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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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16話 なんて嫌な経験なんだ

 

 たったの1分。


 その最大のチャンスを活かせるかどうかに、この【魔王】を倒せるかどうかがかかっていると言っても過言じゃない。


「〔武神(ゴッズ)毘沙門天(プロテクション)〕!」

「やるわよ!」

「〝臨界〟」

「[ファイナルギア]!」

「……いく」

「ここが攻め時だな!」

『不意打ち上等なのですよ!』


 強化できる人は最大の強化をして【魔王】へと攻撃を仕掛けていった。


 僕は咲夜が〝臨界〟を使用する直前に急いで遠距離攻撃強化の巫女服を、脚力強化の中級チャイナ服に変更し、冬乃を全能力向上のメイド服から巫女服に変更する。

 僕にはこのくらいしかするくらいしかできないけど、出来ることがあったらすぐに動けるよう集中して戦況を見続けよう。


 位置的に【魔王】に最も近い僕らが倒すつもりで挑まないと。

 【魔王】が人並みほどの体格になってしまったので、さすがにそんな相手に何百、何千もの大人数で同時に攻撃するのは無理があるし。


 もっとも、強化したと言ってもさすがに乃亜は最終派生スキルを使用してはいないけど。


 乃亜の戦闘力はほぼ[ゲームシステム・エロゲ]があってこそなので、いくら倒し切るつもりであっても、スキルが使えなくなってしまう状況にするのはさすがに危険すぎる。

 あとついでに言うなら1分しか敵の能力を封じられないのに、乃亜の最終派生スキルを使用してたら、下手すればそれだけで1分経ってしまいかねないという点もあるけど。


『くそっ!』


 能力が使えないせいか苛立たし気に【魔王】は乃亜達の攻撃をさばいていた。


 クロ達は〔宿主なき石の形代(マーブル エフィジー)〕の体ではさすがにあの猛攻の中に混ざれないけど、それでも7人がかりで攻撃しているにもかかわらず、堕天使と【典正装備】だけで致命傷を負わずに済んでいるとかヤバすぎる。

 【魔王】というポテンシャルの高さ故か、それとも乃亜達のレベルがまだ低いせいか、仕留めるところまでいきそうにない、か。


 ……ん?

 動きが早いせいでよく見えてないけど、なんか乃亜がさっきからみんなに近づいてボソボソと声をかけているように見えるな。

 一体何をしているんだろうか?


 そう思っていた時だった。


『うっとおしい!! ――っ!? あっ……』


 ついにキレた様子の【魔王】が突然虚ろな目をして呆然と立ち尽くしだした。

 これはチャンス!


「全員、ここから離れて!!」


 えっ?


 乃亜が明らかに隙だらけの【魔王】が目の前にいるにもかかわらず、ものすごい速さでこっちに向かって駆け出してきた。

 他のみんなは【魔王】に近づこうとしている人たちを【魔王】から離れるように指示して動いている。なんで?


「先輩逃げますよ。[画面の向こう側]を使ってください!」

「ちょっ、一体どうしたの?!」


 有無を言わせぬその様子に僕は反射的に[画面の向こう側]を使用しながら乃亜へと尋ねると、返ってきた答えはとんでもないものだった。


「即死攻撃が来るんです!」

「はあっ!?」


 いくら【魔王】でも即死攻撃は反則じゃないだろうか。

 というかそれを乃亜が知ってるってことはもしかして――


「死に戻ったの?」

「はいその通りです。今からくる攻撃に一切抵抗できずに私達はやられました」


 乃亜の1日1度だけ使える[セーブ&ロード]で、自身が死んだ時に自動で発動し、記録した日時に戻ることができるから、この後なにが起こるか分かるのか。


「でも、なんで前もって教えておいてくれなかったの?」

「今から来る攻撃が〔典外回状〕だからです。下手に未来を変えていつ使って来るか分からなくなるより、ここで空撃ちさせて誰も被害に遭わないようにするのが得策だと思いました」


 なるほど納得。


「………………って、〔典外回状〕!?」

「いや反応が遅いですよ」


 週一でしか使えない〔典外回状〕を空撃ちさせるということには納得したけど、まさか相手が〔典外回状〕を使って来るだなんて驚きだ。


『……アアアアアアアッ!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ねみんな死んでしまえ!!!』


 でもあの様子ならむしろ強い感情が引き金になって使える〔典外回状〕が使えてもおかしくないか。

 先ほどイラ立った時に〝怒り〟の感情に呑まれたのか、暴走しているように見える。


『〔地獄へ(ハンド オブ)誘う深淵( イブニング)の御手( ダークネス)冥界葬送(ヘル ジャッジメント)〕!!』

「来ましたね。みなさん、【魔王】が出す黒い泥に触れないでください! 泥の様な見た目でも何をしても吹き飛んだりしませんし、少し触れただけで一気に体に纏わりつかれ、この世から消滅させられますよ!」


 マジでシャレにならない攻撃だった。

 体こと消滅とか割とエグイ。


 乃亜の注意喚起に他の人たちも急いで退避。

 広がっていく黒い泥もスピードは遅く、しかもその範囲は30メートル程度であったため誰も被害を受ける事はなかったようだ。


 ただしそれは僕らだけであって、先ほど〝天より落ちし明けの明星〟で地面に落ち、翼を損傷したのか地面に突っ伏したままの堕天使達や、乃亜達を迎撃するために地上の近くにいた堕天使達はその泥に呑まれていた。

 触れた箇所からあっという間に黒い泥が体に纏わりつき、徐々に地面へと呑み込まれていく。


「逃げ遅れていたら僕らもああなっていたのか……」

「実際1回目では近くにいたせいで私達全員死にましたけどね。痛みはありませんでしたけど、完全に呑まれた後、ゆっくりと意識がなくなっていくのは嫌でした」


 死に戻り能力は強力とはいえ、死ぬ体験は精神的にくるだろうに乃亜は大丈夫なんだろうか?


「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫です。自分で首を斬ってた時よりはマシでしたから」

「……まあ、無理だけはしないでね」


 前の経験が活きてるって言っていいのかな?

 なんて嫌な経験なんだ。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
この魔王、、、テンプレってものを分かってらっしゃる! そして乃亜ちゃん、プレイヤーですね、魔王にとっての理不尽w
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