表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終業式の日に世界が終了したんだが  作者: 青海 原
第三章『東京防衛戦』
63/125

58 戦闘テスト

 訓練場、だろうか。

 少し広めの、体育館くらいの場所に案内された高月と永井は、ここで何を行うのか不安だった。


「やっぱり、やめとくべきだったんですよ……」


「言うなよ、これしか方法なかっただろ……?」


 それはそうだが、と高月は顔をしかめる。

 永井が「『新政府』の仲間になろう」と言って廊下に飛び出し、歩いてきた人に声をかけると、ここに案内された。今の所は何の説明もない。

 秋瀬と御影はまた別の場所へ案内されたらしい。正直、二人の様子がリアルタイムで確認できないというのは不安だ。

 何かされていないといいが、二人に身に何かがあったなら、その時はその時だ。いざとなったら、敵が何者だろうが戦うしかない。

 ジェットはこの時に回収されたようだ。きっともう会えないのだろう。いや、もう一度会おう。

 何とかして、もう一度。



 そこで、マイクを使っているのだろうエコーがかかった声が聞こえてきた。声は男性のものらしい。


「君たちが『新政府』に入りたいという生存者か。俺は春馬。戦闘部隊の一つ、第二部隊『ハンター』の隊長をやっている者だ。今から君たちの戦闘能力をテストしたいと思う」


 ざっと説明があったおかげで、状況は把握できた。

 なるほど、おそらく戦闘部隊には種類があり、実力に合った部隊に入隊させられるのだろう。高月はテストに向けて気持ちを高めるため、息を吐いた。


「さて、テストですよ会長。お互い頑張りましょう!」


「だなー……」


 永井はテストの単語を聞きたくなかったと言うかのように、ダルそうな足取りで高月から距離をとった。

 すると、春馬から再び指示が入った。


「今から訓練用の装備で機械と戦ってもらう」


 言葉と同時、足元に穴ができてそこからニョキッと棒のようなものが出てくる。その形はSF映画に出てくる光の剣に似ていた。色が付いているだけで光っているわけではないし、刃の素材は金属質だが。

 それから、靴とその他関節に当てる防具が次々と足元の穴から現れる。


「おお、すげー!」


「靴は、僕が履いているものと同型でしょう。履けば身体能力が上がるタイプのものです」


「ほー! これで俺もスーパーマンみたくなれるわけだな!」


「会長はゾンビ靴を履くのが初めてですからまず転ぶでしょうね」


「リアルなこと言うのやめてくれる!?」


 言葉を交わしながら靴や防具を身につけると、剣を握ってみた。高月の感想としては、軽い。

 対ゾンビとして使うには軽すぎる気がするが、何か能力でもついているのだろうか。

 剣を振りながら指示を待っていると、目の前の壁に穴が空いた。正確には、壁に長方形の線が生まれて、その線で囲まれた部分が上へと上がっていく感じだ。扉が隠れていたのか。


「すげー、こんな技術が日本にあったのか」


「まるでSF映画ですね。ゾンビ映画を見ていたのにSF映画を見せられてる気分です」


「それな」


 軽口を交わしながら穴に目を向けていると、穴から二体のロボットが出てくる。犬型のロボットで、見た目はドーベルマンに似ていた。色は銀色で、テカリと光る様は金属質な触感を想像させる。


「これを倒せば良いんですかね」


「だろうな」


「よし……」


 言いながら、両者は目を伏せ腰を落とす。剣を水平に構え、ドーベルマンの動きを観察する。

 その姿に春馬は「ほう」と目をみはる。


「さすがは数日間ゾンビと戦ってきた生存者というだけはあるな、なぁ前島さん」


「ふむ、そうだな」


 マイクは使っていないためこの会話は二人には聞こえていないが、二人は何となく自分が評価されているのを察した。


「さて、ではテスト開始!」


 エコーのかかった声を合図に、二人は動いた。





※※※





 ザザッと足を運び、滑るように前進すると、同時にドーベルマンを睨む。ドーベルマンも動き出していた。

 体勢を低くし無音で駆け出すドーベルマンを見て、高月は走りながら狙いを定める。


(まずは、足!)


 ドーベルマンの足が地を蹴って、再び地に着いた瞬間。

 その場所を、高月の剣が斬った。

 バラバラと音を立てて四本の足が地面に散らばる。だが空中に浮いたままのドーベルマンは、その状態で頭をこちらに向けた。


(――な)


 ドーベルマンは口を開いた。

 そこには。


「銃――――ッ!!」


 光線が発射された。

 だが。


(間に合う!)


 靴や、関節につけた防具によって底上げされた身体能力は、ドーベルマンの放つ光線に追いつかせた。

 返す刀で一薙ぎし、光線を打ち消すと、繋げてドーベルマンを両断した。


「おお! なんかまた強くなったなカイト!」


「そういう会長はどうです? そろそろ靴には慣れましたか?」


「おうよ、バッチリ」


 永井は笑いながらババッと反復横跳びをしてみせる。それを見て安心していると、再び穴からドーベルマンが現れた。


「今度は、俺の番だぜ」


 ニヤリと笑いながら、永井は一歩前に出る。


「わかってますよ」


 高月は後ろに下がり、永井とドーベルマンを交互に見た。

 ドーベルマンは先ほどのものより大きいようだ。そして少しだけ背中が盛り上がっている。あそこに何らかのギミックが仕掛けられているだろうことは見なくても想像できた。

 さて、と永井は息を吐く。


「行くぜ!」


 永井は地を蹴った。

 だが高月と異なり、直線的には進んでいない。楕円を描くように、大きく迂回してドーベルマンへと向かった。

 そんな永井に対し、ドーベルマンは口を開いて光線を浴びせる。


(光線が厄介だな……)


 永井には高月ほどの戦闘センスはない。だから、雨のように浴びせられる光線を打ち消しながら近づくなどできない。

 ではどうすれば良いか。


(回り込む!)


 即決だった。

 グンと進路を曲げて最短距離を辿り、ドーベルマンの後ろ足を狙う。

 が、ドーベルマンも何らかの知能らしきものが搭載されているようだった。進路を変えた永井を見て、すぐに対応した。

 後ろを取ろうとしても、ドーベルマンが体を動かし取らせない。


「クソっ、うざってぇ!」


 後ろを取ろうとしても取れないのであれば、後ろは諦めるしかない。

 次の手は。


「真上!」


 決めると同時に壁へ向けて跳ぶ。

 ドーベルマンの放つ光線が永井を追うが、全て寸前でかわした。

 壁に足をつけると、再び蹴る。

 そのまま永井は、放物線のような軌道で対面の壁へと跳んだ。


「おお、さすが会長。もう使いこなしてる」


 高月もこれには感嘆した。

 さすがの運動神経だ。


「お、らぁ!!」


 永井は対面の壁に足をつけると、壁を蹴り、滑空するように降りる。

 ドーベルマンは永井の不規則な軌道の変化に対応できておらず、まだ背を向けていた。

 隙。

 その一瞬を、逃さない。

 ザン、と。

 ドーベルマンは両断された。

 が。


「や、ばっ!?」


 ドーベルマンの背中。その盛り上がっていた部分。

 やはりギミックが隠されていたらしい。

 隠れていたのは、爆弾だった。

 永井が両断したことでそれが起爆する。


「ちょ、嘘ですよね!?」


「嘘なら良かったんだがなぁ!!」


 二人は同時に壁に空いていた穴へ向けて跳ぶ。


(間に合え――――!!)


 直後、爆発があった。

今回は視点変更が多すぎて分かりづらいかもしれません。作者の技量不足です。すみません。

戦闘描写が一向に上手くならないのは勘弁して下さい(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ