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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

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8話 え、ホントに終わり?

 

 【魔王】が絶叫を上げた後膝を突いたようで、その頭の上に乗っていた僕らは【魔王】が倒れ始めるためそのまま空中に投げ出された。


「うわああっ!?」

「蒼汰君!?」


 いきなりの浮遊感に僕は慌ててしまい思わず叫んでしまったけど、すぐに[画面の向こう側]を使用すればいいだけだと思い至る。


「ごめん、よろしく咲夜」

「大丈夫」


 僕が安全な場所に避難したことにホッとしたのか、空中に投げ出されているにもかかわらず咲夜は余裕の表情で落下していく。


 その光景を画面で見て僕は思わずヒュンッとしてしまうけど、さすがは咲夜。

 この高さでも[鬼神]を使用していればダメージはないか。


 咲夜はそのままシュタッと着地するとすぐにその場を離脱。

 倒れてきている【魔王】に潰されないよう乃亜達の元へと一瞬で戻った。


「大丈夫ですか先輩達!」

「咲夜のお陰で大した怪我もなく無事だよ。咲夜は結構高いところから落ちたけど平気?」

「あの程度の高さならちょっと高くジャンプした程度の衝撃にしか感じなかった、よ」


 さすさくである。


 咲夜は何でもないと言いながら[鬼神]を解除して元の状態に戻った。

 普段であれば体力切れと共に解除されてしまうのだけど、今は〔喰らい(キング)尽くす口腔( オブ グラトニー)〕でエネルギーを補給したお陰か、余剰分のエネルギーを使用しただけで済んでるよう。


 さて、問題の【魔王】だ。

 凄まじい轟音と共に倒れ伏した【魔王】はあれからピクリとも動く様子がない。


「まさかあんなのでもう倒せたの……?」

「……少なくとも【魔王】の心の声らしきものは何も聞こえてこない」


 オルガは目を瞑って耳をそばだてていた。

 あの【魔王】相手でも[マインドリーディング]は通用するんだろうか?


「……喚き声のようなものが聞こえてくるだけで意味はない。正直に言ってうるさかった」


 怒り狂ってて理性のない相手に対しては、[マインドリーディング]はむしろ集中を阻害されてしまいそうだ。


 本当にこれで終わりかと全員が不安に思っている時だった。


 【魔王】の巨体が崩れ始めた。


「え、ホントにこれで終わり!?」


 あまりにもあっけなく終わってしまったので驚いてしまう。

 〔乗り越えし苦難は(ソード オブ)英雄の軌跡( ザ ブレイブ)〕と虹色の勇者の紋章が【魔王】に対して効果抜群だったお陰だろうか?

 もしかしたらこの【魔王】はその弱点以外では【ミノタウロス】の時のように倒し辛いという特性だったのかもしれない。


 周囲からは崩壊していく【魔王】を見ながら歓声が上がっており、何人かを除いて脅威を食い止めれたことに喜んでいた。


 警戒しているのはほとんどが金の紋章持ちの人だった。


 その人達は複数【典正装備】を持っており、何体もの【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】との戦いを経験している。

 僕らも彼らと同じで、警戒していた。


 今までの経験から言えば【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】は一癖も二癖もある相手であり、ここからさらに復活して厄介な事をしてくることもあるはず……。


 そんな風に警戒していたけれど、【魔王】の身体は崩れる一方で何も起きなかった。


 【魔王】の身体はまるで紙吹雪のように崩れた体が舞い上がっており、それは徐々にその量を増やしていく。


 そうして全てが消え去った時――


 ――ドガンッ!!


「うわっ!?」


 強烈な地揺れと轟音が僕らを襲った。


 油断していたわけでもなく、【魔王】への警戒は一切怠らなかったにもかかわらず、まるで突然そこに出現したかのように現れた存在に僕らは何もできなかった。

 というか、その行動があまりにも予想外だったがために唖然としてしまっていた。


『アハハハハハッ!』

「ミンチッ!」

「プギャッ!?」

「モウユルシ、アジャパ!」


 【イモータル】を笑いながらなぶり殺し始めたからだ。

 先ほどまでシロやクロが交代して楽しそうに殴り殺していた【イモータル】達は、今度は突然現れた存在に好き放題されてしまっている。

 その光景が理解できずにいたけれど、すぐにそれが何なのか分かった。


『『魔王殿!?』』


 シロとクロが同時にその存在を見てそう叫んだからだ。


『アハハハハッ! ん? シンディとクライヴはもうこいつらを殺さなくていいのか?』

『やはり魔王殿か。正気、なのか?』


 クロがそう尋ねる人物はその白髪を肩まで伸ばしている、スタイルが良い身長170センチほどの女性であった。

 そして最も目につく特徴としてはその背に生える三対六枚の黒翼だろう。

 まるでその堕天使のような見た目はこの場に不釣り合いなほど美しかった。


『正気かどうかと言われたら、今だけだろう。

 コイツらを散々なぶって気も晴れた。

 だが、私の中から怒りはフツフツと湧いてきてしかたがない状態だ』

「プギャッ!?」


 【魔王】はそう言いながら近くにいた【イモータル】を殴り殺しており、あの行動で怒りを抑えているようだった。


『だが今正気だからといって抵抗せずに倒されてくれるなどと期待してくれるなよ。

 すでに私の復讐はなったが、もう1人の【魔王()】の復讐は終わってなどいないのだからな』


 そう言って【魔王】はその背の翼を大きく広げた。


『確かこちらの世界でいう魔王は、一度やられても変身して復活するというのがお決まりなんだろ?

 さあ第二ラウンドだ』


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カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
なるほど、、、 女性ですか、、、 これはこれは フラグですかな?
えーと、魔女さんは満足した けど魔王は納得してない、でいいのかな? やりたいこと(復讐相手)が違うから仕方ないね
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