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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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35話 魔女の過去(6)

 

 平和な日常はある日呆気なく崩れてしまった。

 お姉ちゃん達と一緒に使い魔を生成したり、生活に何の役に立つのかも分からない魔法を覚えたりしたり、アグネス達以外の人達もアグネス達の手を借りれば魔法を使えるようになってしばらくのこと。


「流行り病?」

「そうじゃ。どうやら街でヤバめの風邪が流行しているようで、今は下手に近づかん方がよい。しばらくの間街に行ってはならんぞ」


 マザーさんが全員に注意喚起すると、普段街でお金を稼ぎに行ってる人達からいくつも声が上がった。


「しばらくってどのくらい?」

「私、食堂で仕事があるんだけど……」

「こっちだって荷運びの仕事があるのに、急に休めないよ」


 突然の事に他の人達は否定的な言動をし始め、マザーさんは困った表情を浮かべた時だった。


「ほらほらみんな。マザーを困らせちゃダメよ。マザーだってあなた達の事を想って街に行っちゃダメって言ってるのだから、無理を言わないの」


 エバお姉ちゃんがみんなをそうなだめると、渋々ながらもみんなは頷き黙り始めた。

 さすが一番年長なだけあり、こういった場面ではみんなを率先してまとめてくれる。


 普段、無駄にエロいのが嘘のようだ。

 いつもそうだったらいいのにと何年経っても思っちゃうのは仕方ないよね。


「……ん。すぴー」

「ローリー、ちゃんと口に出して言わないと分からないわよ」


 エバお姉ちゃんは呆れた目をローリーお姉ちゃんに向けているけど、ローリーお姉ちゃんは全く気にせず寝続けていた。


 いや、「ん」の一言じゃ何が言いたいのか分からないよ。


『ふむ、どうやらどうしても街に用事がある者には、“怠惰”の力で病気を寄せ付けないようにしてくれるようだぞ』


 誰もローリーお姉ちゃんが何を言いたいのか分からなかったけど、アグネス達7人が作り上げた使い魔の黒猫であるアンリが代わりに代弁してくれた。

 アグネス達が作ったからか、繋がりがあるお陰でこちらから意思を伝えようとするつもりがあれば心の中で思っている事も伝わるみたい。

 もっとも、そんな方法で意思を伝えているのはローリーお姉ちゃんとビディお姉ちゃんくらいなものだけど。


「確かにローリーの力なら病気はどうにかなるじゃろうが……」


 何故かマザーさんが渋い表情をしているけどどうしてだろうか?

 病気の心配がないのであれば普段通りに行動しても良さそうなものなのに。


「「「マザー、どうしてもダメかな?」」」

「ぐぬぅ……」


 なんだかものすごく悩んでいる様子のマザーさん。

 しばらくしてようやく結論が出たのか、下に向けていた顔を上げてみんなに視線を向けた。


「今日から数日の間までならいいじゃろう。ただし、それ以降は絶対街へは行ってはならんからの。

 仕事も雇い主にはしばらくは来れんと伝えるんじゃぞ!」

「「「分かったよマザー」」」

「はぁ、やれやれ」


 なんだかんだでアグネス達に甘いマザーさんはまだしばらくは街に行くことを認めてくれた。


 それから数日、マザーさんの言った通り街ではドンドン病人が増えていき、街へと赴いた最後の日にはそこら中で咳をする人が増えたらしい。

 幸いにもアグネス達はローリーお姉ちゃんの力で誰1人病気になることはなかったからよかった。


 もっともそのローリーお姉ちゃんは働きすぎたのか一カ月は働けないとアンリ経由で伝えてきたけど。

 普通の人にとっては毎日1、2時間程度働く感覚だろうに……。

 まあでも“怠惰”の特性上は仕方ないのかな?


 それはさておき街の様子はかなり陰鬱な状態らしい。


 街へに行かなくなってからしばらく経った時、生物とは構造が違うので病気にはならないアンリが街の様子を見てきてくれたけど、誰もが暗い表情をしており互いに警戒しながら過ごしている状態なのだとか。


「マザーさん、この状況はいつまで続くのかな?」

「さあね。ワシは神でもなんでもないから未来なんて分からんしの」


 マザーさんはそう言いながらゴリゴリと薬草をすり潰していた。

 アグネス達は誰も病気になっていなければ怪我もしていないのに、一体何をしているのだろうか?


「これは街の連中に配る為の薬じゃよ。街の連中全員は無理でもお主らの知人を助ける程度はできるじゃろ」


 マザーさんのその言葉通り作った薬をコッソリ街の人達に渡して病を癒していったけど、アグネス達が手伝ったところで作れる薬の量なんて限られており、結果として多くの人が病で亡くなった。

 それでも少しずつ病で亡くなる人も減り、病状も軽くなっていった時だったの。


 流行り病が徐々に収まってきているとはいえ、不安に駆られた人々はすがるモノを求めた。

 宗教だ。


 人は教会に押しかけ必死に祈った。

 死にたくない、病気になりたくないと。


 そんな人々の不安を払拭するため、教会の方でとんでもない発表をした。

 昨今の流行り病は魔女の呪いが原因だと言い始めた。


 はぁっ!? 一体教会の人間達は何を言っているの?!


 そんな世迷言信じる方が馬鹿げてる。

 だけど普通の人にとっては、とくに不安にかられすがるモノを欲している人間達にとってはその世迷言こそが真実となった。


 その発表のせいで人に告発され捕まえられ、拷問や処刑される非道な行いが横行されることになる。

 そう。魔女狩りだ。


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カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
こうなったら全員で男装だぁぁぁあ!! 後の宝◯である
流れがまずい事に
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