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防衛特化無表情腐女子モブ子の楽しい青春  作者: 一九三
承 変化!いつだって諸行無常!
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モブ子14 冬季休暇後

 冬季休業後、デメテルさんがなんか燃えてる。

 今までハデスを目で追ったりしてたのに、それもなくなってる。

 もしかして失恋かな。今の旬はトール大将×ロキだから別にいいけど。上司×部下って萌えるよね!

 ロキはトール大将と父上の仲を疑って劣等感を覚えて、敵国だから手近な自分で妥協したんだ、とか卑屈になりつつも関係を断れなくて、そうしていたある日、ロキに部下の一人が迫って、ロキはここまで愛してくれるならとかちょっとか揺れるけどトール大将への愛を貫いて断って、でも断ったのを知らないトール大将が嫉妬してロキを押し倒して、ロキは乱暴な扱いに愛されてないと勘違いして泣いて、トール大将は他に好きな人が出来たから自分とするのが嫌なんだとか思ってますます怒って、最中に『自分ほどお前を愛してるものもいないのに!』とか咆えて、それにロキが『嘘つき!』とか睨んで、わいわい喧嘩して誤解が解けて仲直りに夜の運動会してめでたしめでたし。父上×トール大将、トール大将×父上もよかったけど、トール大将×ロキもいいね! ロキは良い受け様だ!


 「お嬢様、気持ち悪うございます」


 とか妄想していたら、テミスに凍てつくような目で見られた。冬のクローデンス領の寒さを思い出すような視線だ。油断したらころっと死ぬほど寒いんだよなあ。凍え死にそう。


 なんやかんや冬季休業前には生誕祭でパーティもあったりしたけど、ディモス様が相手役してくれたから楽だった。

 ちなみにデメテルさんは欠席してた。私もダンスとか興味ないけど、まあ食事を食べたりディモス様とおしゃべりしてやりすごした。こういうのって出たほうが『友好的に振る舞おうとしている』っていう努力を示せるし、テミスも情報収集が楽になるから、出来る限り出ておきたいんだよね。あとディモス様からミーア公爵令嬢と第二王子の偵察をしたいからか、「よければ一緒に出てくれないか」って誘われたし。テミスにもディモス様にもお世話になってるから、このぐらいなら喜んで協力するよ! このぐらいならね!


 だから、今までなんだかんだ言って接点がなかったんだけど。


 「クローデンス辺境伯令嬢、よろしいだろうか」


 ついに捕まってしまった。

 アレス様だ。夏季休業の後から、『父から伝言がある』って言われてたけど、それをかわし続けて冬季休業まで乗り切ったが、ついに捕まってしまった。たぶん、冬季休業中にでもターンライト伯爵にでも強く言われちゃったんだろう。

 うーん、東の集団のあたりで近々争いが起こりそうだし、下手に頼られないために騎士団とは接触を取りたくなかったんだけどなあ。


 「はい、勿論です。なんでしょうか」


 下手に証拠の残る物じゃないといいなー、とか思って応対したら、ドンピシャ。


 「父からあなたに、手紙だそうだ」

 「……ありがとうございます」


 受け取らないわけにも行かず、受け取る。

 やだなあ、北の探り入れかな? 公爵令嬢にも探られたし、領のほうも問い合わせが来たそうだし、面倒くさいなあ。

 とりあえず寮の自室に戻って、中を改めた。


 「……まあ、お嬢様、モテますわね」


 一緒に手紙を読んでいたテミスが目を丸くして言った。

 私も手紙を見なかったフリしたいよー。


 手紙には、北の騒動についての正式な情報開示の要請、東の情勢不安についての探り入れ、そして私の都合がいい時で良いから伯爵家に招待されて欲しい旨が書かれていた。

 面倒くさーい。


 領主に口止めされててー、私にそれを話す権限がなくてー、って父上に責任を擦り付けて逃げる手も使えそうにない。なんか父上が、『その騒動の時の砦の責任者はニケだから本人に聞け』って投げたらしい。責任者は父だからーってことにしとけば、東のことで警戒する必要もあるし、父上は北の地を離れられないから王都には行けない、どうしても聞きたいなら自分たちのホームグラウンドまで来いって言えたのに。

 テミスは「旦那様の嫡子への信頼と愛の鞭ですわ」とか言ったけど、これは夏に私が個人的な単独行動をしたことに対する罰だろう。父上の意地悪ー!とか叫びたい。叫ばないけど。


 ……仕方ない。


 「テミス、次の休みに行くから用意しといて」

 「かしこまりました」


 腹くくって、嫌なことはさっさと済ませちゃいますか!


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