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グローリークレスト  作者: 柏木サトシ
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邂逅、そして……

いつも大変お世話になっております。柏木サトシです。

ここ最近、毎日投稿ができなくてすみません。

現在、少々立て込んでまして、暫くは1日~3日ぐらいペースで投稿させていただく形になると思います。

もし、体調不良などで4日以上間が空くような時は、せっかくはじめたのに全く有用に活用できていないツイッターでお知らせしたいと思います。

普段は本当にとりとめのないことを呟いておりますので、物凄く暇な時でにでもチェックしてみて下さい。もしかしたら、何かいいことでも呟いているかもしれません(多分ないです)

蛇足的な話、失礼いたしました。それでは、本編をお楽しみください。

「行ったみたいだね……」


 二人の兵士たちが立ち去ったのを確認すると、その人物は「ホッ」と胸を撫で下ろし、後ろに控えるユリウスたちに向き直る。


「申し訳ございません。何の説明もなしにいきなり襲うことになってしまって」

「いや、いい……実際、僕たちも助かったからおあいこだ」


 ユリウスは気にしていないとかぶりを振ると、目の前に立つ人物を見やる。


 その人物は、ユリウスたちと同じ踊り子の衣装を着ており、鋭い目つきのクールビューティという言葉が似合う妙齢の女性だった。

 纏う雰囲気は踊り子というよりは、軍人といった荒事に向いてそうな野性味溢れる女性に、ユリウスは覚えがあった。


「お前……確か、カルドア将軍との会合の席にいたな?」

「あら、嬉しい。覚えていてくれたのですね」


 女性はニコリと微笑むと、自己紹介をはじめる。


「私はカルドア将軍に仕える副官で、ソルティと申します。この度は我々、ラパン王国軍の残党で、リーアン王国軍の情報を探る任のためにやって来たのですが、まさかミグラテール王国の軍師殿にお会いするとは思いませんでした」


 そう語るソルティの後ろには、ソルティと同じ踊り子の衣装を着た女性が四人控えており、彼女たちは今回の宴の話を聞きつけ、近隣の村の女性に代わってこの陣営に踊り子として乗り込んで来たという。

 そう言われてよく見れば、女性たちはどの娘もそれなりに鍛えられた身体つきをしていた。

 一通り女性陣の自己紹介を聞いたユリウスは、彼女たちを見ながらソルティに尋ねる。


「なるほど……だがお前たちはそれでいいのか?」

「どう、とは?」

「ここの大隊長の噂は聞いているのだろう? それはつまり……お前たちに夜伽同然の行為を求められる可能性があるのはわかっているのか?」

「それについては覚悟の上です。カルドア将軍も仰ってましたが、王を守れなかった時点で私たちは死人も同然。この命、どうなっても構いません」


 ソルティの言葉に、女性たちは一様に頷く。

 どうやら、相当な覚悟を持ってこの場に現れたようだ。


「……そうか、ならば僕からは何も言うまい」


 これ以上は何を言っても彼女たちを侮辱することになると思ったユリウスは、おとなしく引き下がることにする。

 すると、今度はソルティからユリウスに質問が飛ぶ。


「ところで軍師殿は、どうしてここに?」

「僕か? 僕も君たちと同じで、情報収集だ」

「情報収集……軍師殿が?」

「そうだ、何か可笑しいか?」

「いえ、その……失礼を承知で申し上げますが、軍師殿自ら情報収集とは、ミグラテール軍はそこまで人材不足なのですか?」

「僕の場合は、自分の目で見たものしか信用しないからだ。人が見聞きした情報で生じる僅かな差異が、戦局を左右することだって珍しくないからな。だから可能な限り、情報は自分の足で稼ぐようにしているだけだ」

「なるほど……」


 ソルティは納得いったように頷くと、ユリウスたちの姿を見てさらに頷く。


「それで敵の懐に侵入するためにその格好なのですね。任務のためなら女装すら厭わないというその姿勢は流石です」

「フッ、まあな」

「い、いや……何でそこでそんなに誇らしげに笑えるのさ」


 女装に対して抵抗のあるブレットは、冷や汗を流しながら苦笑する。

 そんな男二人の様子を見て、ソルティも苦笑しながらユリウスに質問する。


「それで、軍師殿はこれからどうするのですか?」

「僕たちは大隊長の天幕に潜入するつもりだ。宴がはじまれば、その隙に乗じていけると踏んでいる」

「……そうですか、それなら私たちは、軍師殿が上手く潜入できるよう、精一杯連中の注意を惹きつけるようにします」

「そうしてくれる助かる。僕たちの潜入が上手くいけば、君たちの誰かが大隊長の毒牙にかかりそうになっても、助けられると思う」

「それは……助かります」


 覚悟はしてきたといっても、実際にその現場に居合わせたらどうなるかわからなかったのだろう。ソルティたちは心底安堵したように溜息を吐く。


「軍師殿たちが来てくれたお蔭で、我々も用意していた奥の手を使わずに済みそうです」

「……奥の手?」

「はい……実は、即効性の眠り薬を持ってきたのです。本当は自決用の毒物が理想だったのですが、手持ちがそれしかなくて……」

「眠り薬……」


 それを聞いて、ユリウスの脳裏に外の兵士たちの姿が思い浮かぶ。


「……もしかしてだが、外の寝ている兵士たちは、お前たちがやったのか?」

「えっ? あっ、はい……酒に酔った者に乱暴されそうになったのでつい……」

「そうか……」

「軍師殿?」


 おとがいに手を当てて、何やら考え込んでしまったユリウスを見て、ソルティは眉を顰める。


「量にもよるがこれは……いや、そこは…………」


 周囲からの奇異の視線にも目もくれず、ユリウスは脳内で凄まじいスピードで思考を巡らせていく。


「おい……」

「あっ、はい……何でしょう?」

「持ってきた薬はどれくらいだ?」

「量ですか? それほど多くはないです……」

「あ、あの……これです」


 すると、一人の女性が進み出て手持ちの薬を見せる。

 それは植物を乾燥させて作る睡眠薬で、小さな小袋に入っている植物片は、速攻で効果が及ぶであろう量は数人分しかなかった。


「なるほど……これだけあれば……」

「ユリウス、何か妙案でも思いついたの?」

「ああ、そうだな」


 ブレットの問いに、ユリウスは凶悪な笑みを浮かべながら頷く。


「せっかくだ。情報収集だけじゃなく、この陣営に打撃も与えてやろうじゃないか」


 そう言うと、ユリウスは思いついた作戦を口にしていった。

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