【第43話】「こんにちは!」この呪文で魔王を倒しに行きます!ホントです。②
「現物回帰? どういうことですか」
「ああ。この世界には三大奇跡というものがある。奇跡の果実、奇跡の呪文、奇跡のスキルのことだ」
「三大奇跡、奇跡の果実……なんかどこかで聞いたことがある」
「奇跡の果実はグルームという。この星を栄養に育つ奇跡の果実で、食べるとどんな病気でも直してしまう。しかし世界のどこかに5年に1度しか実らない。まれに商人がもっているとの事だがその確率は限りなく低い。だがあの時は私も時間がなく、わずかな可能性に賭けてゴブリン病になったミーアを助けようとして大声でグルームを持っているものを探していたのだ」
ーーー10話回想ー
「私の娘をー! 救ってくれ!!! 奇跡の果実をもっている者はいないか?」
貴族の男はまだひたすらに叫んでいる。
彼の隣にいる娘……いやゴブリン……いや生物はゴブリン病でどんどん大きくなり、気持ち悪いモンスターのようになっている。
もう3mは超えている。
さっきの人の話だといつ爆発しても遅くない。
「奇跡の果実を!!! うぅう……ミーア。私の可愛いミーア。」
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「なるほど、そこで僕がバルトさんとミーアにお会いして奇跡の呪文で治したんですね」
「そうだ。そ二番目は奇跡の呪文。この呪文はこの屋敷に代々つたえられた伝記上のものだと思っていたが、サン殿が使えるとは本当に驚きだった」
「伝記にしかない奇跡の呪文……」
「この呪文を知らなかったサン殿にも驚いているがな。この呪文は物の状態元に戻す魔術なのだ」
「元の状態に戻す魔術? どういうことですか」
「「この奇跡の呪文は弱っているものに効果がある。体が健康な者や壊れていないものには効果がない。サン殿、いままでの事を思い出してみたまえ、答えはそこにある」
「今までの事……」
(【こんにちは】という言葉を使ったタイミングを思い出そう)
僕ははアルディンの方を見た。一番最初にこの奇跡の呪文を使ったからだ。
「アルディンさんがアリアスの小道で乞食をしていた時……この呪文で……『乞食になる前の姿に戻った』ということでしょうか?」
「おうよ。乞食になるのは20年以上前だからな。体がムキムキにもどって本当に良かった! ありがとう。ちなみに俺は実は昔このエリアスで生まれてな……」
「ちょっと、今は時間がないの! すべてが終わってから話しましょ!」
「そうだね、ミーア」
アルディンさんの話をを横目に次に僕はミーアの顔を見ながら起きたことを思い出す。
「えっと……ミーアはゴブリン病で死にそうなとき、奇跡の呪文で『ゴブリン病になる前のミーア』に戻ったということことですか?」
「ええ、そういうことになると思います。サンが私を救ってくれたんです! 本当にありがとうございます!これも運命ですね!」
「どういたしまして」
(どうりで最近ない胸がちょこっと小さくなったと思ったら……)
「ん?ミーア、なんか言った?」
「いえ、何でもないです!」
「じゃあ、ドラゴン碑石封印強化の時も、この呪文で……」
「そう、封印が強化された状態に戻すことができたのだ。この奇跡の呪文を使えるサンが偶然にもアリアスにいてくれて助かった。ならびにミーアの封印強化の呪文でより封印はさらに強まった。しばらくは大丈夫だろう」
なるほど、そういうことだったのか……
「じゃあ……この腰につけている剣はどういうことですか?」
僕は腰に身に着けている件をバルトさんに見せた。
「ん? こんな立派な剣、どこで手に入れたんだ? 行くときは持っていなかっただろう」
「これはもともとナイフだったんです。でもイエディとの戦いのときに奇跡の呪文を使うことで、刃先が伸びて剣になっちゃったんです!」
「サン! ちょっと見せてみるのじゃ」
ネオがサンに話しかける。
「こ……これはもともとわれら魔族の剣じゃ。剣の絵は古代魔族文字で書いてある」
「ナイフではなく剣ということですか」
「そうじゃ。パ……バルトも言っていたが、『万物をもとの状態に戻す魔術なのだ』つまり対象の時間を戻すことができる呪文なのじゃ。ナイフになる前の剣にもどったのじゃ」
「そうだったんですね」
(バルトさんの事、またパパって言いかけた?)
バルト「ふぅ……バルトという呼び捨てされるのも悪くないな」
ミーア「気持ち悪……」
メイ(メイド)「気持ち悪……」
(なんということだろう。僕たちが当たり前につかっていた【こんにちは】という言葉がこの世界では時間を戻せる呪文だったとは。転生したときの初期装備だったナイフ。いや、現在は剣だが……どうしてそれを僕が持っていたんだろうか……)
ネオ「われはずっとこの呪文を使えるものを探していた! これで魔王を倒すのじゃ!」
(なんかこの挨拶の言葉で本当に魔王を倒せそうな気がする……)
ネオ「詳しくは移動中に話すのじゃ、我らなら魔王城までへ30分でいけるのじゃ。いま町は静かながらも魔族が占拠し終わったころじゃし魔族たちも休んでいるじゃろう。お前らを背中に乗せて運んだとしても月明かりの陰で誰も気づかないのじゃ!」
「ちなみに町の人たちは無事なんですか?」
「むろんじゃ、今回の作戦にはあいつがいないからの。もともとこの作戦はエリアスの領地と」
「よし! 行こう!」
ネオ、サン、ミーア、バルト、3人の翼の生えた魔族の背中に乗り屋敷の外へ、魔王城へ飛びだって行った。




