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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
13章

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45話 夢置換

 

『本体と分身の見分けがつくうちに本体を叩くぞ!』

『分かっておる!』


 クロとシロはメリケンサックを手に【(バク)】本体と分身がいる場所へと駆けていく。


 すでに僕にはどれがどれやら分からないけど、分身した直後なら本体がどこにいるのか2人には見当がつくのか。


『1人ずつ確実にいく』

『そう簡単に食らうか!』

『主様と同じで戦いに不慣れな貴様が妾達相手に容易く当てられると思うなよ』


 僕を引き合いに出す必要はなかったのでは?


 そう思いながらも僕は近くにいた【(バク)】へと近づき、手に持っている剣を振るう。

 数体の【(バク)】が消えてなくなるけれど、増える方のスピードの方が早いせいでまるで減った気はしない。


 ほぼ無警戒で近づいた僕に対し、【(バク)】達の中からボソリと声が聞こえた。


『お前は神経図太いから後』

「囮にすらなれないのか……!」


 まさかの放置である。

 分身を数体消す程度では脅威にすら思われないようだ。


 だけど待てよ。

 それって逆に言えばチャンスなんじゃないか?


 なんとかして本体の【(バク)】が分かればワンチャンあるかもしれない。

 しかしどれが本体なのが分からないのが問題なんだけど、シロとクロは判別できるようで迷いなく走っていた。

 ジグザグに動いて、悪夢を食われないようにして2人は本体らしきものに近づいていく。


『クロ!』

『おう!』


 シロとクロが阿吽の呼吸で【(バク)】へと攻撃を仕掛けた。


 その攻撃に対してろくに防御も出来ず2人に殴られた【(バク)】は消えずに宙を飛んでいった。

 消えずに残っているのであれは間違いなく本体だ。


「[アップデート]。冬乃、【典正装備】を使って全力であの【(バク)】に攻撃して!」


 本来[助っ人召喚]で呼び出した人物は【典正装備】が使えないけど、召喚時間が10秒になる代わりにその人物が持つ【典正装備】を召喚できるのが[アップデート]だ。


 先ほどまで周囲の【(バク)】を淡々と処理していた冬乃に指示すると、僕が呼び出した4つの【典正装備】を出してその内の3つを即座に使用。


 〔業火を(スペリオル)育む薪炭(フューエル)

 〔溶けた雫は(バーン オブ)素肌を伝う(キャンドル)

 〔収束する運命の器(グッドラックカプセル)


 [狐火]の威力を何倍にも高め、必中の効果を付与する【典正装備】達。


『■■』


 〔籠の中に囚われし焔(ブレイズ バスケット)


 そして冬乃は一番最初に手に入れた【典正装備】を手に、声にならない声によって剣先から放たれた炎は高速で空中に飛ばされた【(バク)】へと向かっていった。


『っ!?』


 ――ドガゴーンッ!!


 直撃した衝撃が離れた場所にいるこちらにまで伝わってきて、その威力が絶大な物であるというのを嫌でも体感させた。


 さすがにあの威力の攻撃を受けて無事だとは思えない。

 これはやったか?




 フラグだった。


『『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』』

「クロ、シロ!?」

『危なかった』


 空に向かって吼えるクロとシロの傍に何故か本体と思わしき【(バク)】がおり、所々焦げてはいるものの致命傷といった様子ではなかった。


「そんな、どうして無事なの……!?」

『夢置換。

 ワタシを分身に、分身をワタシにその存在を入れ替えられる。

 切り札は最後まで取っておくもの』


 反則じゃないか!

 さすがに飛来してくる炎が速く、交代するのが遅れて炎に触れるのとほぼ同時に入れ替わったから多少焦げてるんだろうけど、どの道〔収束する運命の器(グッドラックカプセル)〕で追尾することになったからむしろ結果オーライになってしまってる。


 マズイ……。

 明らかにチャンスだったせいで[アップデート]を使ってしまって呼び出した冬乃が消えてしまったし、クロとシロもやられて僕しか残っていない。


 僕の攻撃手段は剣を振るうか、たった一度だけ使える〔太郎坊兼光(ヘゲモニー オブ)天魔波旬(デーモンキング)〕のみ。


 剣の攻撃では間違いなく【(バク)】を倒す前に一方的に悪夢の攻撃を食らうだけになる。

 〔太郎坊兼光(ヘゲモニー オブ)天魔波旬(デーモンキング)〕なら上手くすれば一撃で倒せるかもしれないけど、問題は本体がどこにいるのか分からない事だ。

 見当違いの場所に向けて振ったとしても効果範囲内にいれば当たるけど、それは相手が20メートル圏内にいる場合のみ。

 それに間違って分身に当ててしまえば手の打ちようもなく完全に詰みだ。


 【(バク)】には相当ダメージを与えているから、ただの剣での攻撃でも数撃与えれば倒せるだろうにそれが出来ないなんて……!


『終わらせる。油断はしない』


 【(バク)】の分身が大量に増えていき僕を囲っていく。

 その数は果てしなく、瞬く間に見えていた地面の全てが【(バク)】で埋め尽くされた。


『悪夢を寄こせ』


 ――バクンッ


『暴食再現悪夢侵魘』


 ◆


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」


 ◆


「うぐっ、はぁはぁ……」

『相変わらずその程度で済む、か。幸福な人生だったんだね』


 僕の人生が幸福かそうでないかで言えば傍から見れば幸福なのは間違いない。

 だけど僕がこの程度で済んでいる理由を()()()しているよ。


 そう言いたかったけれど、悪夢の直後のせいで気分が悪く口に出せなかった。


『帰りたくなるか倒れるまで続ける』


 ――バクンッ


 勘弁してよ。


『暴食再現悪夢侵魘』


 そんな僕の願いは叶えられるはずもなかった。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
クロ、、、君はきみはぁ、、、 次回クロの再起はあるのか、、、 シロが実は、、、となったらクロちゃん、、、
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