


「姉さん!」


 別の角度からこちらに向かってきたブレットが、背中から引き抜いた矢を弓で素早く射る。

 ブレットが放った矢は、ヒョオオッ、という風切り音を上げながら進み、武器を構える兵士長……ではなく、セシルが駆る馬の手前、一メートルほどのところに突き刺さる。


「キャッ!?」


 矢に驚いた馬が、嘶きを上げながら急停止するので、セシルは振り落とされないように馬に必死に捕まろうとするが、


「姉さん、飛ぶんだ!」

「――っ、クッ……」


 ブレットの指示が聞こえたので、セシルは馬にしがみつくのを止めて、馬の背中を強く蹴って後方へ大きく飛ぶ。

 セシルが後方へ飛ぶのと同時に、緑色の軌跡が走り、彼女が今さっきいたところを通り抜け、嘶きを上げる馬の首を斬り落とす。


 セシルが宙に飛ぶのを確認したブレットは、馬に全速力を出すように指示しながら落下点へと急ぐ。


「…………姉さあああああああああぁぁん!」


 馬が悲鳴を上げるのを無視し、必死に手を伸ばした結果、


「ふぐっ!?」


 ブレットはセシルを地面に叩きつけられるすんでのところ救出してみせた。

 だが、それは街で謳われる歌劇のような華麗な救出劇ではなく、体をぶつけるようにして、ようやく地面に落とさなかった程度のもので、顔を強かに打ち付けたブレットは、流れてきた鼻血を押さえながらセシルに文句を言う。


「ね、姉さん、あれだけ無茶はするなって言われたでしょ」

「悪かったわよ。正直、今でも生きてるのが不思議なくらいだわ」

「……全くだよ。もう、これ以上の追撃はなしだよ?」

「私もそこまで愚かじゃないわ。ブレット、皆に撤退の指示を出して」

「うん」


 ブレットは頷くと、指笛を吹いて仲間たちに撤退する旨を伝える。


「よし、逃げるよ」


 仲間たちに撤退の意思が伝わったのを確認したブレットは、自分の前にセシルを乗せて撤退を開始する。

 幸いにも、相手はこちらのような軍馬を所持していないからか、これ以上の追撃はしてこない。


「よかった……奴等、追ってこないみたいだね」

「でも、二人も仲間を失ってしまったわ」


 セシルは悔し気に唇を噛み締めながら、もう動かない仲間たちの死体をちらりと見やる。

 二人の仲間の死体を回収したい気持ちもあるが、今は一刻も早くこの場から立ち去り、本隊と合流する必要があった。

 相手もセシルに仲間を殺されたのだ。本体に合流した連中がこのままおとなしく引き下がるとは到底思えないからだ。

 結果として、連中に宣戦布告をするという最低限の任務は達成できた。それに、兵士長が持つ紋章兵器に新たな力があることもわかった。

 後は、自分たちの主であるファルコと、そのファルコが信頼を置いているユリウスが立てる作戦に任せるしかなかった。


「……待ってて。次は必ずあなたたちの敵を討つから」


 セシルは仲間たちに敵討ちを誓うと、静かに瞑目した。

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