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遊戯開始  作者: 羽ぐいす
1.出会いと成長
14/106

格の違い


 【ログイン2日目】




 ちょっと待ってー!


 ぎゃー!


 嘘っ!


 危なっっ!!


 またかよっ!


 ギャッーー!


 何でっ!?


 ち、ちょっと!?


 ギャャッーー!



 今、俺は森の中を走り回っている。

 エリアボスの怒涛の猛攻撃を躱しながら……。


 何故、こんな状態になったかというと。


 それは約5分前に遡る。




   ☆☆☆




 俺は、《潜伏》を使いながら森を進んでいた。

 油断していた訳ではない。


 ちゃんと周りを索敵しながら進んでいる。


 察知系のスキルがないので、正確さは言わずも分かるが。


 約3分程、進んでいると少し先に森が途切れ、開けている場所が見えた。


 直感的にエリアボスがいる場所だと悟った俺は、《潜伏》を全力で発動させながら木の陰に隠れながら様子を見ることにした。


 開けている場所は半円形だった。


 奥に山があり、岩肌に空いている洞窟を中心に存在していた。


 エリアボスらしきものが居なかったので、洞窟で休んでいるのかな?


 と思い、木に隠れながら様子を見ることにした。


 どの位置で待機しとこうかなー、と考えているとエリアボスが洞窟から現れた。


 俺がここに来て、30秒しか経っていない。

 早すぎないか……。


 おそらく、プレイヤーが近づくと出てくるようにプログラムされているのだろう。



 エリアボスの毛並みは白。


 瞳の色はエメラルドグリーンだ。


 体長はざっと約6メートルはありそうな巨体。

 威圧感が凄い。


 足や尻尾までの全身が真っ白なのが特徴的だ。


 如何にも森の最奥に構えるエリアボスって感じだ。

 とても強そうである。


 まあ、実際にとてつもなく強いのだろうけど。

 俺なんて瞬殺だなー。


 戦うという選択肢はないだろう。

 

 上手いこと《鑑定》の有効距離までバレずに《潜伏》で近づいて、《鑑定》をして帰ってくる事にしよう。


 俺は《潜伏》を発動させながら、エリアボスを回り込もうとした。


 ――――その時。



 『知能ある者よ、大人しく出てくるのだ』



 なんと、このエリアボスが《念話》を使って話しかけてきたのだ。


 当然、俺は驚きのあまり固まってフリーズした。


 まず、絶対の自信があった《潜伏》が容易く破られた事。


 エリアボスが《念話》を使えること。


 そして、エリアボスに話せるだけの知能があったこと。


 この3つのおかげで、頭が混乱したのだ。


 

 俺の《潜伏》が破られたという事は、エリアボスは遥かに高い察知系のスキルを持っている事になる。


 そうなると《潜伏》頼りの俺には勝ち目がない。

 この時点で負けは決まったも同然。


 さらにエリアボスが《念話》を使えるという事。

 

 これには単純に驚いた。


 スキルを取得する条件が曖昧な《念力》の同系統のスキルなのだから、きっと《念話》の取得条件も厳しい筈。


 しかし、それを持っているのだ。

 

 ということは、その条件をクリアしたのだ。

 凄すぎるよ。


 そして、最も驚いたのはエリアボスが話せるだけの知能を持っているということだ。


 普通の魔物は、勿論のこと話すことは出来ない筈だ。出来ないというか聞いた事もない。


 だが、今さっき話した。


 確かに警告で、高い知能を有していると書いてあったが、せいぜい魔法やスキルを同時に使うくらいだと思っていた。


 話せる程だとは思いもしていなかった。


 うん、誰も思わないだろうな。


 俺なんて驚きすぎて、一歩を踏み出そうとしている体勢で固まっている。


 親切なことに足に負荷は感じない。

 魔物の体って便利。


 現実でも俺の足がこんななら良いのに。

 惜しいなー。


 

 ――そんな風に。


 混乱し過ぎて現実逃避を始めるほどだ。


 俺は、気を取り直して頭の中を整理する。

 

 よし……。


 大丈夫だ。

 やっと落ち着けた。


 あ、そういえばエリアボスから語りかけられたんだった。


 ちゃんと答えないと。


 えーと……。

 何だっけ?


 大人しく出てこい、だったか。


 はいはい今出ま――――



 『ふむ、大人しく出てこないか。ならば遠慮なく攻撃させて貰おうかな?』



 いや、ち、ちょっと!


 俺は慌ててエリアボスの元に姿を見せようと駆け寄ろうとした。

 

 しかし、それよりも速く……。


 

 ズガンッッッ!!!



 無数の雷が迸ったのだった。




   ☆☆☆




 という、長めの回想でしたね。


 そして、奇跡的に俺は雷が命中する前に、走って回避することができたのだ。


 しかし危機なのには変わりなく、止むことなく雷が迸り続けている。


 しかも正確に俺を狙って。


 勿論、全てを完璧に回避しすることは出来ず。

 致命的な攻撃は受けてないものの、雷が掠っただけでHPが目に見えて減っていく。


 おかげで、さっきから《耐久》が発動しっぱなしだ。


 取得して早速、出番が来たようだな。

 効果は今一つのようだが。


 そして問題の雷は途切れる様子も無く、最初と変わらずに俺を襲っている。


 エリアボスも、ずっと突っ立ったままで余裕そうだ。


 これくらい、負担でも何でもないらしい。

 全く恐ろしい。


 俺は雷が直撃しただけでも即死なのに……。



 ズガンッッッ!!


 ズガンッッッ!!


 ズガンッッッ!!


 ズガンッッッ!!


 ズガガガンッッッッッッ!!!


 

 あ、ヤベ……。


 また雷が掠った。


 遂に、俺のHPが2割を切ってしまった。

 次、掠っただけで死んでしまうだろう。


 ど、どうする……。


 このままでは、いつか雷が直撃して死んでしまう。

 といって、何か対抗する手段がある訳でもない。


 あれ?

 詰んでないかー?


 いや、せめて取れる手段は取っておこう。


 無駄だと分かっていてもやってみる。


 まずは、俺も忘れかけていた《影魔法》のシャドウショックから。


 効果は{盲目}。


 もしかしたら掛かってくれて雷が止むかも?


 期待はしないが……奇跡を願う!



 「ウォン(シャドウショック)!!」



 俺の魔法はエリアボス目掛けて飛んで行った。


 当たるかも!?


 と、期待した所で雷に迎撃されて綺麗に消滅した。

 うん、そうなると思ってた。


 あれ? 待てよ?

 シャドウショックって対象に触れないと発動しないんじゃなかったっけ?


 俺、飛ばしたよな……。

 …………ま、まぁいっか。


 じゃあ次だ。


 って思っだが……。

 よく考えると、俺って攻撃魔法これしかないのだ。


 ようするに手段が無くなった。

 早過ぎだなー。


 《影魔法》をもっと育てておけば良かったな。

 ちょっと後悔。


 やっぱり遠距離攻撃の出来る魔法は必須みたいだな。


 エリアボスの雷を見て、そう思った。

 雷は強すぎるけど。


 せめて、ちゃんとダメージが与えられるくらいには《影魔法》を鍛えておかねばならない。


 課題だな。


 

 あ、遠距離といえば。

 

 《念力》があった!


 だが《念力》でどうする……?

 何も使う物がない。


 この状況じゃ、使い物にならないか……。


 いや!

 閃いたぞ!


 魔法を対象にして《念力》を発動できるか試してみよう。


 もし、発動出来れば。

 エリアボスの雷を操作して、防御が出来るかもしれない。


 いや、エリアボスに攻撃も出来るかも。


 試す価値はある。


 よし、発動だ。


 (念力)


 勿論、無詠唱。

 こういう所で便利さを感じるな。


 対象は、俺に向かってくる雷。

 失敗したら黒焦げになってリスポーンだ。


 俺は雷に《念力》を纏わり付かせるようにイメージする。


 その状態で、俺の意思で雷を動かす。


 すると――


 

 ズガンッッッ!!



 見事に俺のいる場所を逸れて落ちた。


 成功だ。


 エリアボスの表情に驚愕の色が浮かぶ。 


 ふふふ。

 してやったりだ。


 《念力》の制限は自分の重量なので、雷ならその心配はいらない。雷は単純なエネルギーだからな。

 

 何度でも、無効化出来る。


 続けて向かってきた雷を、俺は《念力》で操り、次はエリアボスに向けて放ってみる。


 流石にエリアボスも予想してなかったのか、雷は見事に命中した。


 初めてのダメージ!


 と、期待したが。

 現実は甘くないらしい。


 エリアボスの様子を見てみると、ダメージらしいものが見当たらない。


 どういう事か、と思い慌てて《鑑定》を掛ける。

 雷に追われていて《鑑定》すら出来なかったのだ。


 そして、表示された情報がこれだ。



_________________________________________


 ※鑑定を遮断されました。

__________________________________________


 


 マジですかー?


 やっとの思いで《鑑定》を掛けたのに……。

 その結果がこれ。


 鑑定を遮断って。

 ズルくね?


 何かのスキルだろうか?


 俺もそのスキル欲しいよー!


 というか、このエリアボスヤバくない?


 

 雷を操った遠距離攻撃。

 

 俺の《潜伏》を破るほどの察知能力。


 ウルフなので近接攻撃も強いと思われる。


 そして鑑定不能。


 さらに、優れた知能もある。


 おまけに巨体。


 

 このエリアボスをどう倒せと?


 レベル20台が何十人いようと、雷で瞬殺されそうだ。


 他にも、まだ使っていないスキルや魔法もあるだろう。俺に使っていないだけで。


 本当に倒せるのか?

 怪しく思う。



 まだ戦闘中にも関わらず、俺がそう呑気に考えていると、エリアボスに動きがあった。


 何かを溜めるような仕草をしたのだ。


 数秒後。

 

 エリアボスが、その体全体に雷を纏ったのだ。


 白い毛並みに沿って、雷がバチバチッと放電している。

 

 客観的に見ると物凄くカッコいい。

 

 エリアボスは空を仰いだ。


 瞬間。

 空を暗い雷雲が覆った。


 直感でヤバいと感じた俺は、直ぐに《念力》を展開する。


 雷なら、《念力》で防げるからだ。


 雷雲が一瞬、チカッと光った。



 そう思った瞬間。

 雷は俺に落ちていた。



 俺が知覚できない速度の雷。

 

 知覚できなければ、当然《念力》で迎撃することも出来ない。


 《念力》の穴を突かれた。

 まあ、そうそう知覚速度を上回る速度の攻撃なんて無いと思うけどな。


 HPが0になる刹那、俺はそんなどうでもいい事を考えていた。


 ちょっと自分が強くなったから、少し浮かれていたかもしれない。


 何の根拠もなく、大丈夫と思っていたところは必ずあっただろう。


 そう考えると今回、エリアボスにボコされたのは良かったのかもしれない。


 はあ。

 リスポーンしたら、レベル30台を目指して頑張ろうかなー。


 《影魔法》を鍛えるのも良いかもしれない。


 《念力》も育てた方が良いだろう。


 やる事は山積みだな。


 俺はそう決心を固める。


 このエリアボスの所には、もう来ないかもしれないな。

 

 エリアボスが強すぎて、少しトラウマになるかも?

 雷は怖かった。


 まあ、またいつか。

 俺がもっと強くなったら、リベンジさせてもらうとしよう。


 俺は、リスポーンボタンを押した。


 俺の意識が毎度のことブラックアウトする。


 その瞬間――――



 『知能ある者よ、またここに来なさい』



 ――――と、聞こえたのは幻聴だったのだろうか?


 

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