思わぬ展開
4話の《閃き》は誤字でした。
正しいのは《閃めき》です。
4話以降は《閃めき》で統一しています。
【ログイン5日目】
『もう見たか?』
「は、はい」
マーナさんの規格外っぷりをバッチリ見ました!
ちなみに名前はマーナというらしい。
プレイヤー以外の魔物に名前が付いているのも、初めて見た。
エリアボスは特別って事かな……。
まあ、とにかく今は話を聞こう。
『ではまず、エリアボスの存在意義から説明していこうか……』
『まず、私のような知能を持つエリアボスは、私を含めて2種だけというのを把握してもらおう。エリアボスとは、そのエリアを守護するための存在だが、最初の2エリアのエリアボス達は違う。もちろん、エリアを守護するという役目は同じだが、重要な役目がもう一つある』
『それが弟子を取ることだ』
『それによって、私が得るメリットは死ななくても良いことだ。通常のエリアボスはいつかプレイヤーに倒されるしか道は無いが、弟子を取り、その弟子に自分の技術や知識を教えることで、その死を免れることが出来る。本来の姿に戻ってな……』
「ん? 本来の姿とは?」
『魔物は進化するごとに知能が向上する。そして、ある程度の力と知能があると、この世界の運営とやらに強制的にエリアボスにさせられる。その時に、私はプレイヤーの師匠となるエリアボスになったため、エンシェントウルフという種族になり、守護者と導者という職業、マーナという名前、さらなる知能を与えられたのだ。しかし、プレイヤーに師匠としての役目を終えた時、エリアボスという枷が外れると、運営というのが言っていた。今はそれを信じるしかないのだよ』
……なるほど。
聞いてみると、可哀想なウルフなのだと分かった。
俺の方が、聞いているうちに悲しい気持ちになってしまった程だ。
ここまで聞けば、俺に断るなんて選択肢は無い。
「なあ、マーナさ『待ってくれ。まだ説明の途中だよ』」
『さて。重要な貴方のメリットについての話だ。まず、貴方達プレイヤーと言われる人々はパラメータの上限が999までとなっているらしい。その上限を突破するために、エリアボスの弟子になり、試練をクリアする必要がある。そして、見事に試練をクリアした者にはクランの創設権限が与えられるらしい。クランというのは、貴方達の言葉でいう…… " €*£ " というのに似ていると、運営が言っていた。クランの創設権限は一度に6人しか持つことが出来ないから、かなりレアなものだぞ』
『さて、サクヤよ。お願いだが……私の弟子になってくれないか?』
うん? 一部聞き取れないのがあったが……まぁいい。
どうせ、俺の聞き間違いだろう。
それより、すごく真摯にお願いされてしまった。
こんな俺なんかに……。
正直、こんな頼みにメリットがあろうとなかろうと二つ返事で承諾した。
それに加えてメリットも多い。
というかデメリットがない。
そんな中、ここで断る理由は無いだろう。
「分かった。あなたの弟子にしてださい」
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ワールドクエスト
《白の試練 》を開始します。
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なんかクエスト始まった。
しかもワールドとか凄そうだなー。
スケールが大きい!!
試練かー。
エリアボスの用意する試練とか、クリア出来るかな?
厳しそうだよねー。
自笑しながらそう思う。
すると、マーナさんが話しかけてきた。
『そうか……ありがとう。私も師匠となるなら、全力で貴方の指導に尽くそう』
「これから宜しくお願いします」
『こちらこそ』
おっと。
どうやら、ここをリスポーン地点として固定出来るらしい。
《地図》スキルにそれらしきマークがある。
今、急に表示されてきたのだ。
顔には出さなかったが普通に驚いた。
リスポーン地点をここに設定しておく。
これからの事を考えると、何かと便利だろう。
さて、早速いまから指導をしてもらいたいが……。
残念ながら、時間がオーバーしている。
指導はまた明日からになりそうだ。
俺は、2日前に寝不足で死にそうになってから、睡眠はしっかり取ろうと心を入れ替えたのだ。
「今日はもう時間が遅いから、また明日からでいいですか?」
『すまない。私の配慮が足りなかったな。寝るのはここでも構わない。私に遠慮しなくても良いぞ』
「じゃあ、お願いします」
俺はマーナさんの邪魔にならない場所に移動してから、ログアウトボタンを押したのだった。
☆☆☆
【ログイン6日目】
はい。ログインしました。
いつもと同じ流れで来た。
睡眠はしっかりと取ったぞ。
さて、今日から指導される日々だ。
気合を入れて行こう。
……ってあれ?
マーナさんの姿が無いぞ。
今は午前4時の筈だ。
実はこの世界の時間は、現実世界と同期しているのだ。
俺が朝4時からゲームしてるって事がバレたね!
ま、そんな事はどうでもいいか。
無駄な思考をしながら洞窟の入り口を出る。
朝なので怖く無い。
明るいからなー。
外に出てみると、予想通りだった。
マーナさんが座っていたのだ。
彼女は、俺が来る事を察知していたらしい。
直ぐに話しかけてきた。
『来たか。では早速、指導を始めよう』
「お願いします」
……おっと。反射的に言ってしまった。
高校の感覚が抜けていないな。
まあ、現役だからしょうがないか。
次からも、これは続けるか。
これがあった方がそれっぽいしな。
マーナさんは少し戸惑った様子だったがスルーしてくれた。
そして、何事もなかったかのように始めた。
返した方がいいのか迷ったんだろう。
『……いきなりだが、昨日に貴方のステータスを見せて貰った。素直に思ったことはパラメータが平均的。良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏という事だな』
「は、はい。自分でも分かってます」
『だから、魔法スキルを鍛えないか? というのが私からの提案だ。精力値は高いから向いていると思うぞ』
「魔法……か。早速、SPを使って魔法を取得してもいいですか?」
『ああ。取りたい魔法を取るといい』
『早く取得した方が効率もいいからな』
うん……マーナさんもこう言ってることだし、何か魔法を取得しようと思うのだが……。
何を取得すれば良いかな?
今までの経験上、SPが10する特殊魔法は使い勝手が悪い。
反対にSPが5の魔法なら、使い勝手は良さそうだ。
となると。
その4属性のうち2つくらいを取得しようかな?
出来るだけ《影魔法》と相性の良い魔法を取得したいが……。
分からないな。
《影魔法》と相性の良い魔法って何?
全く分からないので、俺の好みで決めることにした。
SP5の魔法は、全部で4つ。
火魔法、水魔法、風魔法、土魔法だ。
名前から推測すると。
火が火力、水が支援、風が貫通、土が妨害……。
みたいな感じだと思う。
あくまで推測なので正確ではない。
ここで探偵の職業が役立ってくれると良いが……。
期待は薄い。
さて。
ここから2つを選ぶ予定だが。
俺の好みで言うと……。
火魔法と風魔法かなー。
攻撃力が大きく上がりそうな組み合わせだな。
だが、相性を考えるとだ。
水魔法と土魔法が良いと思える。
《影魔法》って状態異常系の攻撃が多いのだ。
なので、それを助ける土魔法と、支援をする水魔法の相性が良いと思う。
でも。
それじゃあ、攻撃力に不安が残るんだよなぁ。
何か上手い組み合わせは無いのだろうか?
難しいものである。
あーー……。
いま閃いたんだけど。
全部を取得しちゃダメかな?
SPが20かかるだけだし。
迷うくらいなら、全部取ったほうがいい気がする。
そうすれば、バランスも良くなるしな。
良い事尽くめだ。
SPはまだ沢山あるから、使っても影響は無いだろう。
決定!
魔法を全部取りますー。
ポチっとな。
よーし、取得したぜ。
残りSPが30になった。
まあ、必要な出費だな。
まだ、半分以上あるから大丈夫。
そして、まだ終わりではない。
やりたい事があるのだ。
最初にマーナさんを《鑑定》した時に表示された、鑑定を遮断されました、という文字。
そして、次に《鑑定》した時にも、鑑定できません、と表示された。
この事から、《鑑定》を防ぐようなスキルが存在しているのは明確だ。
俺は、このスキルを取得したいと思っている。
以前は人種プレイヤーに、魔物になれることを知って貰おうとしたのだが、とにかく危険すぎる。
しかも魔物は俺1人しかいない。
それなら……。
そんな事もう辞めない? てか、逆に隠したほうが良くないかな?
と、一周まわって隠すことにしたのだ。
俺がプレイヤーというのを。
その為には、《鑑定》される事を避けないといけない。
そういう訳で、マーナさんが持っていると思われる《鑑定》を遮断するスキルは必須なのだ。
目的を再確認しながら、現在進行形でそのスキルを探す。
特にSPが10かかるスキルの一覧を。
あるとしたら、此処だと思う。
見落としがないように……。
一つずつ、一つずつ……。
…………無いな。
そんな事だと思ったよー。
簡単に手に入る筈が無いよね。
はぁ……。
代用となるスキルあるかなー?
無さそ。
期待はしてたが、しょうがないな。
まあ、良しとしよう。
《鑑定》を防ぐスキルは無かったが、気になるスキルはあったからな。
さっそく紹介しよう!
一つ目は、《光魔法》だ。
名前からして神々しいなー。
察しの通り《影魔法》と対になる魔法だ。
相性は分からん。
このスキルは回復と支援が得意な魔法らしい。
本当に真逆だなー。
ぶっちゃけ、俺がこのスキルを取りたい理由は唯のコレクション感覚だ。
揃えたいと思う気持ちからだな。
火、水、風、土、影…………。
ときたら、光しかないだろ?
って感じの心境だ。
取りたい! って気持ちが9割ある。
次の魔法を紹介しよう!
その名も《付与魔法》だ。
え? それ何?
俺は最初に発見した時、そう思った。
だが《鑑定》で見ると、なかなか面白いスキルだったのだ。
なんと、自分の技能やスキルを対象に付与する事ができるスキルなのだ。
……まあ、名前のまんまだな。
しかし考えてみると、対象って制限ないから何でもなんだよな。
それって強くね?
例えば、《付与魔法》で《火魔法》を俺の爪に付与したとする。
すると、俺の爪に火属性が宿るのだ。
めっちゃカッコ良くない?
そして、この《付与魔法》のレベルを高めれば……。
マーナさんの雷を身に纏うのも、出来るようになるかもしれないのだ。
夢が広がる!
そして、この魔法は消費するMPが10。
普通に高い。
……高いが……欲しい!
取得したいなー。
どうしようかなー?
自重しようかなー?
…………。
…………。
…………。
あっ!!
間違えて取得しちゃったよ!!
あーあ。ミスっちゃったよー。
やらかしたなーー。
まあ、しょうがないよね?
うんうん。
しょうがない、しょうがない……。
20SPが飛んだけど。
…………しょうがないよね?




