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防衛特化無表情腐女子モブ子の楽しい青春  作者: 一九三
承 変化!いつだって諸行無常!
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攻略対象:宰相の息子2 檻の前にて

 昔、お城で出会った彼女のことが、ずっと心に残っていた。

 凛としていて、強く笑う彼女は、とても綺麗だった。

 彼女の周りの環境は優しいものではなかった。自分だって彼女の味方とは言えない立場だった。

 でも彼女はそんなもの、気にしなかった。

 困っている人を見かけると放っておかず、誰にだって手を差し伸べて、嫌われたってへっちゃらで、いつだって明るく笑っていた。

 気づけば彼女のことを好きになっていた。

 しかしそれは叶わぬ思い。

 幼い初恋は抑え込まれた。


 その数年後、ある少女に出会った。

 まるで彼女のように、強くて明るい少女。

 彼女みたいに困ってる人を放っておけなくて。彼女みたいに前向きで。彼女みたいに綺麗で。彼女みたいによく笑っていて。

 でも、彼女ではなかった。

 出会ってすぐ、少女は親友の婚約者になった。

 自分はそれを心から祝福した。心から、親友も少女も幸せになって欲しいと祝えた。


 さらに数年後、また出会いが訪れた。

 それは初恋の彼女。

 押さえ込んでいた思いがあふれ出しそうになる。

 しかし彼女はあの頃とは様子が違っていた。

 凛とした雰囲気はかたくなさを帯び、人を近づけぬ壁となり。

 明るい笑顔は、凍り付いたような表情に変わり果てていた。

 彼女に近づこうとしても、彼女は自分を避ける。

 どうにか近づきたいのに。

 思いを伝えられなくても、ただ昔のように、笑って欲しいのに。


 そして今日。


 「……もう、いいです」


 独りよがりな思いで、彼女に失望をぶつけた。

 昔のようになってくれない八つ当たりのような言葉だった。

 でも彼女は表情一つ変えてくれなかった。


 自分が何を言っても、彼女には響かない。

 それが悲しいと思う心がまだあったことが、少し疎ましかった。


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