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遊戯開始  作者: 羽ぐいす
2.交流と第一回イベント
96/106

変異

お久しぶりです。


 【ログイン49日目】※ゲーム内時間換算(34日)

 【イベント1日目】

 side:マカ


 大木を飲み込んでみた。

 いや、まさか自分でも飲み込めるとは思わなかったわ。

 

 わたしの《次元吸収》はとっても便利で強いスキルだけど、一つだけ使い勝手の悪い点がある。


 それは吸収できる対象の大きさ。

 

 《無限吸収》の時もそうだったようだけど、わたしの大きさ以上のものは吸収できないらしいの。

 スライムなんだから、何でも吸収できなきゃおかしいと思う。運営は分かってないわね。


 でも、レイク曰く、この " 大きさ " は " 密度 " のことなのだとか。

 細かいことはよくわからない。

 

 正確には密度でもないらしいけど、難しいことは分からない。レイクには密度と覚えておいて問題ないって言われた。


 と同時に、わたしは身体の密度が異常に高いから、大抵のものは飲み込める、とも言われたわ。

 たしかに飲み込めたのよね。


 その後も、色々なものを《次元吸収》してきたけど、飲み込めなかったものは無かった。


 だから、わたしは思ってしまった。

 今まで見た中で一番高いこの木。もしかしたら飲み込めるんじゃない? って。


 で、いまこうなっちゃったってわけ。



=========================================


 ……確認。変異進化を開始します。

 固有種(ユニーク)へ進化……完了。" 大自然之粘(エレメンタルスライム) " へ進化しました。


=========================================


========================================


 称号、〈固有者〉を獲得。


========================================


========================================


 称号、〈見えざる神〉を獲得。

 消費SP0で《並列思考》スキルを取得可能。


========================================


========================================


 称号、〈精霊の女王〉を獲得。

 消費SP0で《精霊魔法》スキルを取得可能。


========================================


========================================


 称号、〈災厄者〉を獲得。

 消費SP0で《威圧》スキルを取得可能。


========================================


========================================


 称号、〈美食家(グルメハンター)〉を獲得。

 消費SP0で【審美眼】スキルを取得可能。


========================================




 なんかたくさん獲得したみたいね。

 それと、また変異進化したみたい。


 今度は変異種じゃなくて、固有種ってやつになったらしい。

 普通に考えるなら変異種の上位なのだろうけど、よく分からないわね。


 周りを見てみると更地が広がっている。

 元々大木があったスペースだから、その広さはかなり大きい。

 

 あれ? なんか目がよくなった気がするわね。

 それに感覚も良くなってる気がする。

 

 進化した影響?


 確か……大自然のスライム? みたいな種族だった。

 とりあえず取れるスキルを取って、ステータスを開いてみた。

 

_______________________________________

 ステータス


 レベル 1

 存在値 78+26

 名前  マカ

 種族  大自然之粘(エレメンタルスライム)

 職業  兵士


 パラメータ


  HP336(∞)

  MP3314+3000(∞)


  速力158 筋力153 防力169

  器力169 精力169


 スキル

 〔種族スキル〕《次元吸収》LV 15+1《原子分裂》LV 22+1

  《魔法耐性大》LV--《物理耐性大》LV--《自然之恩寵》LV--


 〔職業スキル〕《消化強化》LV48+2《決死》LV--


 〔通常スキル〕《火魔法》LV11《水魔法》LV12

  《触手》LV8《並列思考》LV26《美食》LV1

  《眷属命令》LV20+1《分身操作》LV20+1

  《精霊魔法》LV1《威圧》LV1

 

 〔武技スキル〕


 〔固有(ユニーク)スキル〕【審美眼】LV--



 SP153

 EP0

 PP21



 称号

 〈美食者〉〈変異者〉〈分裂者〉〈人格者〉〈非人道主義者〉

 〈固有者〉〈見えざる神〉〈精霊の女王〉〈災厄者〉

 〈美食家(グルメハンター)

_________________________________________________


 

 MPの伸びがすごいわね。

 ……でも、それ以外は全然伸びてない。


 目新しいものは称号ね。

 〈見えざる神〉って何よ。意味がわからない。

 その他の称号も意味がわからないものばかり。


 後でレイクに見せた方が早いわね。


 そう判断して放置しておくことにした。

 決して面倒くさいわけじゃないわよ。


 でも、新しいスキルの説明くらいは軽く見たほうがいいわよね。

 使えるスキルなら直ぐ使っておきたいもの。


 新しく獲得した称号とスキルの説明を本当に軽く見ていく。

 

 《魔法耐性大》と《物理耐性大》は、それぞれのダメージを軽くしてくれるっていうスキルだった。

 名前のまんまのスキルね。


 この《自然之恩寵》っていうよく分からないスキルは、HPとMPの自動回復をしてくれるようで、常時発動なのだとか。


 最後に固有スキル? というやつは、オーラが見えるようになるらしい。

 オーラ? 意味が全く分からないわね。


 でも、固有スキルって書いてあるから強いんだと思う。

 サクヤも持ってなかったと思うし。

 

 試しに使ってみようかしら。

 MPの消費はないようだし、使ってみない理由はないわよね。

 

 そう思い、私は【審美眼】を発動させる。

 すると、視界に映るもの全てが色褪せ、暗くなった。


 なにこれ?

 ただ見づらくなっただけじゃない?


 オーラが見えるって書いてあったけど、それらしいものは何一つ見えない。

 

 疑問に思いながら周りを見てみる。

 視界は変わらずに色褪せていたが、真後ろを見たところで変化があった。


 この光はなに?


 色褪せた湿林の中に、ぼんやりと白い光が見える。

 その光量は弱く、今にも消えてしまいそう。


 私は一旦【審美眼】を解除してみた。

 そして、白い光が見えた方を再度見る。


 ……何もいないわね。

 

 不思議に思い、もう一度【審美眼】を発動してみる。

 するとやはり白い光は見える。

 

 どういうことなの?


 私は白い光に向かって歩いていった。

 





 ☆☆☆☆☆




 side:???

 

 

 「じ、冗談じゃないぞ……」



 「ど、ど、どうします?」



 私と彼が見つめる先、そこには化け物がいた。

 巨大樹が消え、いきなり現れたかと思えば急に光だし、その光が収まると虹色に輝き出した。


 見た目は完全にスライムだが、こんなのは見たことも聞いたこともない。

 そんな明らかにおかしい魔物がこちらを向き、近付いてきた。

 私と彼が慌てるのも無理ないだろう?


 

 「ちょっと、どうします!?」



 「お、落ち着け。このままやり過ごすしかない」



 「見捨てないで下さいよ!?」



 「わかってる!」



 私と彼は木の根に隠れている状態。

 もし動けば、私はともかく彼は見つかってしまう。


 かといって戦っても結果は見えている。

 お願いだから見つからないでくれ!

 私はそう祈っていた。






 ☆☆☆☆☆




 side:マカ



 【審美眼】を時折り発動しながら、白い光へ近づいていく。

 どうやら木の根の裏にあるっぽい。


 この光の正体はなんなのかしらね。


 それが分かれば、いまいち分からない【審美眼】の効果が分かるかもしれないわ。

 

 それにしても、進化したのにパラメータが全く伸びなかったのは最悪ね。

 一番欲しい速力が伸びずに、一番いらないHPとMPが伸びた。


 もう本当に嫌になっちゃうわ。

 

 歩くスピードが進化前と全く変わらないため、そんなことを思ってしまう。

 けど、白い光までの距離は近い。すぐに木の根まで近づけた。


 この裏ね。


 私がそう思った瞬間、木の根の裏に何か動くものが見えた。

 

 何?


 

 「う、うわああぁぁぁ!!」


 

 熊!?


 木の根の裏から出てきた大型動物……熊だわ。

 咄嗟に《原子分裂》と《次元吸収》を発動させようとする。


 けど、熊は向かってこない。

 それどころか逃げてるわね。


 大きな声を上げながら私と正反対の方向に走っている。


 ……大きな声?

 喋った?


 

 「待って!」



 私はすぐに制止の声をかける。

 けど、熊は完全にパニック状態のようで止まる気配はない。


 仕方ないわね。


 私は《触手》を発動させた。

 久しぶりに発動させたけどうまく操作できるかしら。

 発動させた触手を熊に向かって伸ばす。


 触手は思った通りに熊に向かっていく。その際、自分の身体が目に入ることで、あることに気づいた。

 

 ……私の身体光ってる?

 明らかに進化の影響ね。


 しかも、ただ光ってるんじゃなくて虹色に光ってる。

 凄く目立ちそうねこれ。


 

 「えぇ!?」



 触手は熊を捕らえ、動きを封じた。

 熊は驚いたような声をあげ、触手から抜け出そうと必死にもがいている。


 けど、全く抜け出せていない。

 筋力は私のほうが上のようね。


 声を発したってことは単純な魔物じゃないようだけど、NPCかしら? それともプレイヤー?

 


 「もしもし? ちょっといい?」

 


 熊に近づきながら声をかける。

 私が話すとは思っていなかったのか、熊は驚いた様子で固まっている。


 なんとなくプレイヤーっぽいわね。


 

 「私、マカっていうんだけど、あなたは?」


 

 「…………」



 熊は答えない。

 ずっとこっちを見てる。

 

 なによ。こいつ。

 やっぱりNPCかしら?


 

 「ち、ちょっとまってくれ。君はプレイヤーなのか?」



 やっと話した、と思ったけど熊の方から声はしない。

 私の後ろから声がしていた。


 もう一人? どこにいたのかしら。

 と、疑問に思いつつ振り返る。


 

 「あれ?」


 

 誰もいなかった。

 普通に怖いわね。



 「し、下だ」



 そう言われれば確かに下から声が聞こえる。

 私は自分の足元を見てみた。


 


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