表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊戯開始  作者: 羽ぐいす
2.交流と第一回イベント
93/106

戦い

 

 【ログイン49日目】※ゲーム内時間換算(34日)

 【イベント1日目】



 漸く経った三時間。

 今、俺の目の前には続々とプレイヤーが現れている。


 続々と……続々……続々……。


 

 「おいおいおいおい!! 多すぎだろ!!」



 《念動力》にて上空で待機している俺。

 狼人たちは、俺の攻撃に巻き込まれないよう村長家に避難させている。


 あとはプレイヤーを相手にするだけ。

 なのだが……。


 村のほうを見れば、まるでプレイヤーがゴミのように蠢いているじゃないか。

 これを相手に一人で戦う?


 

 「無理があるよなあ」


 

 と、思わず独り言の一つもこぼれてしまうというものだ。

 

 森エリアで戦ったときは30人相手でも大丈夫だったが、それはあくまでも30人だったから。

 そして今は、ぱっと見で1000はいる。


 

 「逃げたい」


 

 逃げたい。めちゃくちゃ逃げたい。

 

 だが……これはイベント。

 しかもメダル争奪戦のはずだった。


 いまのところメダル要素は皆無だが、まあこれから出てくるんだろう。

 というか争奪戦? 魔物と人間で奪い合うのか?


 本当によく分からん。

 

 と、俺が悠長に考えているうちに、プレイヤー達は村を漁り始めていた。

 上空っていうのは意外とバレないらしい。


 まあ、俺が《隠密》を発動しているからというのもあると思うが。


 しかし、こうして見ればプレイヤー達はただの泥棒だ。

 我先にと狼人たちの家へ走っている。

 

 狼人たちには悪いが、もう少し観察しとこう。

 決してビビっているわけではないぞ。


 ん?

 いま狼人の家から出てきたプレイヤー……手にメダル持ってなかったか?


 ……よく見れば、ほかのプレイヤーの手元にもキラキラ反射するものがある。

 色は青、かな。


 なるほど。

 魔物を倒して獲得するものだと思っていたが、普通に置いてあったりするらしい。


 あれ、それなら俺も漁るべきじゃ――

 

 

 「――痛っ」



 なんかダメージを受けた。

 というか、魔法が飛んできた。

 

 下を見れば何人かこちらを見上げている。


 あれ? 《隠密》さん?


 《隠密》を破るスキルを持ったプレイヤーがいるのかな。

 さすがの《隠密》でも、障害物も何もない空だと効果はイマイチなのかもしれない。


 ……いや、そんなことより問題は。


 一人。また一人と、空を見上げるプレイヤーが増え続けていることだ。

 あー、ヤバいー。


 幸い封印の仮面をつけているので、俺の顔がバレることはないと思われる。

 

 だが、このままだと不味いの明白。


 とか言ってるうちにほら。

 また魔法が飛んできた。


 今度はたくさん。

 それはもう沢山。


 火やら水やら風やら土やら……オールスターだ。


 とりあえず全部《念動力》でお返ししとこう。

 この分もスキルレベルの糧になるといいんだが。


 案の定驚いているようだなプレイヤー達は。


 おお、次は矢が飛んできたぞ。 

 結構高いところに浮かんでるのに、よく届いたな。


 まあこれも《念動力》でお返ししとこう。


 矢を打った本人へと真っ直ぐ命中。

 結構ダメージを受けたっぽい。

 

 ……うん、ぶっ壊れてますねコレ。

 正直、俺って遠距離攻撃無効なんじゃないか?


 マカみたいな物量でこられない限り、という一言が付くのが嫌だけど、ほとんどは無効だろう。

 

 おっと、また魔法が来た。今回はかなり多いな。


 《念動力》でお返ししてと。

 

 お返しして、お返しして、お返し……。

 

 ……ヤバい。魔法が止まる気配がない。

 というか、勢いが増してる気がする。


 あ、ついに全方向から魔法が。

 《魔力操作》のおかげで、まだお返しできているが、そろそろ処理が追いつかなくなってきたぞ。


 返しても返しても魔法の嵐が止まらない。

 

 ど、どうしよう。

 

 なんとか《気力操作》でプレイヤーの動向を見てみる。

 すると、かなりのプレイヤーが山へと走っていた。


 と同時に、追加のプレイヤーがどんどん現れている。


 や、やべーよ。

 かなりの数の罠を設置しているが、プレイヤーの数もそれと同じ、いやそれ以上いる。


 有効な足止めにはならないだろう。

 

 いきなり詰んだかもしれない。

 

 と、大袈裟に思いつつも。

 実は心の中ではかなり冷静だったりする。


 まあ何とかなるからね。


 《念動力》を一方向に集中して発動する。

 必然的に他の方向の処理が遅れるが、許容範囲だ。


 この魔法の嵐から、一時的にでも脱出できれば良い。


 俺は集中処理していた方向へ《念動力》で加速。

 同時にその方向からくる魔法のみを処理することに集中する。


 よし。魔法の嵐を突破した。

 案外、簡単に突破できた。

 

 すぐに急降下。

 このまま空中にいれば、また良い的になってしまうだけだ。


 そして!


 着地と同時に ≪圧殺≫ !!


 俺の周りにいたプレイヤーが見事に吹っ飛ばされる。

 流石に一撃で死にはしなかったが、まあまあダメージは与えたと思う。


 まるでスーパーマン。 

 いい演出ができたことに満足だ。

 

 

 「な、なんだコイツっ!」



 「ボスだ! ボス!!」



 「あんな魔法食らっといて全然HP減ってねぇぞ……」


 

 「囲め囲め! 魔法職は支援を!」



 「意外とちっこいな」



 おいそこ。ちっこいとか言うなよ、気にしてんだから。

 混乱してぐちゃぐちゃになるかな、と思ったプレイヤー達だが、意外とまとまりがある。


 完全に陣形を整えられると面倒くさそうだ。


 先手必勝。

 まずは牽制の意でファイヤボールを発動させる。


 そして《付与魔法》を発動。

 スキルレベルが30になったことで、同時に付与できる属性の数が3つになったようだ。


 今回付与するのは水、風、光。

 この3つを体全体に付与する。


 これで、各パラメータ上昇とHPMPの自動回復。

 さらに状態異常耐性もつく。

 

 久しぶりに《付与魔法》を使った気がするが、やはり強いな。

 準備はバッチリ。


 では。

 

 自慢の龍劉璽を抜く。

 この美しい刀を見よ!


 俺は目の前のプレイヤーに向って突進。


 圧倒的なステータスの差からか、目の前のプレイヤーは俺の速度に反応できていない。

 がら空きの胴へ一閃、二閃。


 それだけで目の前のプレイヤーはHPを全損させたらしく、ポリゴンのように消え散った。

 流石は龍劉璽。


 この調子でどんどんプレイヤーを倒さねば。

 

 なにせ1000人が相手だ。

 現在進行形でプレイヤーは増え続けているし、頑張らないと不味い。


 こういうときにマカが居ればいいのにな。

 あのぶっ壊れコンボで、超広範囲殲滅ができただろうに。


 そんな無駄な思考をしながらも、俺は刀を振り回している。

 もちろんテキトーに振り回しているのではなく、ちゃんと見て狙って振っている。


 猪突猛進。

 乱戦に突入。


 俺は《魔力操作》と《気力操作》のおかげで、ほとんど死角はない。

 そのため、乱戦になっても問題はないのだ。


 一人、また一人と斬り伏せていく。

 

 《刀撃》のスキルレベルがぐんぐん上がっている気がする。

 この調子、この調子。


 というか、一つ気づいたのだが。

 認めたくはないが、この小さい身体は意外と便利だ。


 特にこの乱戦においてはかなり有利だろう。

 

 プレイヤーとプレイヤーの間を移動しやすく、簡単に懐に入り込める。

 何と戦いやすいことか。


 流れるようにプレイヤーを切り刻んでいくことができるのも、この身長とステータスのおかげ。まあ速力は下がってるんだけど。


 そしてレイクさん曰く、刀は包丁の要領で使うといいらしい。

 押すのではなく引いて切るのだそうだ。


 まあ龍劉璽の切味は鋭すぎるので、これくらいの相手なら何も考えずに切っても十分だろう。

 だが、意識だけはしている。そう意識だけは。


 ……なんていう思考をするくらいには余裕もある。

 俺視点からはプレイヤー達の動きがあまりにも遅く見えるのだから当然か。


 せっかくの戦闘で刀しか使わないのも勿体ない。


 魔法やほかのスキルも使っていくとしようか。

 

 とりあえず《火魔法》《水魔法》《風魔法》《土魔法》をそれぞれ使う。

 全部○○ボールだけど。


 そして次は ≪残像≫ や ≪切断≫ といった武技スキル。

 残念ながら ≪圧殺≫ はまだクールタイムだ。

 あともう少しでまた使えるようになる。


 あとは……《影魔法》と《光魔法》か。

 シャドウショックとライトショック。


 正直、スキルレベル上げ以外に使う理由はないな。

 わざわざこんな事しなくても、龍劉璽の一振りで終わりだし。

 

 しかし、こんな激しく動いているのに全く疲れないとは……さすが魔物だな。

 現実世界だったらとっくに心臓が破裂してるぞ。

 

 そう思った瞬間、今更ながらあることに気づく。

 加藤はどうしてるんだろうな、ということに。


 いつもならイベント開始前に連絡の一つもあっていいのだが、そんなものは無かった。

 もはや誘われもしなくなったということか。


 まあ誘われても断るしかないのだけど。


 だが、加藤は必ずイベントに参加しているだろうな。

 いや加藤だけでなく、櫛奈や末貫に八瀬も参加しているに違いない。


 うーん。会いたいような会いたくないような。

 俺の心境はだいぶ複雑だ。


 今の俺はエリアボス。

 もし会ったとしても敵同士だ。否が応でも戦わなければならない。


 ……ん?

 というか、会ったとしても分からなくないか?


 俺はまだEOF内で加藤と会ったことがない。

 むしろ会ったことがあるのは八瀬くらいだ。


 つまり、八瀬しか分からない。

 加藤を見つける事はできないのだ。


 ……とりあえず八瀬がいるかどうかだけ見てみるか。

 

 八瀬にはラティがいる。

 もしここにいるなら見つけるのは簡単だろう。


 プレイヤーも最初よりはかなり少なくなったので、《念動力》で空中に上がっても大丈夫だ思う。

 

 そう判断した俺は目の前のプレイヤーを切捨てた後、一気に空中へと加速した。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ