表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
14章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

623/677

3話 制限時間付きの討伐ミッション

 

 エバノラから聞かされた話は一応冒険者組合の方へと連絡した。

 それは他の人達に伝わっていることだろうけど、それが分かったところで何の解決にもならない。

 強いて言うのであれば――


『つまり2週間以内に【魔王】を倒さないと、本来の力を発揮してしまうってことね』


 という、どちらにせよ制限時間付きの討伐ミッションであるという事が再確認されたことだ。


 元から3カ月の猶予内に倒して世界中で迷宮氾濫(デスパレード)が起きるのを阻止する必要があったのだけど、それに加えて本来の力を発揮する前に倒しやすい内に倒そうというだけの話だ。

 やる事は変わらないし、むしろやる気が増す(というかやらねばならない)というものである。


「他に何か分かることはないかな?」

『悪いけどこれ以上何か言う気はないわね』

「え、どうして!?」

『当たり前でしょ。私達は別に率先して人類の味方ってわけじゃないもの。

 私は今の人類には復讐するべきではないという考えの元行動していたけど、もっとも優先するのは自分達よ。

 他の子達も似たり寄ったりの考えだから、これ以上の助力は期待しないことね。

 まあそもそも他の子が出現させた【魔女が紡ぐ物語(トライアルシアター)】なんて、私達にとっても何が起こるか分からないんだから元々大した事はできないんだけど』


 残念ながらエバノラ達からは助力は得られないようだ。

 そもそもダンジョンから切り離されたせいで、出来ることはほぼないのだから期待するなということでもあるらしい。


 そんなわけでイギリスに向かうことになった金の紋章持ちと参戦希望者は、魔女達の話を聞いてソワソワし出していた。

 現在軍の航空機で移動しているけど、現地に到着すればすぐに戦闘になってもおかしくないのだから。


「お祖母様達は大丈夫なのだろうか……」


 もっとも、ソワソワしているという点においてはオリヴィアさんが一番だけど。


「マイラさんなら大丈夫ですよ。だって滅茶苦茶強かったですし」

「そうね。あの人がやられるだなんて想像もできないわ」

「咲夜達が全員で挑んだドラゴン相手に1人で倒してたくらいだし、ね」

「……心配ない。他の人も余裕で助けてるはず」

「ここでオロオロしていたところで何もできないんだから、向こうに着いたら何をするか考えておく方がいいでしょ」


 みんながオリヴィアさんにそう言うと少しだけ心が軽くなったのか、先ほどまで険しい顔をしていたのがほんのちょっと和らいでいた。


「僕はマイラさんがどれくらい強いか見てないから何とも言えないけど、みんながそう言うくらい強いなら向こうに着いたら【魔王】討伐の際に合流することになるよ」

「そう、だな。ああ、みんなありがとう」


 そうして僕らは長い移動時間の末にイギリスに到着したのだけど、そこは地獄と言ってもいい有り様だった。

 建物という建物は軒並み壊されていて、とてもじゃないが人が住める地ではなくなっていた。


 幸いにも周囲の木々が燃えて火事になったりとかはしていないけど、多少のぼやはあったのか建物は少し焼け焦げていた。

 あと双眼鏡で見た限り、死体がパッと見て見当たらない点も良かったところだろうか。


 さすがに大量の死体があったら、気分が悪いどころの話じゃなくなるし。

 これだけの被害があって死体がないというのも不思議だけど、この惨状でも冒険者や軍の人達が頑張って一般人を避難させたのだろうか?


 ……【魔王】が食べたりとかして死体がないということではないと信じたいところ。


「くそっ、なんて酷い……」


 オリヴィアさんはグッと手を握りしめて、この惨状に対して憤りをあらわにしていた。


 だけどこの惨状に対して僕らが出来ることは、当初の目的通り【魔王】を倒すために行動するだけだった。

 【魔王】は次の街へと移動しながら目に付くものを破壊しているようなので、先回りして現地の冒険者と合流して【魔王】を叩くことになっている。


 おそらくマイラさんとはそこで会うことができるはずだ。


 そう思っていたのだけど、残念ながらその考えは甘かったと言わざるを得なかった。

 マイラさんは【魔王】との戦闘で、瀕死の重傷を負ってしまったのだから。


「お祖母様がやられたとはどういう事だパティ!」

「落ち着きなさいリヴィ」


 マイラさんが【魔王】にやられてしまったという話は、現地の冒険者と合流した際、その場にいたオリヴィアさんの幼なじみであるパトリシアさんから聞かされた。

 なんでも戦えない人を守るために【魔王】相手に足止めし続けたようだ。

 その甲斐あって奇跡的に人死には出ていないものの、その代償としてマイラさんは死にかけることになったらしい。


 辛うじて命は繋いだものの未だ目を覚まさないようだ。

 ポーションや治癒スキル持ちがなんとか体を回復させたものの、戦闘中にも何度もそれを行ったせいか凄まじく体に負担がかかったもよう。

 あの見た目からは考えられないけど、オリヴィアさんの祖母であるので高齢であることも目を覚ます事ができないほど体が回復できていない要因であるんだろう。


「少なくとも死にはしないのだから慌てる必要はないわ」

「だが――」

「そうやってグダグダ言って、【魔王】に一般人を殺されてたらそれこそマイラさんに顔向けできないんじゃないの?」

「っ!? ……そうだな」


 パトリシアさんに諭されたオリヴィアさんが落ち着いたのはいいけど、問題はマイラさんが戦えないということだ。

 おそらくイギリスでの最高戦力であり、ドラゴン相手に散歩感覚で挑めるあの人がいないのでは、戦力が大幅にダウンしているということなのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これで魔王が瀕死なら、、、(*´∀`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ