表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
13章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

606/677

36話 虚しい

 

「ん、分かった。行く」


 精神世界から脱出した僕らは早速咲夜に最終試練に参加できないか宿泊場所へと戻って聞いたところ、即答で頷いてくれた。


「本当にいいの?」

「問題ない。むしろ蒼汰君が頑張ってたのに咲夜だけ休み過ぎたくらい」

「僕と比べなくていいよ。本当に精神的に問題ないんだよね?」


 さすがに最終試練となると、下手すれば第二の試練よりも精神的に負荷のかかる試練になる可能性もあるので無理だけはしてほしくないんだけど……。


「大丈夫」

「……うん。本当に咲夜は大丈夫そうだから、蒼汰は安心して連れて行くといい」


 オルガが[マインドリーディング]で心を読んでそう判断したのなら、やせ我慢でもなんでもないのは確実そうだ。


「分かった。それじゃあ行こうか」


 咲夜と乃亜達を連れて赤い石の所まで行く。

 乃亜達は部屋で待ってくれていても良かったのだけど、僕らが試練を受けている時に部屋でただ待っているのは落ち着かないと言って付いて来たんだ。

 まぁ〝窓〟で僕らの様子を見られるから、来る意味がないということはないか。


 赤い石のある場所へと行くと、いつも通り母さんと彰人がそこに立っていたので話しかけることにする。


「母さん、彰人。最終試練ってどんな試練か分かった?」


 咲夜を迎えに部屋へと戻る際、母さん達関係者に第二の試練の後に何があったのかを関係者に伝えておいたからね。

 〝窓〟では僕らの様子を見えても音までは伝わっていないので最終試練に参加するための条件をキチンと説明したけど、果たしてどうなっただろうか?


 精神世界から出て咲夜を迎えに行ってからそれほど時間は経っていないけど、少なくとも20分くらいはすでに経ってるはずだから、誰か1組くらい試練に挑戦してたりしないかな?


「いいえ、まだ分かってないわ。そもそも最終試練で4人1組で挑んで来いって言われていきなりパーティーを組めないわよ。

 ここにいるのは精神世界に入れる人間が集まった寄せ集めで、普段一緒に行動したりする仲ではないのだから」

「そうだね。チームプレイが必要とされるであろう試練なのに、仲間の手の内すら分からないんじゃ協力もまともにできないと思うよ」


 彰人はそう言いながらとある場所に視線を向けると、何人かが集まって話し合いをしていた。

 どうやら誰と組むか決めるために、お互いにどんな事ができるか話し合って相性のいい相手を探しているようだ。


「たぶんもうしばらくかかるだろうね。蒼汰達はその話し合いに参加する必要はないってことでいいのかな?」

「そうだね。クロとシロもいるし、咲夜も復活したからこれで4人だよ」


 クロとシロがいなかったらあの話し合いの中に参加しないといけなかった上に、見ず知らずの人といきなりパーティーを組むことになっていたところだった。

 別に人見知りってわけじゃないけど、大人数で参加するような迷宮氾濫(デスパレード)ならともかく、たった4人だけで挑む時に知らない人とは組みたくないって普通は思うのではないだろうか?


 クロとシロまでカウントされてしまった時は戦力が増えずに残念だと思っていたけど、結果的にはよかったかもしれない。


「それじゃあ蒼汰君。最終試練で合流しよっか」

「うん。さっさと行って最終試練に挑もう」


 いい加減この試練はとっとと終わらせて、ストレスフリーの日常に戻りたい。

 もっとも、ガチャがまともに出来ない時点でストレスは溜まるけど。


 ……はぁ、まぁいいや。それよりも今は試練に集中だ。


 僕らはそれぞれの【典正装備】を使って、赤い石の中へと入っていった。


 ◆


 この1カ月がなんだったのかというくらい簡単に最終試練に――いやその準備段階だから手前のエントリーの待機場所へと辿り着き、咲夜を待った。


 ……虚しい。

 いや、そういうギミックなんだから仕方ないだろと言われたらそれまでなんだけど、それでも納得はできないよ。

 第二の試練でどれだけ苦労したか思い出すだけに、こんなにもあっさりこの場に辿り着けてしまうこの現状に虚しさを感じざるを得ないんだ。


『まさかこんな単純なことで第二の試練をクリアできるとはな……』

「言わないでクロ……」


 初めてクロは第二の試練のクリア方法を見たから余計に目が虚無になっていた。

 その気持ちはすごくよく分かるよ。


 クロ、シロと共に僕は死んだ魚の様な目をしながら待っていること十数分、咲夜がこの場に現れた。


「あ、ホントに合流できた、ね」

「お疲れ咲夜」

「ご飯食べて少し歩いただけだから疲れてない、よ」


 ……そうなんだよね。

 第一、第二の試練って内情知ってると、咲夜の言う通りご飯を食べて歩くだけになってしまう――って、人の口から聞くと余計に虚しくなってしまった。


「体力が十分温存できてる状態で最終試練。どんな試練何なの、かな?」

「戦闘か、はたまたギミックを解いてくタイプか……。とりあえず戦闘することになってもいいように、[チーム編成]で〈衣装〉の設定をしておくね」


 とはいえ、ここが精神世界であり基本何でもありな事を考えるとこの強化も微々たるものなのかもしれないけど、やらないよりはマシだよね。


「ついでにクロとシロも[チーム編成]で〈育成〉と〈衣装〉の設定しようか」

『『我(妾)もあのような珍妙な恰好をするのか!?』』


 もちろん。

 咲夜を待ってる間にやっておけばよかったんだけど、普段2人を[チーム編成]で強化することがないからすっかり忘れていただけで、2人にコスプレさせるつもりがなかったわけじゃないからね?

 強くできるならそりゃ恰好に目を瞑って強化するに決まってるよ。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なるほど クロに例のあの服を いやむしろ女装、、、 やったね!仲間がどんどん増えるよ! ってそんなわきゃないかぁw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ