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遊戯開始  作者: 羽ぐいす
1.出会いと成長
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新たな修行


 【ログイン12日目】



 昨日のメンテナンスが良い機会だと思い、学校の課題を終わらせようと奮起していたが、そんなに甘くはなかった。


 結局終わったのは、出された課題のうち三分の一程度。

 面倒な課題も残っているし、早く終わらせなければ。


 少しでもEOFを楽しみたいのに……。

 こういう時だけ、時間が有り余っている大人が羨ましい。


 そんな思考はさて置き。



 ゲームにログインする。


 思えば、もうこれも手慣れたものになった。

 最初はログイン自体が不安だったのだが、今はそれも嘘のようだ。こんな事を考えているのがその証拠だ。


 俺は体の感覚を取り戻すと、目を開ける。


 すると、そこは白い空間……ではなく洞窟だ。

 俺がログアウトした場所で間違いない。


 どうやらメンテナンスは終わっているようだ。


 運営が何のためにメンテナンスしたのかは知らないが……。

 まあ、俺には関係ないか。


 メニューを開き、レイクさんから返信がないか掲示板を確認しようとすると、運営から連絡が来ていた。なんだこれ。


 疑問に思い、内容を見てみる。

 するとそれは、メンテナンス後の変更点についてだった。

 

 俺はそれに目を通す。

 かなり念入りに。


 …………。


 ……ふむふむ。


 ……なるほど。


 大体分かった。

 主な変更点はこんな感じ。


 ・《鑑定》の弱体化


 ・五感の同調率の向上


 ・ステータスの簡略化


 ・獲得経験値の増加


 ・掲示板への写真、動画搭載機能


 ・アイテムランクの記載変更


 ・時間加速倍率の実装


 ・魔物プレイヤー同士の会話が可能


 この8つだ。

 結構変わるみたいだな。


 1日のメンテナンスでこの作業を終えたのか。

 ゲームの製造といい、相変わらず運営は仕事が早いな。


 そして、それぞれの詳細についてだが、これも驚く内容が多かった。

 

 まず、《鑑定》の具体的な弱体化について。

 《鑑定》によって見れるステータスやアイテムの情報が制限され、《偽装》などのスキルがあると《鑑定》が殆ど出来なくなったらしい。


 まあ、当然の範疇だな。

 元々が強すぎるのだし、これからも使う場面は多くなる。


 俺にとってあまり影響はないんじゃないかな。

 これからも《鑑定》には期待しておく。


 で、五感の同調率が今までより上がった。

 これは、このゲームが現実により近くなったという認識で問題ない。

 

 前から五感の違和感はなかったが……。

 向上というのも微々たるものなのかもな。


 まあ、重要っちゃ重要な事なので上がる分には良い。

 上がりすぎて困る事はあるかもしれないが。

 それはまだ分からないし、知らない。


 ステータスの簡略化は……違いが見ただけでは分からなかった。

 説明をみて、ようやく理解できるだろう。


 今まで、スキルレベルやレベルが上がった時、いくつ上がったのか表示されていたが、そこが簡略化されて表示されなくなっていた。


 それと同時に、新しい項目が追加されていた。


 存在値というものだ。


 レベルの下に追加されていた、その存在値。

 見たところ、俺の存在値は58らしい。


 これが高いのか低いのかは比較対象がいないので分からないが、1とかじゃなくて本当に良かったと思う。


 この値については後々調べていくつもりだ。


 獲得経験値の増加は、約1.5倍に増えたらしい。

 レベリングがしやすくなるのは嬉しい。


 EPも増やしやすくなるしな。

 良いことしかない。


 何故増やしたのかは知らないがな。

 運営にも事情があるのかないのか。

 まあ、どっちでもいい。


 掲示板への写真、動画搭載機能。

 これは中々便利だった。


 試しに洞窟の写真を撮ったり、動画を撮ったりしたのだが、掲示板にそのまま送ることができた。

 

 レイクさんは何これ? と思うかもしれないが、俺の心を察してスルーしてくれることを願う。よろしくね。


 アイテムランク記載変更。

 これはアイテムを《鑑定》しただけで気付いた。


 メンテナンス前はレア度になっていたのが、今ではランクに変わっている。


 しかし。レア度8に対してランク8なので、価値としての基準は変わってない。恐らく。


 ただ名前がレア度からランクへと変化しただけだ。

 はたしてこの変更に意味があるのか。

 それを知るのは運営のみ。


 時間加速倍率。

 これが最もとんでもない機能だ。


 とんでも機能すぎて、説明を四度見したくらい。

 まあ、察しの人もいるだろうが。


 これは、このゲーム内の時間を現実の二倍に引き伸ばす。

 そんな機能があるらしい。


 現実の一時間がゲーム内で二時間になり。

 現実の一ヶ月がゲーム内で二ヶ月になる。


 いやはや…………科学の進歩は早いねぇ。

 かなり早すぎる気もする。


 しかし、この運営はまたやらかす気か。

 ただでさえVRMMOの技術を他に活かせと世間から言われてるのに、さらに時間加速ときた。


 また、世間が騒ぎ出すぞ?

 俺の知ったことじゃないが、ゲームが終了するのだけはやめろよ? 全プレイヤーの暴動が起きる。

 もちろん俺も参加するぞ。


 そんなのはどうでもいいが。

 

 もっと重要なことがある。

 この時間加速のせいで、プレイ時間に大きな差が生まれてしまうのだ。


 現実でログインを1日しなかったら、ゲーム内では2日ログインしていない事になる。

 巻き返しは効くだろうが、差があるのも事実。


 課題が終わっていない俺は致命的だ。

 いつか必ず2日ログイン出来なくなる……。

 ……ゲーム内では4日間だ。


 もっと強くなって、少しでも周りとの差をつけとかないと。

 

 ……その周りがいない現状なんだがな。

 ソロでも元気にやっていこう!


 ……はい、虚しい。

 こういうのって逆に元気でないよな。

 原理は謎である。


 最後に、魔物プレイヤー同士の会話が可能になった。

 これは……逆に会話できなかったの? と運営に聞きたい。


 そりゃあ、魔物も種族が違えば話す事は出来ない。

 俺は《念話》で話せるが、そんなのは他にあまりいない。


 だが、仮にもプレイヤーなのだから会話くらい許してほしいな。明らかに人種と差別している。

 

 もし、レイクさんと会っても。

 会話できないー! なんて事が起こりえたのだ。


 幸い、そうなる前にメンテナンスがあったが。

 そうでなかったら…………。


 まあ、俺は《念話》を持っているから良いが。

 レイクさんからしたらたまったものじゃない。


 運営のメンテナンスあって良かった。


 てか、この運営も完璧じゃないんだな。

 最新技術が使われているからミスなんて無いものと思っていたが、別にそんなことはないらしい。


 俺は何故か、少しだけ安心した。

 


 メンテナンス後の変更はこんなもんだ。

 個人的には時間加速倍率が一番驚いた。


 で、俺は何をするか。

 

 ヒルのところに行くか、マーナさんのとこに行くか、返信があればレイクさんのところにも行きたい。《錬金術》を試すのも良いな。


 やりたい事が多くて困る。

 やりたい事がないよりは良いが、多いのも困りものだ。


 少し考えた結果、とりあえずヒルのところに行く。


 《気》について、その応用や発展を教えてもらいたい。

 何処にいるのかは大体わかる。


 恐らく、この洞窟の奥だろう。

 

 マーナさんの時もそうだったのだから、間違いない。

 

 ここに置いてあるアイテムは、放置だ。

 人は誰も来ないだろうし、ヒルにだけ言っておけば大丈夫。


 念ために《偽装》もしてるのだから、余程のことがない限りアイテムが盗まれることは無い……と思う。


 そんな少しの不安を抱えながら、俺は洞窟に足を踏み入れようとした。

 その不安には、洞窟が暗いことも入っている。


 

 「お、サクヤじゃねぇか。昨日見なかったが今日来たのか」



 と、俺が足を出そうとした瞬間に後ろから声がかけられる。

 紛れもなくヒル本人の声だ。


 昨日見なかった、という言葉から。

 メンテナンス中もゲームは進行していたということか。

 まあ、ヒルの勘違いの可能性もある。これは一旦置いておこう。


 俺はまず、気になったことをヒルに問う。



 「何処に行ってたんだ?」



 「ちょっと街の様子を見にな。お前みたいな奴が他にいないとも限らないし、監視は重要だ」



 いや、あのな。エリアボスがそんな自由に……って。

 ……ヒルはもうエリアボスじゃないのか。


 本当に呆気なくクエストがクリアされたから忘れていた。

 

 自由奔放なのは相変わらずだが、もう何にも縛られてない。

 今のヒルのままが良いな。



 「突然で悪いが、また " 気 " の修行をお願いしたい」


 

 「おう、それならいつでも歓迎だ。どうせやる事もそんなに無いしな。じゃあ、早速始めるぞ」



 またも急に始まった。 

 俺は少し慌てながらも、ヒルの話を聞く。


 

 「この前。お前には " 気 " の基礎である、自分の " 気 " を感じるところをやって貰った。今度はその応用だ」


 「 " 気 " は全ての物に存在している。俺にもお前にもこの草や洞窟の岩にも、空中にもだ」


 「それら全てを感知できるようになるのが、 " 気 " の基礎だ。だが、これがかなり難しい」


 「だから、お前には実戦形式でやってもらう。昨日知った事だが、お前達は死んでも生き返れるだろ? それを利用することにした」


 「ほら、こっちに来い」



 そう言うと、ヒルは洞窟に向かって歩いた。

 俺もそれに続く。


 しかし、なんで洞窟に行くんだ?

 マーナさんのところみたいに、洞窟の奥は行き止まりでは。


 そんな事を考えながら、暫く歩いた。

 洞窟は暗かったが、前が見えないほどじゃない。


 さらに歩くと、前方に光が見えた。


 洞窟に光源があるのか。

 俺は不思議に思ったが、前に進む。


 すると。

 自ずと光源の正体がわかった。


 光源は外の光だったのだ。


 洞窟はそこで終わっていて、あとは緑の地面が広がっている。遥か大きい木が立ち並び、太陽の光も薄い。


 まるで、森エリアのようだ。

 

 俺はふと思ったが、森エリアと明らかに違うところを発見した。木と木の密集が凄い。

 言うなれば。ここは、森エリアより森らしい。


 森エリアは木とウルフしかいないが、ここには木以外の植物も見た感じ多い。それに小さな虫や鳥なんかも見える。


 生態系らしいものが構成されていた。


 

 「ここは魔の大森林と呼ばれる場所だ。生きるには厳しいが生きるための物は沢山ある。俺も食料なんかをここから採取する事もあるんだぞ」


 

 俺が唖然としていると、ヒルがそう言った。

 生きるには厳しい、という言葉が気になったが敢えて聞かない。


 ちょっと怖いし、ここで何らかの事をするのだから聞かなくても分かると思ったからだ。

 

 

 「ここで何をするの?」



 「ここから真っ直ぐ行くと、とある遺跡に着く。そこにある石碑にタッチして、ここにまた戻ってくる。これが今回の修行だ」


  

 ようは往復すれば良いのか。

 距離がどのくらいあるか分からないのが怖いが、俺の速力ならそんなに時間はかからないと思う。


 行って戻るだけなら簡単だが……。


 本当にそれだけなのか怪しいところだ。


 

 「ほら、早く行ってみるといいぞ。意外に簡単かもしれん」


 

 ヒルはニヤリと笑いながら言っている。

 やっぱり何かあるだろ。


 ヒルの隠す気が無い笑いをみて警戒を強める。


 この修行には " 気 " が必ず関係してくる。

 俺はいつでも《気力》を発動できるようにしておく。


 ついでに《念力》など、他のスキルも。

 これから足を踏み入れるのは危険地帯。何が起こるか分からない、完全に初見の場所だ。

 

 俺は躊躇いながらも、足を進める。


 洞窟と森の境界線に足がかかろうとした時、目の前に何か表示された。



======================================

 警告!


 推定LV50魔の大森林へ挑戦しますか?

 難易度が高いため、リスポーン地点をここに設定できます。

  

 本当に進みますか?


======================================


 

 お、リスポーン地点をここに出来るのは良いな。

 また森エリアから此処に来るのは面倒だし。


 まあ、それだけ難易度高いよ、って事なのかもしれないけど。

 

 俺はリスポーン地点をここに設定した。

 よし、これでゾンビアタックが可能になった。


 効率が良くなったし、力押しもできる。

 ふふふ、かなり気が楽になった。


 もし、ここで死んでも次の瞬間にはここで生き返れる。

 そんな保険が生まれたため、躊躇いがなくなった。


 俺は洞窟と森の境界線を越えた。

 そこからさらに歩き、走る。


 目の前にある木を避けようと体を捻る。

 

 すると、俺の視界が黒く塗り潰された。


 ……え?


 数秒経って、自分が死亡したことを悟る。

 と同時にリスポーン。


 俺の死亡地点と思われる場所が数メートル先にある。


 まだ理解が及ばない。

 俺、なんで死んだの?


 

 「え、ヒル。今なんで俺死んだの?」


 

 「うん? 木に擬態してた魔物が、後ろからお前を食べただけだぞ。それにしても、本当に生き返れるんだな。目の前で見ても不思議なもんだ」


 

 あ、そう。

 後ろから食べられたんだ。


 俺はようやく分かった。


 この修行。

 思った難易度の数十段は高い。

 

 

今後はこちらにスキルの+表記をします。

その方が見易く、分かりやすいと思ったからです。

ステータスに纏めて表してほしい、という方が多数いらっしゃる場合は元に戻すかもしれません。意見の方お願いします。

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