謎の場所
【ログイン6日目】
ふむふむ。
なるほど。
さっき取得したスキルだが、想像以上に使えそうだった。しかも2つともだ。
《念力》を使って空を飛んでいる時に、取得して効果の確認をした。
で、現在地は洞窟の前。
帰ってきたのだ。
しかし、帰ってきたのは良いんだが、マーナさんの姿が見えない。何処かに出かけたのかな?
仮にも、エリアボスなのに……。
この間に、プレイヤーが来たらどうするんだろうか?
まあ、しばらくは来ないと思うけど。
じゃあ、マーナさんが来るまでにスキルの効果を確認しておこうかな。
本命はとっておく事にして、まずは《不意打》からだ。
名前の通り、相手の意識外から攻撃をした時に、相手が即死する確率が上がるらしい。
俺の《潜伏》と相性が良いスキルだな。
これからはセットで使うこと決定だ。
ちなみに〈暗殺者〉の獲得条件だが、プレイヤーを気づかれずにキルするというものだった。
〈潜む者〉のプレイヤー版みたいな感じだな。
だが〈潜む者〉の獲得条件と比べると、ちょっと緩い条件な気がする。
取得できるスキルの効果によって、変わるのかな?
《潜伏》には助けられてるからなー。
これからもお世話になる予定です。
次は、本命の《偽装》だ。
このスキルは、説明を読んだところ使い勝手が悪い事がわかった。
確かに、ステータスや俺の顔、姿を偽装することは出来るのだが、スキルレベルが低いうちは直ぐに見抜かれてしまうらしい。
ステータスも《偽装》よりもスキルレベルが高い《鑑定》などのスキルで観られたら、アウトなのだ。
すると、早急に偽装する必要がある称号が出てくる。
〈暗殺者〉や〈PK〉なんて称号を他の人に見られたら……。
という訳だ。
プレイヤーキルは相応のリスクが伴うようだな。
なので、もう今は二つの称号を《偽装》している。
ついでに他の称号とEPの存在、《念力》、《錬金》、《影魔法》、《光魔法》、《付与魔法》などの見られたくないスキル系と、それに加えて各パラメータを全て30に偽装しておいた。
これで、《鑑定》に観られてもレベル1なら魔法四属性が見えるだけで、強いとは思わないんじゃないかな?
これからは《偽装》をずっと発動しておこう。
少しでもスキルレベルを上げないと意味ないからな。
あ、《偽装》も《偽装》で偽装してるから安心して欲しい。
しかし、言ってるとややこしくなるな。
まあ、《偽装》についてはもういいだろう。
それよりも、久しぶりにステータスを覗いてみたくなった。どれくらいEPが上がってるかな?
楽しみだ。
俺は、メニューからステータスを表示するためのボタンをタップした。
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ステータス
レベル 30
名前 サクヤ
種族 ウルフ
職業 探偵
パラメータ
HP150 +6
MP110+6
速力110+7 筋力110+7 防力110+7
器力 145+7 精力 145+7
スキル
〔種族スキル〕《爪撃》LV23+4《噛撃》LV8
〔職業スキル〕《鑑定》LV29+8《閃めき》LV8+1
《視覚強化》LV10+3
〔通常スキル〕《錬金》LV4《念話》LV--
《念力》LV27+8《潜伏》LV35+7
《地図》LV20+7《耐久》LV3《火魔法》LV5
《水魔法》LV5《風魔法》LV5《土魔法》LV5
《光魔法》LV5《影魔法》LV20+9
《付与魔法》LV17+17《偽装》LV6《不意打》LV1
SP10 -40
EP50 +40
称号
〈変わり者〉〈念じる者〉〈潜む者〉〈耐える者〉
〈PK〉〈暗殺者〉
__________________________________________
おお……。
《潜伏》のレベルは35。
ついに30台に乗ってきた。
ここでまさか、退化してるって事はないと思う。
だが、上昇率は下がってるな。
レベルが上がるにつれて、次のレベルまでの道のりが遠くなるのは定番のようだ。
……それはそうと、魔法スキルも良い感じに育ってるのは、嬉しいな。
《影魔法》と《付与魔法》以外の魔法は、全てレベル5。《付与魔法》はレベル17で《影魔法》に至ってはレベル20だ。
それに伴って新しい魔法も覚えた。
これも、ステータスを開かないと有効化されないものらしい。全く面倒だ。
新しい魔法の名前は、シャドウアローだ。
直訳すると影の矢。
発動時間が早く、発射速度も速いので、使い勝手は今までで一番良さそうな魔法だ。
使う場面は多くなりそうだな。
そして、《付与魔法》にも新しい魔法が追加された。
その名も二重付与。
読んで字の如く、一つの対象に二つ付与が出来るようになったという訳だ。
これで実験の幅も広がった。即戦力、間違い無しの魔法だな!
ちなみに、基本四属性の新しい魔法もあった。
全部、〇〇アローだったよ。
バリエーションが乏しいなー。
だが、《光魔法》の魔法はちょっと違った。
エフェクトライト。というのが使えるようになった。
強い光を発生させるらしく、近距離で当てると{混乱}の状態異常にさせるらしい。
使えるかどうか分からない。
正直、いま役立っているのは《付与魔法》だけだ。
魔法はもっと鍛える必要があるな。
しかし、なんでEPがこんな増えたんだろう?
モンスターとか、あんまり倒してないのに。
いきなり40も上がるなんて……。
思い当たる理由がない訳ではない。
というか、ほぼ確信している。
プレイヤーを三人キルした時だ。
あの時に、爆上がりしたのだろう。
レベル19分の経験値が三人分も、俺に流れ込んだのだとしたら、おかしい計算ではない。
それに加えて、少しはウルフも狩っていたのだ。
そう考えると充分あり得そうな事だよな。
あと、半分で進化できるのかぁ……。
先は長そうだなぁ。
マーナさんの指導を受けながら、ボチボチ上げていこう。
出来るだけ早く進化したいからな。
あとは……そろそろ《錬金》にも手を出したい所だ。
完全に死にスキルになってるし。
使ってやらないとね。
もしかしたら、超有能って可能性もある。
使い方はよく分かんないけど。
んー。でも理想はやっぱ――
『――待たせたか?』
「い、いえ。……何処に行ってたんですか?」
『ん? 大した用事では無いよ。それよりも、ちゃんとやってきたのか?』
「あ、はい。もちろん」
やってきたのか? というのはプレイヤーを殺ったかどうかという事なのだろう。分かりづらい。
それよりも、いきなり現れてビックリした。
この人、神出鬼没すぎだろ。
というか、大した事ない用事でエリアボスがお出掛けしていいのかよ!?
……という突っ込みは心に仕舞う。
『なら、次はいよいよ進化だな。称号も増えたようだし、新しい進化先が解放されてる筈だから、それに進化するためにEPを稼いで来なさい』
「あ、はい」
『私は少し、留守にするから。もしプレイヤーが来たら、貴方が上手く対応しておいてくれ』
『あと、ここの洞窟の資源は好きに使って構わない』
「あ、はい」
マーナさんは、そう言うと姿を消してしまった。
比喩でもなく、一瞬で消えたのだ。
俺、「あ、はい」ってしか言ってない気がする。
てか、あと50もEPを稼がないといけない。
しかも期限は分からない。
マーナさんが、言わずに行っちゃったし。
そうなると、EPはなるべく早く貯めた方が良いだろう。
俺も早く進化してみたい。
あ、そう言えば!
マーナさん、新しい進化先が解放されたって言ってたよな? 確認しないと。
メニューから、進化の項目を見てみる。
すると。進化先が一つ追加されていた。
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種族進化先
※以下の進化先から選んで下さい。また、進化先が新たに加わる場合もあります。
・ホワイトウルフ EP0
・ブラックウルフ EP0
・ハイウルフ EP10
・ダークウルフ EP30
・スピリットウルフ EP30
・アンブッシュウルフ EP30
・狼 EP100
・大狼 EP100
=========================================
大狼……ってヤツだ。
必要なEPは100。
狼と一緒だな。
何が違うんだろう?
とりあえず、説明を見てみる。
えっと、なになに……?
狼として、長い時間を生きた個体。狼と比べて、高いステータスと姿を変える特殊能力を持つ。この個体に進化する者は極めて少ない。進化条件は、全パラメータが100以上、称号を五つ以上獲得している事。
……とのこと。
要は、狼の上位互換的なものなのだろう。
称号の必要数も増えてるし、性能も上。
気になるのは、何故それに進化出来るのかって事だ。
どう考えても狼の進化先っぽいよな、これ。
それに狼と同じEPで進化できるってのがおかしい。
明らかにおかしいんだよなぁ。
俺的には、普通に狼に進化しときたい。
狼から、別の進化先もある筈だからだ。
でもね…………。
マーナさんに、これに進化しろって言われてんだよなぁ。
マーナさんから言われたら従わざるを得ない。
多分、それが正しいからだ。
でも…………気乗りしないんだよなー。
やめといた方が良いって気がする。
まあ、そんなこと言ったって結局はこの種族に進化する事になるんだろうけどさ。
俺との相性的にも。
姿を変える特殊能力って、今の俺に一番必要なものだよね。それをピンポイントに持って来るって、恵まれてますねー俺って。
とにかく、しばらくはレベル上げに集中しなきゃ。
何時間で終わるかな?
スコアアタックみたいなノリでやろうっと。
まあ、あんまり得意なジャンルじゃ無いんだけど。
そんな、どうでも良い事を考えながら、ふと時間を見た。
気付いたら、もう深夜の良い時間になっていた。
これ以上ログインしてると、また寝不足になってしまう。丁度、切りが良かったので俺はログアウトしようと洞窟に向かった。
……すると、そこには思いがけない光景が広がっていた。
この前まで、洞窟の突き当たりには何も無かったのだが、今はドアが付いてたり、湧き水が出来ていたりと、まるで生活をしてるかのような空間になっていたのだ。
しかも、ドアは三つある。
左、真ん中、右と、それぞれに一つドアが付いてるのだ。
気になってしょうがない。
ログアウトしようと思っていたが、好奇心に負けてしまい、ついドアを開けてしまった。
まずは、左のドアから。
そこは、とにかく寒かった。
そして、沢山の引き出しみたいなのが並んでいた。
まるで倉庫だな。……しかも大規模の。
好奇心のまま、引き出しを開けてみた。
中には、よく分かんない草が収納されていた。
思わず《鑑定》。
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名称 ヒメ草 レア度8
限られた地域でしか育たない、とても貴重な薬草。
生産スキルで調合・錬金すると、HPを回復する優れたポーションになる。その効果も高く、高値で売買が行われるほどの逸品となる。
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マジか!?
レア度8って!?
まさか、こんな素材が…………。
マジのレア物だな。
しかも、このヒメ草があと30個ほど引き出しに入っている。
ヤバくね?
これ用意したのってマーナさんだよね……?
何してんだよ、あの人。
完全なバランスブレイカーだ。
序盤で、こんなレア度の素材があってたまるか。
そして、倉庫はまだ続いている。
これから一体どんなアイテムが出てくるか想像も出来ない。
やだよぉ。見たくないよー。
はあ。本当に嫌だ。
マーナさんの、洞窟の資源は好きに使って構わない、って言うのはこういう事だったのか……。
好きに使えないよ! こんなの。
てか、好きに使っちゃダメな素材でしょ、これ。
もう疲れた。
寝よ。
俺はログアウトボタンを押したのだった。




