このタイミングで
【ログイン26日目】 ※ゲーム内時間換算(19日目)
とりあえず、俺は見て見ぬ振りをした。
日本人が得意なアレだ、アレ。
周りに人がいると、その周囲の行動に合わせてしまう。
同調圧力とはまた違った日本人あるあるだ。
まあ、周りに人はいないんだけど。
それに。
ヒルも放っておいたのだから大丈夫だろう、という考えが大きい。
何せこの森は異常だ。この部分の木も何日かすれば生えてきそうだな。
森林破壊を俺が気にしなくても良い。
さて。
何しようか。
ヒルが修行を強制終了してしまったので暇だ。
やることも…………レベリングくらいかな?
ここら辺のボアを倒すのも良いし、一度森に帰ってウルフを狩るのも良いな。
マーナさんにも顔を出さなきゃいけないし。
それと、洞窟に置いといてるアイテムも錬金室の方に運ばなければいけない。
いつまでもここに放置するわけにはいかないからな。
あ、後。
レイクさんからの返事がどうなったか。
そういえば、二週間前から修行に集中していて、掲示板に全く目を通していなかった。
や、やべぇ。
もし返事が来てたら、レイクさんからの返事を俺が一週間もスルーしてることになってしまう。
流石にそれは失礼。
俺は慌てて掲示板を見る。
何故今までこのことに気づかなかったのか、自分で自分が嫌になる。自己嫌悪ってやつだ。
……なんて事を思いながらも、俺は現状を楽観視しながら掲示板を見る。
何故なら、意外とレイクさんいい人そうだし、あんまり怒らないと思うからだ。
それにあくまで希望的観測だけど、魔物プレイヤーも今は二人なんだし、今回のことも水に流してくれるんじゃないかな……という説を信じてる。
なので、俺はそんなに重く受け止めていない。
まあ大丈夫だろ、くらいの気持ちだ。
しかし。
それも裏切られる。
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魔物専用スレ
※人種側からこのスレは秘匿されます。
※現在、3名。利用可能です。
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大事なのは助けあい
1.レイク
魔物になったのはいいんですが、レベルやスキルなどが全く分かりません。同じ魔物同士、助け合いましょう! 二人だけなんですし。
次スレは500からで。二人なんですけどね。
2.名無し
すいません。今まで魔物のプレイヤーが他にいないものだと思っており、気づきませんでした。
恐らく、魔物の初期リスはランダムなのでレイクさんの場所が草原エリアか森エリアか教えてもらえませんか?
自分がそこに向かいます。ちなみに自分の種族はウルフです。レイクさんの種族も教えていただけると嬉しいです。
3.名無し
大丈夫ですよー。私も2日ほどログイン出来てなかったんで気にしないで下さい。ちなみに私はいま草原エリアにいます。種族は見てわかると思うので敢えて言いません。草原エリアの壁沿いに行動しているので、見つけやすいと思います。
4.名無し
どもども。
魔物成り立てなんだけど何すれば良いのよこれ。
5.名無し
>>4
草原エリアなら、草原エリアの端の壁沿いにいれば私と会えると思いますよ! 種族は何ですか?
6.名無し
>>5
魔物の王様であるスライム!
私も草原エリアいるから向かうね!
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ここで掲示板は途絶えている。
ちなみに一週間前の出来事ですね、これ。
……ぐすん。
見事に俺だけハブカレテル。
しかも、これから一週間も経っている。
レイクさんと3人目の魔物プレイヤーももう打ち解けているに決まっている。
完全に出遅れた。
今更、俺が出しゃばっても、何こいつ、ってなるに決まっている。
……ぐすん。
何でリア友からもネッ友からも仲間外れにされるんだ!
おかしいだろ。
これも全部、ヒルのせいだ。
そうに違いない。
あいつの修行という名の拷問のせいで、レイクさんからの返事に気付けず、挙げ句の果てには3人目の魔物プレイヤーに先を越されるじゃないか。
レイクさんをネッ友扱いは厚かましい、なんてツッコミは受け付けない。あの人はもう友達だ。
俺が友達って思ってるから友達なのだ。
……小学生もドン引きの理論展開だな俺。
まあ、ポジティブに考えるのは大事なこと。
そう思い込んでおこう。
とりあえず、掲示板でレイクさんの反応を確認してみよう。
今ならまだ間に合う。まだ助かる……。
そう希望を持ちながら掲示板に書き込む。
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魔物専用スレ
※人種側からこのスレは秘匿されます。
※現在、3名。利用可能です。
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大事なのは助けあい
1.レイク
魔物になったのはいいんですが、レベルやスキルなどが全く分かりません。同じ魔物同士、助け合いましょう! 二人だけなんですし。
次スレは500からで。二人なんですけどね。
----------------------------------------------------------------------(略)
5.名無し
>>4
草原エリアなら、草原エリアの端の壁沿いにいれば私と会えると思いますよ! 種族は何ですか?
6.名無し
>>5
魔物の王様であるスライム!
私も草原エリアいるから向かうね!
7.名無し
>>6、5
すいません。私情でログイン出来ませんでした!
レイクさん達、いま何処にいますか?
自分も直ぐに向かいたいのですが……。
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よし、これで言い訳は良い感じだろう。
私情と言っておけば、大体の人は気を遣ってその話題に触れてこない。
俺の完璧な策だ。
レイクさん達の位置もしっかりと聞いてるしね。
あとはレイクさんからの返事を待つ。
そして恐らく、返事は結構早いと思う。
レイクさん、俺の返事から2日ほどログイン出来てなかった、と言っていたが。
このゲームは今、現実の2倍の時間になっている。
なので、2日ほどログイン出来てなかった、といっても1日空けたか空けてないかくらいのペースでログインしていたのだ。
それに、掲示板を見る限り。
3人目の魔物プレイヤーが掲示板に書き込んで直ぐにレイクさんが返事をしていた。
その後、掲示板にて3人目の魔物プレイヤーの返事が少し遅れていたが、レイクさんはそれにも直ぐに返事していた。
この事からかなり長い時間、レイクさんはログインしていることが分かる。
そして、かなりの頻度で掲示板を見てる。
という事は。
俺への返事も、直ぐに来てもおかしくないのだ。
そして。
それに伴って、俺の行動も早くしなければならない。
レイクさんの返事が来るまでにやる事がある。
黒の試練のクリア報酬アイテムを移送、マーナさんに少しでも声をかけておく事。この二つだ。
アイテム達をいつまでも此処に置いておくわけにもいかないし、マーナさんに顔を見せるのも二日どころか二週間経っちゃってるし。
優先すべき事は多い。
本当に忙しいな。
ヒルの修行が終わった直後からこれだ。
……まあ、暇よりは良いんだけどさ。
少し複雑な心境だが、俺は洞窟に放置してあるアイテム達を拾う。
アイテムの数はあるが、俺の体が大きいからか持つのは楽だ。
では。
とりあえず森エリアに帰るとする。
マーナさんに会うにしても、アイテムを預けるにしても、森エリアに行くのは変わりないからな。
森エリアまで距離は少しあるが、全力で走って《念力》を使えば間に合うだろう。多分。
レイクさんの返事にもよるが、こればかりは分からない。
また返事が遅れてしまうことだけは避けたい。
掲示板を見る事は忘れない。
これは自分の胸に刻んだ。
俺は、草で視界が悪い洞窟前を走り抜けるために全力で走ろうと、第一歩を踏み込んだ。
と同時に転んだ。
自分でも驚くスピードが出たため反応が遅れた。
知覚は出来ていたので大丈夫だ。
しかし。
問題はそこじゃない。
何故、そんなスピードが出たのかだ。
心当たりは一つしかない。
というか、ほぼ確信していた。
何故ならば、この現象に覚えがあったからだ。
俺は溜息をしながらステータスを開く。
=========================================
《気力》のスキルレベルが上限に達しました。
スキル《気力》が進化します。
……確認。スキル《気力》が《気力操作》に進化しました。
中級スキルに進化……初心者補正が解除されました。
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早速、爆弾が放り込まれた。
《錬金術》に続き、《気力》が進化した。
《気力》を取得してからそんなに時間が経っていないのに、もう進化するのか……。
これがヒルの指南のおかげとは思わない。
その証拠に、今まで全くスキルレベルが上がらなかった《閃めき》のスキルレベルが物凄く上がっている。
完全にこのスキルのおかげである。
決してヒルのおかげではない!
俺は心の中で断言しながら、ステータスをしっかりと見ていく。驚く内容多すぎて、もう驚かなくなってきたわ……。
_______________________________________
ステータス
レベル 50+38
存在値 72
名前 サクヤ
種族 大狼
職業 探偵
パラメータ
HP1180+760
MP1140+760
速力368+190 筋力365+190 防力365+190
器力645+380 精力645+380
スキル
〔種族スキル〕《爪撃》LV26《噛撃》LV8
《変化》LV16
〔職業スキル〕《鑑定》LV37《閃めき》LV39
《視覚強化》LV25
〔通常スキル〕《錬金術》LV1《念話》LV--
《念力》LV39《潜伏》LV48
《地図》LV32《耐久》LV13《火魔法》LV8
《水魔法》LV8《風魔法》LV8《土魔法》LV8
《光魔法》LV8《影魔法》LV28
《付与魔法》LV25《偽装》LV30
《不意打》LV5《気力操作》LV1《武闘》LV1
《根性》LV6
SP157+114
EP7+7
称号
〈変わり者〉〈念じる者〉〈潜む者〉〈耐える者〉
〈PK〉〈暗殺者〉〈気を修めし者〉〈黒の先駆者〉
〈死に急ぐ者〉
_________________________________________________
はあ……。
ステータスを見て納得した。
これは自分の身体能力に振り回されるわけだ。
だって。
パラメータの上がり方が今までと比べて、断トツで高いもん。
HPとMPに至っては、まさかの1,000突破だもの。
自分でもやべぇと思う。
他のパラメータも大幅に強化されている。
SPはどうやらバグってるらしい。うん、そうだ。
あ、SPの項目を見てたら気付いてしまった。
……EP溜まってる。
……レベルが50ぴったり。
どうやら、また種族進化らしいな。
前回と比べて早い気はするが。
まあ、EP貯めるのが辛いから。
そんなに早く進化は出来ないだろ。多分。
存在値という新しい項目もしっかり上昇していた。
具体的に存在値が、何を指し示しているのか分からないが、上がっている分にはデメリットはない気がする。
それに58から72と結構上がっている。
上がり幅の要因もよく分からんけど。
まぁ、存在値については放置だ。
しかし、困った。
森エリアに早く行きたいのに、この速力についていける気がしない。
今までの2倍近い速さだ。
慣れろ、という方が無理。
50メートル8秒の人が、4秒で走れないでしょ。普通。
俺がその普通じゃない状況で、普通に走れるわけないよ。
上手く調整して半分くらいの力で走ろう……難しい。
何かないのかな。こういう時に効くスキルとか。
折角、SPが150以上あるんだから使わなきゃね。
スキルを色々見ていく……が。
無い。こういう時に限って無い。
二周くらい見たが、無い。
もう潔く諦める。
俺はステータスを閉じようと……したところで。
気付いてしまった。
職業の欄が。
何故か光っていることに。
そして俺は興味本位に。
触った。
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転職が可能です。
中位職、下位職に転職できます。職業を選択して下さい。
なお、転職前の職業スキル等は全て引き継がれます。
……
……
(以下略)
=========================================
うお……。
これはまた、とんでもない。
まさかの転職がある。
しかも今、選択する感じか。
いずれ、こういう転職はあると思っていたが。
もうか、今か。……早いな。
こんな忙しい時に……。
タイミングが悪い。
普通なら興奮して喜ぶんだろうが、生憎そんな気になれない。
優先事項が山積みになっている今の俺からしたら、寧ろ迷惑。ここで発見はしたくなかった、本当に。
はあ。溜息を零す。
スキル詳細
《鑑定》+2 《閃めき》+26 《潜伏》+2
《耐久》+3 《視覚強化》+8
NEW《根性》+5




