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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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21話 フルメンバーだドン

 

 乃亜の最終派生スキル。


 それは3つの効果がある。

 1つ目、特殊な空間に僕らごと対象を閉じ込め、強制的に多対一に持ち込むことができる。

 2つ目、自身が恋愛感情を持っている異性に一定の恋慕の情を抱いてる人物の戦闘力を、その異性がやられてしまうまでその感情の大きさに応じて強化する。

 3つ目、自身と同じ想いを抱く者達のその異性への恋愛感情の大きさに比例して、敵の重力を増大させる。


 つまり、自分のフィールドに引きずり込み、味方には強力なバフを、敵には強力なデバフを与えるのが乃亜の最終派生スキル[恋い慕うあなたを囲う(ハーレムエンド)]なのだ。


 味方へのバフが恋愛感情の大きさで決まるので安定しないように思われるが、それでも以前試した時には体感で3倍は強化されているらしいので、これだけでも非常に強力なスキルだと思う。


 じゃあ何故使用するのに抵抗があるのかって?

 無いわけないじゃないか。


「2度目とはいえ、さすがにこれは恥ずかしいですね……」

「……っ!!」

「照れる、ね」

「……もっと」

「は、ははっ。外じゃなきゃな~」

「くっ、早く終われ!」


 こんな野外で全裸になってみんなでくっついているのだから。


 乃亜がスキルを使用するとまず僕に対して光の玉が飛んできて衝突し、何故か服が消える。

 次に僕からみんなへと光の線が伸びていき、それに触れたみんなもやはり服が消える。

 そうして全裸になったところで、強制的にみんなが僕に引き寄せられて抱き着くはめになるのだからヤバイどころの騒ぎじゃない。


 幸いにも服が消えた後、局部は強烈な光によって見えなくはなっているからそこを他人に見られる心配はないものの、見えないだけで全裸で触れあっていることには変わりない。

 野外かつ人目のある所でみんなと一糸まとわずの状態で全身で触れあうことになるのだから、抵抗感があっても仕方ないでしょ。


「【魔王】を対象にします!」


 ようやく次のステップに移ったか。


 乃亜が指名した対象である【魔王】へと光の筋が飛んでいく。


『なんだ?』


 【魔王】の疑問は解消される事なく、光が【魔王】に触れた瞬間、僕らが住む街並みが再現された空間、それも通っている学校のグランドに【魔王】は僕らと共に移動した。

 もちろん服は元通りでだ。


『どこだここは?! それに人間達はどこに行ったんだ?!』


 いきなりの事に【魔王】は動揺しているけど好都合だ。

 この隙を見逃すことは無い。


 みんなもそう思ったようで、僕がうっかり【魔王】にやられてしまわないように[画面の向こう側]で退避したのと同時に、【魔王】に向かって駆けだした。

 出来れば僕もすぐに援護できるように外で待機していたいけど、この[恋い慕うあなたを囲う(ハーレムエンド)]の効果時間は対象にしたものを倒すか、恋慕の情を向けられている人物、つまり僕がやられたら解除されてしまうので、流れ弾のような攻撃が当たっただけでも死にかねない僕は安全な場所にいないといけない。


『これは貴様らがやったのか。他の人間達はどこに――いや、私がここに飛ばされたのか?』


 【魔王】は自身に向かって来る乃亜達を見ながらすぐに冷静になって状況を確認しているけれど、すぐにそんな余裕は消えることになった。


「はっ!」


 もっとも身体能力が高い咲夜が瞬く間に【魔王】へと接近して蹴りを放っていた。


『この程度――ぐっ!? な、なんだ? おかしいぞ?』


 蹴り飛ばされた【魔王】が驚愕の表情を浮かべ困惑していた。

 この空間からのデバフだけでなく、この場には僕らしかいないから〝神への反逆〟は効果を失っているはずだからそれはそうだろう。

 でもそれにしてはあまり体が重くなっているようには見えないのは何故?


『〝神への反逆〟の効果がさっきの3割しかない上に、体が異常に重くなっているだと!?』


 は?

 なんで3割も残って……あ、咲夜か。


 [鬼()]のスキルを持っているせいで、神と敵対している今の状況では効果を発揮してしまうのか。

 それにしても3割って、咲夜1人でかなりのバフを与えてしまっていたとはビックリだ。


 咲夜に続いて次々と他のみんなも攻撃を仕掛ける中、1人離れた位置で狙いを定める人物がいた。


「……退避!」

「〈解放(パージ)〉」

『くっ、今度はな――』


 ――ドガンッ!!


『ぐああっ!?』


 冬乃だ。


 オルガが察知して冬乃が撃つ前に一斉に【魔王】から離れることで、みんなは怪我一つ負う事無く的確なタイミングで動けていた。

 ナイス連携。僕だったら逃げ遅れてたね。


 先ほど放たれたのは、他のみんなが一斉に【魔王】へと攻撃を仕掛けている間に冬乃が〔籠の中に囚われし焔(ブレイズ バスケット)〕にこの場に来て再チャージした炎だ。

 この世界からの強烈なバフにより強化された炎は普段チャージしてある〔業火を(スペリオル)育む薪炭(フューエル)〕での強化よりも強烈になっていた。

 本来であれば〔業火を(スペリオル)育む薪炭(フューエル)〕も乗算させたかったところだけど、堕天使達に攻撃した際に使用してまだインターバルの30分が明けていないので仕方がない。

 とはいえ、それでも十分な威力を誇っており、【魔王】に対して効果的なダメージを与えていた。


『くそっ、舐めるなよ。〝失楽園・禁断の果実〟!』


 【魔王】がこの空間に取り込まれる前にも使っていた空間浸食能力。

 これにより枯れた木が出現するのだけど、その木があること前提で〝開かれし地獄の扉〟を使用しているようだったので、おそらく〝失楽園・禁断の果実〟を展開している範囲内で即死能力が使用できるようになるのだろう。


 できれば止めたいところだけど、僕が今から外に出ても間に合いそうには――


「[思い出の場所]!」

『なんだと!?』


 能力の発動を止められないと思っていたら、【魔王】を中心に変化しかけていた空間がピタリと止まっていた。


16話を少し修正しました。

咲夜のコスプレ衣装が遠距離攻撃用の巫女服からチャイナ服に変更していなかったためです。

遠距離攻撃のままじゃ咲夜にはあまり意味が無いのにコスプレ衣装のこと忘れてたの……。(´;ω;`)

ついでに冬乃の恰好もメイド服から巫女服に変更しました。



気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
しかし惜しい!! 蒼汰くんたちがどえらいことしてるのをみせることの 魔王への精神的デパフはなかったか!! うーむ、、、冬乃ちゃん達の裸が見られてるような状況 蒼汰くん的にそれはどんな感じか、、、 こ…
強力な効果に驚く前に、これ宇宙刑事ギャバンのマクー空間やんけ。と思ったオッサンを通り越してジジイの俺。
固有結界じゃん
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