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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
13章

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41話 バグではない。バクだ

 

 クロとシロに殴られた【(バク)】の様子を見て、【(バク)】に攻撃が効く条件がおそらく分かった。

 思いつけばそこまで難しいことじゃないのに、意外と気づけれなかったなぁ。


「みんな、おそらくだけどそいつは現実でも可能な攻撃しか効かないよ!」

『『なんだと!?』』

「なるほど。だから咲夜の攻撃は全部避けるんだ、ね」


 咲夜はなんでもできる精神世界での戦闘経験がないのもあって、常に現実と同じ攻撃手段しかしていなかったからね。


『ん? ならば何故今の我らの攻撃は効いたのだ?』

『そうだの。その理屈でいけば先程までと同じように素通りするだけでは?』

「それは多分僕が出したメリケンサックが現実よりの物だからじゃないかな」


 今回の【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】が【(バク)】なだけあり、おそらく夢のものは食べて消化できてしまうけど、現実のものは食べられないためその攻撃は効くんだろう。

 シロとクロが殴った時にダメージが弱かったのも、メリケンサック自体は僕が出した現実の物だけど、クロとシロの2人は現実だと球体であり、今の姿は夢といっても過言じゃないからその2つの要素が合わさりダメージが半減してしまったのだと思う。


「ただ条件が分かったのはいいけど、せっかくの精神世界なのに現実と同じ手段でしか攻撃が効かないとなると、攻撃方法がかなり限られるなぁ」

『確かにそうかもしれんが、先ほどまでがむしゃらに攻撃していた時よりマシだ』

『そうだの。主様よ。足でも攻撃したいから何か身に着けられる物を出してくれぬか?』


 プロテクターとかあったっけ?

 あ、あったあった。

 [フレンドガチャ]とか回しまくってるから、もはや探せば大抵の物が出て来る気がする。


「はい、2人共」

『『助かる』』


 クロとシロは早速足に着け、再び【(バク)】へと攻撃を仕掛ける。

 さっきまでは咲夜の攻撃だけは食らわないように行動していたのに、今は必死でクロとシロの攻撃も避け始めた。


 そのせいか【(バク)】が放っていた炎弾も先ほどよりも放つ回数が減っている。

 このまま押し切れるか?


 そんな考えが甘いのは今までの経験から分かっている。


 思った通り【(バク)】はすぐに次の手を打ってきた。


『んんっ』

「「『『は?』』」」


 咲夜達から距離を取った【(バク)】は()()()


 しかも1体2体では収まらず、明らかに100体くらい増えていた。【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】が100体とか嘘でしょ?


「ちょっと待って。これ、どうすればいいの?」

『呆けている場合か主様よ! どうするもこうするもやるしかない!』

『シロに咲夜、我らで出来る限り主をフォローしながら【(バク)】を蹴散らすぞ』

「ん、分かった」


 群れとなった【(バク)】が一斉に僕らに向かって来た。


 僕は慌てて適当な武器、中国とロシアで“迷宮氾濫(デスパレード)”が起きた時に支給された剣を取り出す。

 ……なんで10個も【典正装備】持ってて武器として使える物が1つもないんだ!

 唯一振り回せる物が〔王からの支給品(ひのきのぼう)〕しかないとか泣きそう……。


 そんな現実逃避ぎみのことを考えながら向かって来た【(バク)】に対して剣を振るうと、それらはあっさりと切り裂かれて消えてしまった。

 え、こんなあっさりと倒せるの?


 そう思ったのは僕だけではないようで、クロ達もあまりのあっけなさに驚いていた。


『なんだこれは? 脆すぎるだろ』

『数で戦闘力を補いつつ、本体がどこにいるのか分からなくさせる分身か。厄介じゃの』

「強くないしすぐに倒せるけど、まだ増えてる、ね」


 さっきまで100体だけだったのに、気が付けばその数はすでにその倍。

 目を離したらあっと言う間に数が増えて物量で潰されかねないな。


「咲夜達、[助っ人召喚]で一掃するから、本体が分かったらまた分身を創られないように攻め続けて!」


 無数の【(バク)】に襲われているため、3人の返事を待っている余裕はない僕はすぐに[助っ人召喚]を発動させる。


「冬乃、全力で周囲の【(バク)】を燃やし尽くして」


 呼び出したのは冬乃。

 威力という点では咲夜の〝神撃〟に勝るものはないけど、咲夜達と【(バク)】がひしめき合っている状態では巻き込みかねない。

 それに一撃しか撃てない以上、殲滅するのは無理だ。


 そのため冬乃の[狐火]で味方だけは避けて燃やしてもらおうと思ったわけだ。

 しかも冬乃なら7分召喚していられるし、この【(バク)】の脆さなら〔籠の中に囚われし焔(ブレイズ バスケット)〕無しでも十分倒せるはず。


 冬乃は早速[複尾]を発動させ尻尾を6本にし、さらに[空狐]を発動させたのか髪や尻尾が薄く銀色に発光しだした。


 そうして放たれた[狐火]は次々と【(バク)】を消していく。


 【(バク)】も負けじとその数を増やしているようだけど、[狐火]による殲滅スピードの方が早く、あっという間に【(バク)】の数を減らしていた。


『ナイスじゃ主様よ。しかし本体はどれじゃ?』


 シロ同様、咲夜達もどこに行ったか分からない【(バク)】を探し、キョロキョロと周囲を見渡しながら残っている【(バク)】のどれが本体なのか探していた。


 冬乃の攻撃で順調にその数を減らしているから、すぐに本体がどれか分かると思うけど……。


 思った以上に簡単に分身を倒せていたため油断していた。


 【(バク)】が次の手を打っていたことに気付かなかった。


『怒り狂え』


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カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
最後になるかわからないけど 中々にやっかいちゃん さて、バクさんは何を食べていたのでしょうか?
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