試練?
【ログイン6日目】
『随分と多く取得したようだね……』
「つい、魔が差しましてね……」
『まぁ、いいと思うよ』
はい……。
ちょっと反省してます。
SPが50から10になっちゃったよ……。
ま、後悔はしないけどね!
これから活躍してくれるでしょう。
ちなみにマーナさんは《鑑定》を持っているようなので、彼女に嘘はつけないのだ。
全てが筒ぬけです。
恐ろしい。
『じゃあ手始めに、私と模擬戦をしようか。前に比べて成長した貴方の力を知りたいしな』
「お、お手柔らかに……」
いきなりだな……。
俺、大丈夫だろうか?
マーナさん、やる気になっているな。
俺も頑張るか。
出し惜しみは無しだ。
俺とマーナさんは相対するように向き合った。
その距離は15メートル程ある。
離れているのに威圧がすごい。
これがエリアボスか……。
勝てる気は一切しない。
当然だな。
集中する。
頭をフル回転させるよう、意識する。
『……始め』
マーナさんが合図する。
ここからが模擬戦だ。
俺は《念力》を自分の周りに発動する。
今なら、10メートル先まで動かす事ができるのだ。
さっき取得した魔法を早速使う。
ファイアボール、ウォーターボール、ブリーズボール、ソイルボールだ。
〇〇ボールは基本だよな。
それを《念力》で纏って操作する。
《念力》の操作のほうが遥かに精度が良いのだ。
マーナさんは避ける素振りもない。
魔法はそのまま命中する。
……ダメージは無いようだな。
マーナさんは、俺に雷を迸らせた。
前と同じやつだ。
それの対策はもう出来ている。
雷に《念力》を纏わり付かせる。
そうすると俺に雷の操作権が移る。
その雷を使い、マーナさんに攻撃。
しかしダメージは無い。
魔法耐性が高すぎー。
俺の攻撃が雑魚なだけかもしれないが……。
マーナさんが、前足を地面に叩きつけた。
何をしたんだ?
と、俺が思った瞬間。
地面が盛り上がった。
高く高く盛り上がっていく。
数秒後、それは人型を形成していた。
――ゴーレムだ。
背丈は30メートル程。
身体は岩。
胴体は大きく、頭は小さい。
ゴーレムが一歩を踏み出す。
すると地面がひび割れた。
ゴーレムは岩を生成する。
その岩を俺に向かって投げてきた。
……って待てよ!!
《念力》では重過ぎて岩を持てないので、自力で回避を試みる。
横にダッシュ!!
ガランッ!!!
危なっ…………。
間一髪で回避できた。
あのゴーレム厄介すぎるだろ。
先にゴーレムをどうにかする必要がありそうだなー。
図体はデカイがその分、死角が多そうだ。
これならどうにか出来るかもしれない。
少し希望が見えた。
俺はゴーレムの足元に潜った。
ゴーレムからすれば、俺の姿が見えづらい筈だ。
すると、ゴーレムは俺を踏みつけようとしたのか、足踏みをしてきた。
俺は冷静にそれを回避する。
動きは遅いので楽勝だな。
避けながら、《影魔法》のシャドウショックをゴーレムに向けて放つ。
確率は低いが、MPは沢山ある。
その内、{盲目}になってくれるだろう。
こまめにゴーレムを《鑑定》しながら、シャドウショックを繰り返す。
すると。
10回目の命中で、ようやく{盲目}になった。
ゴーレムはいきなり眼が見えなくなったからか、混乱している。
今がチャンスだ。
俺は《潜伏》を発動させ、ゴーレムの股を抜けて背後へまわる。
そして、自分自身に《念力》を発動させてゴーレムの頭のところまで飛ぶ。
そこで俺は、《爪撃》を発動させる。
それに加えて、《付与魔法》で《火魔法》を付与。
攻撃力最大だ。
あとは殴りまくるだけ。
ゴーレムの頭を爪で掻きまくった。
おらおら!!
うオォォォォ!!!
……何十撃目かでゴーレムが倒れた。
疲れたな。
叫びたい気持ちはあったが、頭を切り替える。
まだマーナさんがいるのだ。
気は抜けない。
マーナさんに動きがあった。
何かを溜める仕草をしたのだ。
こ、これは……!?
瞬間。マーナさんの身体に雷が纏った。
ヤバイぞっ!
マーナさんは空を仰ぐ。
空を雷雲が覆った。
ゴロロロロッ…………チカッ。
……!?
ズガンッッッッッッ!!!!
『――ふむ。成長はしたようだな』
ハァ……。
寿命が何年か縮んだ気がするよ。
最後の攻撃。
俺はギリギリで《念力》を使って、雷を逸らせた。
知覚する事が出来たのだ。
ステータスが上がったおかげだな。
まあ、それでも殆ど奇跡のようなものだけど……。
俺の直ぐ横には、大穴が空いている。
今も少し帯電している。
どんな威力してんだよ。
オーバーキル過ぎるって。
『今日はここまでとしよう』
『何か質問などあるかい? あれば答えるよ』
あ、はい。
聞きたいことが沢山あります。
慌てて聞こうとした。
「雷を操るのって何かのスキルですか?」
『ああ。正確に言うと《雷魔法》だよ』
え!?
魔法なの?
そんな魔法、取得できる一覧表には無かったよ。
あったら、絶対に取得してる。
という事は……。
《念力》と同じ類のものかーー。
称号を獲得しないといけないっぽいな。
獲得条件は厳しそうだな。
雷を浴びつづける……とか?
笑えないよ。
あ、もう一つ質問しなきゃ。
したかった質問があるのだ。
「《鑑定》を遮断するスキルってどうやって取得すれば良いんですか?」
『ふむ。ヒントだけ教えようか。人やプレイヤーと呼ばれる存在を殺していれば取得できる……かもしれないとだけ言っておこう』
「ありがとうございます」
そう簡単に取得させてはくれないらしい。
ヒントだけなのか。
ほぼ答えな気もするけど。
まあ、それだけでも有り難いな。
『ふむ。サクヤは《鑑定遮断》が欲しいのか?』
「はい。俺の都合にいいので」
『そうか。それは私も都合が良いな。丁度、次の指導に人かプレイヤーを狩りに行かせようと思っていたのだ。人の住む街に行くためには、この洞窟と真逆に進めば良い。今から行ってくるか?』
都合は良いのだが……。
ちょっと、引っかかるのだ。
プレイヤーと接触する可能性がなぁ……。
それが怖いんだよ。
躊躇いなくキルしちゃって良いのかな?
友好的に接するべきでは?
もし、俺がプレイヤーだとバレたら。
魔物プレイヤーと人種プレイヤーに溝を作ってしまう。
それは避けたいのだ。
だが、それだとクエストがクリア出来ないし、《鑑定遮断》も取得する事が出来ない。
それも嫌なんだよなー。
両方を成し遂げないといけない。
なかなか難しいぞー。
相手に気づかれる事なく一撃で仕留める。
これしか俺が出来る方法はない。
やるしか無いのだよ。
これも試練だ。
後で謝りに行かないとな。
行けるか分からんけど。
「はい。今から行ってきます」
『そうか。では、気をつけて。まあ、お前なら死ぬ事は無いと思うぞ』
そう言葉を残して、マーナさんは洞窟の中に戻ってしまった。
なんだかんだ良い人だなー。
励ましてくれた。
俺は街に向け、地面を蹴った。
実のところ、マーナさんが道を教えてくれたが途中までは自力で行けるのだ。
《地図》スキルのおかげでな。
このスキルは、1度行った場所をデータとして残してくれるのだ。
この機能もスキルレベルが10を超えてから、追加されたのだ。
それと同時にメニューの方にも機能が追加されて、そっちのほうで地図の全域が確認出来るようになった。
便利になったもんだなー。
俺は、街と森の最奥の間くらいでレベル上げをしていたので、そこは大体分かるのだ。
という事で、方角さえ分かれば街には行けるので、自力で行けないことは無い。
お!
喋ってる内に、街が見えてきた。
すごく大きいな。
一国くらいの大きさはありそうだ。
プレイヤーに見られない位置で地面に降りる。
実はズルをしていた。
まあ、じゃないとこんな早く着かないよな。
《念力》を使って空中浮遊してきたのだ。
木を避けなくて済む分、速度は上がる。
ウルフを狩りながら行く必要もないからな。
MPの問題があるので、何度か地面に降りないといけなかったが、それでもとてつもない短縮だった。
結果、5分くらいで着いたのだ。
さて。
プレイヤーキラーとなりますか。
俺は《潜伏》を発動させたのだった。




