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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
2章

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20話 迷宮氾濫発生

 

 咲夜がダンジョンに毎日行くことに抵抗がなくて良かった。

 ただ、それはそれとして気になっていたけど言及しなかったことが1つ。


「ところで[鬼神]ってどんなスキルなの?」


 もう字面からかなり強そうなスキルだと伝わってくるけど、どんな効果なのか気になって仕方ない。


「……あまり、言いたくない」


 おや? 前にも同じようなことを言った2人がいたね。

 ちらりと乃亜と冬乃を見ると2人は、分かるわ~とでも言いたげに頷いていた。


「大丈夫です咲夜先輩。わたし達だって人に言いたくないスキルはあります」


 まさにその筆頭だもんね。

 スキルの効果どころか[ゲームシステム・エロゲ]って名前すら酷いから……。


「命の危険がある時ならともかく、そうでないのであれば無理に使う必要はないわ。私も普段は全然使ってない派生スキルがあるしね」


 【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】以来モフモフになってくれないくらいだしね。

 また1度だけでもモフモフになる姿がみたいけど無理強いは出来ないんだよな~。

 そう思っていたらギロリと睨まれてしまった。

 嫌だな、何も考えてませんよ、と言わんばかりに笑顔を向けたらため息を吐かれた。何故だ。


 まあそれはともかく咲夜だけステータスを教えるのは不平等なので僕も自身のステータスを公開することにしよう。


 僕らは互いの能力をある程度明かしながら、咲夜と友好を深めつつ持ち場に待機していたけれど、結局その日一日は何も起きずに交代の時間となった。


 そして翌日、けたたましいアラートの音に僕らはたたき起こされた。


『“迷宮氾濫(デスパレード)”が発生しました。総員直ちに指示に従って行動してください。繰り返します――』


 僕らはあらかじめ聞いていたマニュアルに従い、すぐさま身支度を整えると割り当てられた小屋から出て、集合地点へと集まった。

 集合地点には大勢の人数が集まっているが、まだまだいるのか続々と冒険者たちが集合した。

 宿泊施設にいた冒険者が全員集まったのか、かなりの人数が密集した段階で、ステージのような数段高い場所に軍服を着た人物が上ってきた。

 前もって知らされているこの現場を指示する人で、確か白鷺って人だったかな?

 その手には拡声器があり、その人物は周囲を見渡してからそれにスイッチを入れた。


『私はこの“迷宮氾濫(デスパレード)”に対する指示を任されている白鷺三尉だ。

 諸君らには私の指示に従い行動してもらいたい。

 現在、見張りをしていた冒険者たちがダンジョンから出て来た魔物の駆除にあたっている。

 諸君らはこちらの指示したタイミングで、昨日まで見張っていた持ち場に赴き、その冒険者たちと戦闘を交代してくれ』


 どうやらすぐさま戦闘ということではなさそうでよかった。

 僕らのように初めて“迷宮氾濫(デスパレード)”に参加していると思われる人達は、緊張からか顔がこわばっていた。

 僕も初めて訪れた場所でゴブリン以外の魔物と戦うため、緊張からか気づけば手に持つ武器を強く握っていた。

 なのでまだしばらくの猶予があるのは正直ありがたい。


「ちっ、あの野郎、ハーレムパーティーかよ」

「しかも美少女ばかりとか、やべえスキルでも持ってんじゃねえか?」


 人を見て悪態をつけるくらい余裕のある人もいるようだけど。


 しかし人聞きの悪いことを言わないで欲しい。

 そんな危ないお薬みたいなスキルは持ってないよ!?


 後ろから聞こえるやっかみ混じりの視線を受けていると、さきほどまではありがたかった猶予が今は無駄だと思えるのだから不思議だ。

 一刻も早くこの場を立ち去りたいよ。


『魔物の数は数えきれないほどだが、自分の持ち場に現れた魔物をただいつものように狩ればいいだけだ。諸君らにはいつも通りの力を発揮して頑張ってもらいたい』


 出来るだけ後ろに意識を向けずに白鷺三尉の話を聞いていたけど、無数の魔物と戦ったことのある経験なんて、モンスターハウスとかでなければ経験することないんじゃないだろうか?

 僕と乃亜、冬乃は【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】と戦った時に嫌と言うほどゴブリンを狩った経験があるので、それと同じ要領でいけばいいと思うと少し気が楽になるね。

 しかもあの時と違い、咲夜がパーティーに加わっているので戦力がさらに増しているからむしろ余裕かもしれない。


 僕らは無駄口をたたかずに、各々地面に座って楽な姿勢で自分たちの番を待っていると、ついにその時が来た。


『それでは隊員に声をかけられたものから順に昨日の持ち場へと歩いて赴き、そこで戦っている者と戦闘を交代してくれ』


 数人の隊員が一組ずつ悠長に声をかけているけど、一気に全員が動けば混乱の元だろうから、集団の外にいるものから順に動くよう指示しているんだろう。


「それでは自身の持ち場へと向かってください」

「はい、分かりました」


 ついに僕らの番が回ってきた。

 いつもと同じようにみんなの支援をすればいいだけのはずなのに、緊張するな~。


「何硬くなってるのよ。蒼汰は私達の後ろでドンと構えて援護してればいいんだから、しっかりしなさい」

「ははっ、まあそうなんだけど、やっぱりいつもと違う環境で戦うと思うと緊張しない? 特にダンジョンの外で戦うんだから尚更さ」

「先輩の言いたい気持ちは分かりますけど、最悪周囲の他のパーティーの方がフォローしてくださるんですから、自分たちの出来ることを精一杯頑張りましょう!」

「うん、乃亜の言う通りだね」


 乃亜達に励まされて緊張は減ったけど、やっかみ混じりの視線がさらに増えたように感じる。

 この集団から早急に離れるために走って立ち去りたいところだけど、走って移動するのも混乱の元のため歩くよう指示されているので仕方なく持ち場へと歩いていった。


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