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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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51話 まるで僕が悪役のようだ

 

『はぁはぁ、なんてとんでもない試練を行うのじゃ……!』


 アグネスは他の【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】同様、酷い頭痛でもあったかのように頭を押さえながらこちらを睨みつけているけれど、【モルガン・ル・フェ】がこの程度のはずないでしょ?


「女神モリガンの名に於いて顕現しろ!」

『っ!?』


 僕の背後の空間に亀裂が走り、何枚ものガラスを叩き壊したかの様な音がした次の瞬間、亀裂から2頭の赤い馬とそれに牽かれた戦車が現れた。

 そう。モリガンの戦車だ。


 僕は戦車に乗り込むと、早速馬に指示を出す。


「目前の敵を轢き殺せ」

『避けるのじゃ!』


 馬とは思えない轟音を立てながら走り出し、未だに頭を押さえている【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】達に突撃をかます。

 アグネスは何が起こるかすぐに察したようで躱す様に指示を出したけれど、残念ながらそれは遅かった。


 人と同程度のサイズの者達が次々に跳ね飛ばされていき、何体かは倒されるか大けがを負ってしまう。

 もっとも目的はたった数体を倒すために跳ね飛ばしたわけではない。

 恐怖を与える為だ。


「【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】達にもちゃんと感情があって嬉しいよ。悪夢を寄こせ」


 僕はアグネス達に向かって口を大きく開けると、パクンと口を閉じる。


『こ、今度はなんじゃ……!』


 それはすぐに分かる。


「〝暴食再現悪夢侵魘〟」


 僕の口から吐き出された暗いトーンのカラフルなマーブル模様の光がアグネス達を襲った。


『『『グアアアア!!』』』


 【ドッペルゲンガー】や【モルガン・ル・フェ】で与えた痛みや恐怖などの負の記憶を一気に思い出させられたとはいえ、その程度の悪夢では多少苦しむくらいか。


『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』


 【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】に限っては、というところだけど。

 過去の記憶を強制的に見返させられたアグネスは怒り狂って正気を失っており、【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】達にまともに指示を出せそうにない様子だ。

 その上“憤怒”の感情が【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】に影響を与えているのか、近くにいるのから影響を受けていき手あたり次第に暴れ出してるし。

 ここに畳みかける様にもう一度しかければ倒せるかな。


 そう思ったところで、ビディが片手を広げて戦車に乗る僕の前に立ち塞がった。


『もぐもぐ、お願い。アグネスにそれを使わないで』


 珍しくビディの口から直接待ったがかかった。


『あの子が過去の出来事で苦しむ姿は見たくない。それにその能力はあなた自身にも少なからず影響を与えるから、“暴食”を持たず消化できないあなたがそれ以上使うのはよくない』


 そういう風に止められるとまるで僕が悪役のようだ。

 ただ言われてみるといくら【魔王】になっているとはいえ、あんな女の子相手にトラウマを掘り起こす〝暴食再現悪夢侵魘〟を使うことにためらいを覚えず、逆にもっと苦しむがいいなんて思いかけていたあたり、結構ヤバイ技なのかもしれない。

 自分のスキルで再現しているとはいえ、完全にノーリスクであるとは言えないのか。


『くそっ、これ以上やられてたまるか!』


 何の【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】かもよく分からない存在から、大量の炎の矢が僕目掛けて放たれた。

 勢いよく迫る矢に対し、僕は()を動かして対処する。


 ――バクン


『なっ、俺の炎が消えただと!?』


 放った炎が一斉に消えたせいで驚いてるけど、【獏】の能力ならこの程度楽勝だ。


「分かったよ。【獏】の力はよっぽどの時か、こうして【アリス】と組み合わせている時に敵の攻撃を食べるだけに使うよ」

『もぐもぐ、それがいい』


 夢の中でなら【獏】はどんな物でも食べられるから、夢の世界を展開できる【アリス】と一緒に使えば無類の防御力を誇る。


「それじゃあ【モルガン・ル・フェ】もそこそこ消耗したし、次を回すか」


 ガチャンと音を立てて再びツマミが回る。

 出てきたカプセルから現れたのは【織田信長】だった。


 ドレスのように豪華だった衣装は落ち着いた衣装へと戻り、今度はその上から甲冑を身に纏うことになった。


「来い、【上杉謙信】【武田信玄】」


 僕が【織田信長】の力により呼び出すのは、【上杉謙信】【武田信玄】の2人。

 本来であれば6人の武将を従えられるところだけど、あえて2人だけに絞ってその能力を行使させる方が強いのは、【上杉謙信】との戦いで証明済みだ。【姉小路なんとか】は呼ぶ必要なし。


『ふふっ、まさかまた会えるとは思いもよりませんでしたよ』

『へっ、中々悪くねえ戦場に呼ばれたもんだぜ』

「無駄口は叩く暇ないよ。大軍で押しつぶせ」

『『御意』』


 僕が命令すると、2人は骸骨の軍団を呼び出し【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】達へとけしかけていく。

 本人達も率先して戦場へ赴き、次々と【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】を倒していった。


 アグネスが正気を失い統制を失っている今が殲滅のチャンスだね。


 【上杉謙信】【武田信玄】自身の戦闘力も並みの【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】を凌駕しているお陰で最初に比べ5割は減ったかな?


『はぁはぁ、ワシを舐めるなよ、【魔女が紡ぐ物語(トライアルシアター)】もどき共が!!』


 このまますんなりと行くかと思いきや、精神的ダメージからアグネスが回復してしまったようだ。


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ひ、、、ひでぇ 主人公がやるわざじゃねぇ ゴクリ
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