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防衛特化無表情腐女子モブ子の楽しい青春  作者: 一九三
起 序章!学園生活は戦いと共に!
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悪役令嬢4 軍事演習

 ヒロインは全然イベントを起こさない。

 強制発生イベントである模擬戦ですら、攻略対象たちが何もしなくて何も起こらなかった。模擬戦の後話しかけたのは従者のハデスだけだし、……やっぱりハデスルートあるの? それ、悪役令嬢はどうなるの!?

 やだわ、怖い。


 「アルテミス様、よかったらいらっしゃいませんか?」


 そうしていたら、アレスから出かけの誘いを受けた。これはシナリオにはなかった行動だけど、どうなんだろう? やっぱりヒロインも転生者でシナリオを変えてるんだろうか。ううう、逆ハー狙いでも私は邪魔しませんから追放しないで! 斬首は嫌ー!


 ゲームにないアレスの誘いは、いつかの軍事演習だった。関係者しか見物出来ないみたいだけど、アレス様の同行者枠で参加させてもらった。ゲームとは関係ないイベントだから、少しは気晴らしになるかもしれないと思って。


 軍事演習では一緒に訓練したりしてたけど、白い軍服の兵と黒い軍服の兵がいて、明らかに白いほうが動きがよかった。

 たしか、黒いほうが騎士団よね……?

 大丈夫なのかしら……。

 いいえ、騎士団は魔法が主だから、歩兵重視のあちらに比べれば劣ってしまうだけだわ。多分、きっと。


 軍事演習では、最後に模擬戦をする、と言い出した。

 挨拶をしたのは、アレスの父の騎士団長と、あの無表情子だった。


 まず無表情子が前に出て、挨拶をした。


 「模擬戦ですが、我が領は北の守り、防衛戦を主としております。ですので、攻撃がお粗末でもご容赦くださいな。また、父は領から離れられませんので、代わりに若輩者の私がお相手させていただきます無礼をお許しください」


 無表情で、でもおどけた声で言って、大仰に頭を下げた。なんだかピエロみたいで笑えてくる。

 騎士団長もちょっと笑ったようだ。


 「若い娘さんが相手とは光栄だな。おじさんをあまりいじめないでくれよ」

 「ご謙遜を。胸をお借りします」


 ここで柔らかい声を出した、けど、表情はぴくりとも変わらない。本当に無表情な子。こんなキャラ、ゲームにはいなかったはずよね?


 そうして模擬戦が始まった。

 模擬戦では、各々大将に『まいった』を言わせれば勝ちだ。砦はないが、遮蔽物代わりに防壁はある。また、死人を出さないために銃は弾丸にゴム弾を、剣は刃を潰したものを使用し、魔法は手加減すること、至急治療が必要なものが出たらすぐ中断することが言いつけられている。

 また、これは陛下も見ているので、勝った方は褒美がもらえるらしい。八百長試合にさせないための配慮だろう。


 八百長や接待がないのなら、私は騎士団側が勝つと思っていた。騎士団は魔法で有名だが、魔法に制限がかけられていたとしても騎士団長は本当に強いし、たぶん騎士団の勝ちだろう、と。

 相手の無表情子も私と同い年の女の子だし、まさか騎士団長が負けるはずがないもの。



 そんな私の思い込みを正さぬまま、ゴーン、と開始の鐘の音が鳴った。


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