第38話 「大変です!魔族が可愛すぎます!」のじゃロリ魔族と領主の父①
松明は秘密の緊急通路の中で燃え尽きてしまった。
ーヴエイストハルト卿 屋敷 バラ園ー
バラ園は昼の時間帯はきれいだと思えたが、今の時間だと少し不気味さを感じてしまう
「静かね……」
ミーアが静かに呟いた。
(魔族がいなくてよかった……)
扉を開けた時に目の前で衛兵と魔族が戦っていている所を見なくてよかった。僕は右手で剣の持ち手を握りながらゆっくりと周りを見渡す。何かあればこの剣で魔族と戦うつもりでいた。
僕たちはバラ園から屋敷のほうに静かに向かう。
「サン、これは本当に何もなかったんじゃないか?」アルディンさんが僕とミーアに問いかける。
「アルディン、そんなことないわ。普通衛兵が誰一人いない事なんてないもの。それに外出禁止令が出ているのはあくまでも家の外……つまりこの屋敷の敷地から出ない限りその禁止令を破ることはないわ」
ミーアがつぶやいた。
「たしかに……屋敷の明かりのほとんどが消えてしまっている。就寝時間としてはまだ早い。おい! 一部屋だけ窓から光が漏れているぞ」
「光が漏れている場所はえっと……食堂?」
ミーアとのかくれんぼのおかげでお部屋の場所はあらかた予想がついた。
「よし、いってみよう!」
ミーアとアルディンさんに小さく声をかけゆっくりと屋敷の中を進む。屋敷の中のあかりは消え真っ暗だったが、一部光瑠石の道が続いていたため、食堂まで進むのは難しくなかった。
(サン……花瓶が倒れているわ。何かあったのかも)
(乱雑に倒れている花瓶……なにか戦いでもあったんだ、
(ここから……何か聞こえる)
僕らは食堂の扉を少し開けて中を覗き込む。
そこには知らない顔つきの子が座っていた。
赤い髪にツインテール、見た目的には10歳位かな。人間とは違いツノが生えている。
おそらくイエディと同様魔族であるには違いないが……
ほっぺを丸く膨らませキラキラとした目で何かを見つめている……ケーキだ!
「んまんま! おいしいのじゃ!」




