平原 愛留 5
「仲裁…愛留さんの種族って…そういえばきちんと聞いたことが有りませんでした。」
「わたくしは唯一神に使える天使です。魔族は唯一神の妹である邪神を崇拝していましたからそもそもの教義が違いますね。…まぁその辺は後日資料をお部屋にお届けしますね。」
その顔は少しはにかんだ様子が見て取れる。
いや、俺をからかっているだけなのかもしれないが。
素の表情に戻った愛留さんは目を瞑り手を祈るように組む。
背中からは穢れのない真っ白な翼が二対、頭の上には天使の輪が淡く明滅している。
神に仕え人々を導く無垢なる存在。
「少しわたくしの過去の話をしましょうか。乙女の秘密は明らかにされない方が美徳と一般的には言われていますが、特別ですよ?」
また悪戯好きな愛留さんが顔を出して俺は思わずドキッとする。
こういう表情をされると男として反応してしまいそうになるがそれをひた隠しにする。
「此方の世界とわたくしの居た世界はある日突然繋がりました。その時わたくしは人族に加勢を決意し、共に戦って居たのですが別々の大陸を支配していた七人の魔王が突如として団結し、邪神を召喚したその直後、突然渦に飲み込まれたわたくしは何故か二十年のアメリカ アドベンチャーワールド、ミミックランドの旧名ですね、そのマイワールドの地下に降り立ったのです。同時に巻き込まれた部下や同僚は五十年前、もっと前の時期から居たと言うのに。飛ばされた時期が違うのも魔力の乱れが原因なのではと言われています。」
「ミミックランド…もしかしてあそこが異世界とのトンネルみたいになってるってことですか?」
「その解釈で合ってるかと思われます。坊ちゃまの連れてきたアカリお嬢様も似たような境遇でしょう。」
愛留さんは一度話を切ると紅茶を含み喉を潤す。
垂れる髪を掻き上げる仕草に見惚れていると悪戯っぽい笑みを浮かべ続きを話し始めた。
「そしてジョイクリエイト社の本部は何らかの形でこの世界に異世界人を集めている。」
「異世界人を集める?」
「そうです。エルフや獣人などもジョイクリエイト社本部のあるテキサス州から来た者達が最初だと言われています。…っと、坊ちゃまはそろそろ御夕食の時間ですね、わたくしも参りますので本邸へ参りましょう。」
今注意すべきは異能研究所、異能略奪者、ジョイクリエイト社か。
心に留めておくとしよう。




