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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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23話 〝波乱せし終生〟

 

 〝波乱せし終生〟で受けたダメージは見る限り個人差があり、一番平気そうなのはやはりというか能力を使用した【魔王】だ。

 その次が僕で他のみんなは多少の差があるくらい、もっともダメージがあるように見えるのはリヴィと言ったところか。


 ダメージに差がある理由が分からないな。

 【魔王】が〝波乱せし終生〟を使った際にいた場所を考えても、リヴィはちょうど中間辺りにいたから距離は関係なさそうだし。


 いや、今はそんな事よりもみんなが回復するのが先決か。


「咲夜、[全体治癒]を。乃亜達は回復したら【魔王】がさっきの能力を使わないよう牽制をお願い」

「「「了解」」」


 僕は[画面の向こう側]を解除して外へと出ると、咲夜がすぐに[治癒術]の派生スキル[全体治癒]を使って傷を癒してくれた。

 乃亜の[損傷衣転]があったから今まで使う機会はまずなかったスキルで、1日3度までパーティー全員を健康体にするというものだ。


 今までどんな相手でも全員が傷を負うことがなかったから、いざという時のパーティ全体回復手段を使う日が来るとは思いもしなかったよ。

 もう今日だけで使うと思ってなかったスキル達が大活躍だ。


 そんな事を思いながら僕はまだダメージを負ったままのオルガ、ソフィ、リヴィの3人の元へと駆けだして行く。

 残り3枚しかない〔穢れなき純白は(エナジードレイン )やがて漆黒に染まる(レスティテューション)〕だけど仕方がない。


 そう思って3人に使用しようとした時だ。


「いや蒼汰先輩。ぐっ、私は大丈夫だ……」

「一番重傷そうなのに何言ってるの!?」


 まさかのリヴィから待ったがかかった。

 受けたダメージが一番大きいはずなのに何故止めるんだ?


「問題ない。私には〔終わりを(エクスカリバー)知らぬ伝説(スカバード)〕がある、……ぐっ!

 これは私にしか適用されない以上、蒼汰先輩の誰にでも使えるそれはまだ取っておいた方がいいだろう」


 あ、そうか。リヴィ専用だけどあれも回復手段の1つだっけ。

 自身のあらゆる病気や怪我を癒すことができるっていうシンプルな能力だけど、かなり便利なもの。

 でも確かインターバルが3時間あるから、そのまま使うと【魔王】との戦いではもう使えなくなってしまうか。


「ならリヴィを[チーム編成]に設定しよう。そうなると――咲夜を[チーム編成]から外すけどいい?」

「ん、分かった」


 大声で咲夜に確認をとると、咲夜が頷き一旦【魔王】から離れてくれた。

 いきなりコスプレ衣装を外すと身体能力が変わって戸惑ってしまう。

 戦ってる時にそんな事になったら隙だらけになって危険だからね。


 乃亜と冬乃の【典正装備】のインターバルを無くすために再召喚できるようにしておかないといけないから、そうなると咲夜しかいないけど仕方がない。


 咲夜にコスプレさせられない分戦闘力が多少ダウンしてしまうけれど、リヴィが〔終わりを(エクスカリバー)知らぬ伝説(スカバード)〕を使える状態にしておく方がまた〝波乱せし終生〟を使われてもすぐに復活できるようになる。

 そして【魔王】を牽制して時間を稼いでもらえばみんなが回復する余裕ができるし、その方がいい、はず。


 少なくとも咲夜はみんなと連携を取るために少し身体能力を抑えて戦っているらしいから、むしろバランスが取れるんじゃないかな~と思うけど、戦闘が早過ぎて違いが分からないから本人がそう言うのならきっとそうなんだろう。


『小賢しい奴らだ。大人しく倒れ伏しておけばいいものを。〝天より落ちし明けの明星〟』


 オルガ達も回復して戦線に復帰した事で眉を顰める【魔王】は、右手を乃亜達に向けて重力攻撃を放つも、元から警戒している能力の1つなので全員がその攻撃を食らうことは無い。

 何人かその攻撃を食らっても、この空間のバフがあるため片膝を突く程度だった。


 しかも【魔王】はその能力を使用している間、対象に向かって手をかざしていないといけないのか動きを止めるので、重力攻撃を受けていない者が【魔王】へと攻撃を仕掛けて重力攻撃を強制的に解除させている。


『くそっ、こんな場所でさえなければ……!』


 思う様に攻撃ができず乃亜達の攻撃をほぼ一方的に食らっているせいか、【魔王】は苛立ちが増しているようだった。


 【魔王】が〝神への反逆〟で身体能力が大幅に強化しているから、この空間内であってもまだ身体能力は【魔王】の方が上のため、乃亜達も殴られたり蹴り飛ばされたりしているものの、通常の攻撃であれば[損傷衣転]のお陰でダメージはない。

 せいぜいみんなの服を逐一直すために、僕の指が腱鞘炎になるんじゃないかという勢いで酷使させられて疲弊しているだけだ。


『こうなったら――』

「……また来る! させない」

『ちっ、この童が……!』

「……子供じゃない」


 〝波乱せし終生〟でも使おうとしたのだろう。

 だけどそれを察知したオルガがその行動をキャンセルさせるために、おそらく【魔王】が一瞬集中する隙を狙って急所目掛けて攻撃を仕掛けていた。

 そのせいでその攻撃を防がないといけない【魔王】が能力を使えずにいる。


 〝波乱せし終生〟だけでなく〝失楽園・禁断の果実〟も乃亜に使えなくさせられたので、現在【魔王】はほとんどの能力を弱体化か無効化させられてしまっている。


 【魔王】が学校を出れば[思い出の場所]は使えないから能力を使用できるようになるのだけど、当然そんな事乃亜達はさせないし、そもそも学校から出ればいいと気付けないだろう。


 このまま畳みかければ勝てる! そう思うのは早計だった。


『【魔王】を舐めるな! 〝堕天使召喚〟』


 【魔王】が再び堕天使を召喚してきた。

 この空間内じゃろくに動けない堕天使を召喚してどうするつもりだろうか?


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― 新着の感想 ―
なかなかにしぶとい、、、 というか決まり手が見えない感じか、、、
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