表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊戯開始  作者: 羽ぐいす
1.出会いと成長
17/106

道中


 【ログイン5日目】


 


 痛ってー!!


 思いっきり頭ぶつけたよ。


 パラメータ100越えは伊達じゃないなー。

 早く慣れたいと思うよ。


 レベル上げをしている時も速くなってたと思うけど、パラメータ100越えした途端もっと速くなった気がする。


 強くなったって事だから良い事なんだろうけど……。


 はあ、これからパラメータがもっと高くなったら制御できる自信がないよ。


 しばらくはこのままだから安心だけどさ。


 じゃあ、エリアボスのところまで木にぶつかんないように走ってくか。


 

 俺は森の最深部に向けて走る。

 勿論、道行く間に発見したウルフは倒して、EPを稼ぐことも忘れない。


 加減して走っているとはいえ、パラメータ100越えの速力は凄まじいものだ。


 景色の移り変わりが速い。

 まあ、木しか目に入らないがな。


 前回行ったときよりも格段にペースは早い。


 これならば、後30分程で着くと思う。


 しかし。

 このスピードで30分もかかるって、どんだけこの森は広いのだ……と疑問に思う。


 実際のところ、直径何メートルくらいあるのだろうか?

 ……なんか前もこんなこと思った気がする。


 俺ってこの森から出たことが無いんだよな。

 

 いや……出られないと言った方が正しい。


 前も言った通り、このゲームの初期エリアは草原と森に分かれている。


 北側が森。

 南側が草原だ。


 そして、その中心に人種プレイヤーの街が存在している。


 ここまでは元から俺も知っていた。

 テレビで軽く説明していたのを聞いたからだ。


 しかし、テレビで全ての情報が載っているわけもなく、俺が見落としている情報があった。


 実はこの事を知ったのは昨日なのだ。


 なんとなく、説明書をじっくり読んだ方が良い気がしたので読んでみた。

 

 すると、様々な情報が載ってあったのだ。


 例えばエリアだが……。


 北が森、南が草原、その中心に街。

 そして、この続きがあった。


 森と草原の境界は山脈になっており、その真ん中に街が存在している形になっていた。


 さらに森と草原はそれぞれ半円型になっており、その周りも山脈になっていたのだ。


 街を通って草原に行くのは論外。


 なので、草原エリアに行くには山脈を越える必要があるということだ。


 行けない事は無いだろうけど、厳しいと思うのだ。


 普通の人種プレイヤーなら、こんな問題に直面することも無いのだが……。


 生憎、俺は魔物になってしまった。


 そうすると、俺はもう草原に行ける可能性がほとんどないに等しい。


 もしかすると、ずっと森暮らしかも…………。


 そんな理由もあるので、ここのエリアボスに目をつけられる訳には行かないのだ。


 もしそんな事になってしまったら。

 アカウント作り直すことも考えないと……。


 だって、アイツ強すぎるからな。


 今の俺のステータスで戦ったとしても、勝てるかどうかは分からない。


 というか、十中八九、負けるかもしれない。


 それほど強かった。

 流石エリアボスだな。


 雷を操って攻撃とか反則でしょ?

 しかも最後の攻撃だって知覚すら出来なかった。


 単純なパラメータの差だけじゃなくて、スキルレベルでも大きな差がありそうだな。


 俺が今、パラメータ100越えしているけど……エリアボスはどのくらいあるのだろう?


 思い出すと、エリアボスと戦った時って雷を使って攻撃されてただけで、エリアボス本体は動いてなかったな。


 実力を出すほどでもない……って事か。


 雷の魔物とか見たことないけどな。

 何かの称号で取得できるのかもしれない。


 例えば、雷を身に受けるとか?


 ハードだなー。


 まあ、その条件ならエリアボスの雷攻撃を浴びていれば獲得出来そうだ。

 それでも辛いけどね。



 

 ――そんな事を考えながら。


 俺はだんだん上がった身体能力に慣れてきたので、スピードを上げていき加速する。


 さらに景色の移り変わりが早くなる。


 しかし、木に激突したりはしない。

 

 森に無数に生えている木を華麗に避けているのだ。

 自分の身体にちゃんと慣れた証拠だな。


 うーん。

 風が気持ちいいなー。


 こういうレースゲーム的なのって俺好きかも。

 一度もやったことないけどな。


 森を駆けながら、時折り発見したウルフを一撃で倒す。


 スコアアタックみたいな感じだ。

 なかなか楽しい。


 遊んでいると、警告が表示される場所へと辿り着いた。

 

 ただの森と最深部の境目だ。


 一度見た警告が表示される。

 もちろん無視だ。


 スピードは緩めずに。

 むしろもっと速く……。


 今の俺のステータスならば、ここのホワイトウルフ程度の敵を瞬殺できる。


 アイツのHPなんて約75くらい。

 それに比べて、俺の筋力は約130だ。


 2倍ほどの差がある。


 前に出会った時には、俺がステータスで負けていたかもしれないが、今は違う。

 

 立場が逆転しているのだ。


 今の俺なら、《潜伏》を使わなくともホワイトウルフを狩ることなど容易い。


 それを証明してやる。


 ――俺はさらにスピードを上げた。


 ホワイトウルフ目掛けて、一直線に駆ける。


 体格ではホワイトウルフの方が遥かに大きい。

 伊達に進化しているわけではない。


 だが純粋なステータスでは俺が上。

 負ける事はない。


 俺の足音に気づいたのか、ホワイトウルフがこっちを向き、戦闘態勢を整えた。


 ……威圧感が凄い。


 しかし、もうこのスピードは止められない。


 腹を決めるしかないのだ。


 俺は風の抵抗を少なくするため、最大限に姿勢を低くした。

 ホワイトウルフに姿を見られないための意味もある。


 その姿勢のまま。

 

 目の前の茂みを突破し、ホワイトウルフ目掛けて突進する。


 いきなり現れた俺に、ホワイトウルフは一瞬驚く。


 しかし、直ぐに俺に高レベルの《爪撃》が乗った攻撃を繰り出してくる。



 それが俺に当たる――――



 ――瞬間……俺は身を捻る。


 そして。


 それと同時に左の前足で、ホワイトウルフの喉元を掻っ切った。


 ホワイトウルフの首が赤く染まる。


 次の瞬間。

 赤い液体……は飛び散らない。

 代りに白いエフェクトが散った。


 そのまま。

 ホワイトウルフはゆっくりと倒れた。



 ……。


 …………。


 …………勝ったのだ。


 


 やったね。


 俺、頑張ったよね。


 良かった良かった。



 ま、勝てるって分かってたから。

 ステータスに約2倍の差があるくらいだもん。


 勝てて当然だよね。


 《鑑定》を使ってステータスを確認してみた。


 すると。

 驚いた事に、EPが5も増えていたのだ。


 一気に5もレベルアップしたという事だ。


 そんな事、有り得るだろうか?

 

 今までこんな事はなかった。

 いくらレベル差があっても、ここまでレベルが急に上がる事は無かったのだ。


 しかし。


 思い出すとレベル差が高ければ高いほど、得られる経験値は多かった印象がある。


 という事はだ。


 魔物の基準でワンランク上の魔物を倒すと、その分の経験値が大きく増えるって事になる。


 ちなみに今のホワイトウルフはレベル5だったのだ。


 この森には、もっと高レベルのホワイトウルフは多く生息している。


 という事は……。



 ホワイトウルフ1匹で約5EP稼げる。

 ホワイトウルフはこの最深部にウジャウジャいる。

 進化に必要なEPは、あと85EP。



 すると。


 85(必要なEP) ÷ 5(1匹分のEP) = 17(匹)


 

 なので。

 

 あと17匹のホワイトウルフを狩れば、俺は無事に進化することが出来るのだ。


 あれ?

 以外とイージーだな。


 EP100集めんのに何日かかるかなぁ。

 ……って思ってたけど。


 やろうと思えば、今日だけで進化できちゃう。

 そう思うと何だか、心が軽くなった気がした。

 

 やっぱり、俺はこういう地味な作業に向いていない。


 現実でもそうなのだ。


 農業系のチマチマしたゲームより、プレイヤー本人の腕前が試されるFPSなどのジャンルの方が得意だった。


 農業系のゲームを悪いと言っているわけじゃないのだが、どうにも苦手なのだ。


 これはもう俺が死ぬまで変わらないものだと思う。

 それぐらいの事だ。


 なので、少しEP増やすのが面倒だと思っていたのだ。


 まあ、ホワイトウルフを17匹狩るだけなら余裕だけど。


 

 だが、今は残念ながらそんな余裕はない。


 出来るだけ早くエリアボスの元へ行かなければならないのだ。


 ただでさえ、2日間空けているのだ。

 これ以上は許されないと思う。


 何故なら。

 俺が森で平穏にEP増やせるかどうかが決まるからな。


 全力で接待しなければ。


 

 俺がそう頭の中で決意をしている間にも、体は森の奥へと足を進めている。

 もちろん全力疾走でな。


 加えて、ホワイトウルフもついでに狩りたい。

 

 しかし、全く見かけないのだ。

 最初はあんなにいたのに……。


 なので、残念なことにホワイトウルフは今のところ1匹しか狩れていない。

 最初の1匹だけだ。


 俺は少し落ち込んだ。


 すると。

 すぐさまフォローをしてくれた存在がいた。


 エリアボス戦の警告を伝える表示が出たのだ。


 ということは、エリアボスのいる場所までもう少しだ。

 俺の心が一瞬にして晴れた。


 俺は全力疾走のままエリアボスのいる場所へ向かった。


 30秒ほど走った。


 すると。

 森が開けている場所が見えた。


 やっと着いたのである。

 約30分の移動だった。


 前と比べると、かなり早くなっている。

 なにせ、前はここに来るのに3時間は掛かっている。


 随分な進歩だよなー。


 俺、頑張った。

 褒めて遣わす。


 さて。

 ここからが肝心だ。


 エリアボスさん……。

 怒ってるかな…………?


 怒っていない事を願うのみだ。


 俺は心の中で手を合わせて、そう天に祈ったのだった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ