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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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22話 [思い出の場所]

 

 〝失楽園・禁断の果実〟により空間が塗り替わるはずだった。

 だけど乃亜の派生スキル[思い出の場所]によりその能力は止められた。


 今まで使う機会が無かったスキル[思い出の場所]。

 その効果は自身が重要だと認識している場所1箇所に不壊属性を付与できるというもの。

 状況によっては破格の効果だけど、ダンジョンに潜っている時には一切の恩恵はなく、せいぜいスタンピードが地元で起きた場合にのみ有用であったため、日の目を見る事がなかったスキルだ。


 そのためすっかり忘れていたし、え、なんだっけそのスキルって一瞬思ってしまったのは仕方がないよね。

 わざわざなんで学校のグランドを戦う場所にしたのかと思ったけれど、戦えるくらい広い場所でかつ文字通りの思い出の場所となるとここくらいだったからか。


『ちっ、やってくれたな……!』

「……ん。〝開かれし地獄の扉〟は使えないみたい」


 オルガが確認してくれたけど、ある程度予想していた通り、やはり〝失楽園・禁断の果実〟であの枯れた木を出さないと即死攻撃が使えないようだ。


「ならばここで畳みかけるぞ!」

『舐めるなよ。〝開かれし地獄の扉〟だけが私の能力ではないわ! 〝堕天使召喚〟!』


 先ほどこの空間が展開される前のように【魔王】が堕天使達を召喚した。

 だけど召喚された数が少ない。


 いや何百体も召喚しているから少ないわけじゃないんだけど、さっきは何万もの堕天使を呼び出していたことを考えると少なすぎる。

 呼び出せる堕天使の数に限りがあって、この空間の外で召喚した堕天使達がまだ生き残っているせいでこの程度の数しか呼び出せないのか、あるいは〝失楽園・禁断の果実〟を展開していないと召喚できる数が少なくなるのかのどちらかか。


 あれだけ打ち倒した堕天使が数百体しか倒されていなかったとは考えづらいから後者かな?


 まあどちらにしろ、この場でその選択は無意味と言わざるを得ないけど。


「無駄ですよ!」

『なっ、堕天使共がまともに立てないだと!?』


 みんなの攻撃を必死にさばく【魔王】の背後では、この空間の重力(デバフ)を受けて四つん這いになってしまっている堕天使達。

 【魔王】は〝神への反逆〟を使用していたから多少体が重くなる程度と認識していたのかもしれないけど、【魔王】のような強力なバフもない堕天使達では立ち上がることすら出来ないほどだとは思いもしなかったようだ。


 僕らには重力(デバフ)がないから具体的にどれだけ負荷になってるのか実感はわいてなかったけど、何百体もの堕天使達を全て四つん這いにするシュールな光景を目の当たりにすると、ものすごく強力なものだったと実感が湧くね。


 てか、最終派生スキルだけあるけど強すぎない?


『はっ、デタラメな能力だ』

「【魔王】には言われたくないって思うんですけど」


 【魔王】の能力を1つ1つが【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】1体分並みの能力とか、まさにおまいう案件だ。


『ならばいいだろう。こちらも覚悟を決めよう』

「……マズイ!? 【魔王】を止めて!」


 オルガが焦ったようにみんなに【魔王】が今からする事を止めさせるように言った。

 だけどそれはあまりにも遅かった。


 【魔王】が四つん這いのままいる堕天使達の中へと逃げだした。


「待ちなさい! 〈解放(パージ)〉!」


 冬乃から放たれる炎が堕天使ごと【魔王】を襲うも、四つん這いでゆっくりとハイハイしか出来ないにもかかわらず堕天使達がなんとか【魔王】の盾になろうと動いた結果、その攻撃はどうやら【魔王】には届かなかったようだ。


『まさか使うことになるとは思わなかったぞ。私の奥の手だ。〝波乱せし終生〟』


 【魔王】に能力を使われてしまった。


 ………


 ………………


 ………………………?


 何も起きない?

 【魔王】が何かしらの能力を使ったようだけど、何の変化も起きていないように見える。


 そう思った次の瞬間だった。


 突如として言い知れない感情が湧き上がり、謎の怒りと悲しみが胸によぎる。

 そして同時に体の内側に強烈な痛みが襲ってきた。


「「「「「「ああ゛っ!?」」」」」」

『ぐあっ!?』


 みんなの悲鳴を聞きながら、僕は胃から逆流してきた血を口から吐き出した。


「がはっ、ゴホッゴホッ!」


 僕らは【魔王】を含めこの場にいる全員が血反吐を吐いて倒れてしまう。


「い、一体何が……?」


 [画面の向こう側]に退避しているはずなのにダメージを受けたのはどう言う事なんだ?

 それに僕だけでなく何故みんなが倒れてしまったかが分からない。


 幸いにも【魔王】も同じように倒れているから追撃される心配はないけれど、みんなが受けたダメージは思いのほか大きそうだ。

 普通の攻撃であれば乃亜の[損傷衣転]でダメージは全て服に移るはずなのに、僕らの服が破けた様子はないし何故なんだろう?


 痛みに僕らが喘いでいると、【魔王】はゆっくりと立ち上がってこちらに向かってほくそ笑んだ。


『ふ、ふふ……。〝波乱せし終生〟は私がかつて受けた苦しみをダメージという形にしてお互いが受けるというものだ。防御や耐性など関係なくダメージを直接相手に与えられるから、どんなスキルや[典正装備]を持っていても無意味だぞ』


 なんて捨て身な技なんだ。


 あの攻撃は致命傷とまではいかなくても、行動に支障の出るレベルのダメージを与えるとかシャレにならない。

 なんとか回復したいところだけど、〔穢れなき純白は(エナジードレイン )やがて漆黒に染まる(レスティテューション)〕は咲夜達に何回も使ってしまい残り3枚しかないしどうしよう。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
む! ラスボスの自爆技、、、 まさかこの魔王 第三形態&今までのダメージ回復のテンプレもちだったり?!
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