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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
13章

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14話 あまりにもシンプル

 

 全体に共有するような重要な情報はマリ達から聞き出せなかったし、とりあえず今は目の前の事に集中しようか。


「えーみなさん集まってくださりありがとうございます。この度私がこの場のみなさんのリーダーを務めることになりましたエマです。よろしくお願いします」


 集まった30人の前で話し始めた、金髪碧眼の30代くらいの落ち着いた雰囲気のアメリカ人女性がどうやら指揮を執るようだ。

 右手の甲には僕と同じで【魔王】と【四天王】特効の金色の紋章を持っているので、実力とこの国の人間であることで選ばれたのかもしれない。

 まあ僕が仮に金色の紋章を持っているからリーダーやってくれとか言われても、柄じゃないしこんな大勢を率いた経験なんて皆無だから、別の大人の人に頼むだろうけど。


「みなさんには極力私の指示に従ってもらいますが、正直に言ってこの【四天王】が何をしてくるかは未知数ですし、いきなり私の指示に従えと言われても納得いかない方もいるでしょう。

 ですのであの中に入った後、臨機応変に動いていただいても構いません」


 それって各自の判断に任せると言ってるのと変わらないよね。

 従わない理由は特にないから、よっぽどな命令をされない限りは従おうと思うけど。


「はっ、そりゃありがてぇな! オレがここの【四天王】をぶっ倒して賞金と【典正装備】を手に入れてやるぜ!」

「はい、ご自由にどうぞ」


 今声を上げた人のように人の下につきたくない我の強い人もいるから、臨機応変という言葉を使ったのか。

 輪を乱す人はいない方がいいという考えには同意するね。

 でも今イキった事を言った人の甲にあるのは、鉄色の紋章なんだけど大丈夫なんだろうか?


「それではみなさん行きましょう。準備はいいですか?」

「「「おうっ(はい)!」」」


 エマさんがそう全員に声をかけたのを合図に、各々がスキルを発動させたり【典正装備】の発動をさせ始めた。


「[マインドハック]」

「[精神生命化]」

「〔黒き翼の(ゴッズ )訪れはお告げの始まり(アナウンスメント)〕」


 エマさんは黒い翼をその背に生やしており、他の人も何人かは見た目が変化している。

 まあこれなら僕の見た目が変わったところで、そこまで注目されないかな?


「〔明晰夢を歩く者(アリス)〕」


 黒のロングヘアーのウィッグを被ると、服装が青いワンピースに白いエプロンとアリスの定番の恰好になり、体も男の肉体から女の肉体へと変わっていく。


「えっ、あの子、男の子から男の娘に変わった!?」

「いや違う。あれは女体化だ! 胸から骨格まで変わってるぞ」

「金の紋章持ちはあんな【典正装備】まで持ってるのか……」


 くっ、金の紋章持ちだから注目されていたのか?

 離れた所にいる人達の声が聞こえてきて、ちょっと恥ずかしい。


 幸いにも距離があるからハッキリとは見られていないだけマシなんだろうけど、恥ずかしいものは恥ずかしいよ……。


「蒼汰君、咲夜も行くね。〔夢枕(ネクスト ステージ)〕」


 咲夜は容易されていた簡易ベッドに〔夢枕(ネクスト ステージ)〕を置いて横になると、頭をそれに乗せて眠り始めた。

 ポウッと枕が光ると、その光は赤い石の方へと飛んでいく。

 〔夢枕(ネクスト ステージ)〕を使うと精神だけが入り込んで、肉体はその場に残ってしまう。

 少し心配だけど、乃亜達が咲夜の身体を見張っていてくれるのでそっちは乃亜達に任せよう。 


 それよりも咲夜の様に他の人も続々と赤い石の中へと入っていてるので、僕もそれに続かなければ。


 赤い石へと近づいて僕はそれに触れた。


 ◆


「なにここ?」


 思わずそう言いたくなる光景が僕の前に広がっていた。

 なにせ目の前にはどこまでも続く長い机と、その上には大量の料理が並んでいるのだから。


 あまりにもよく分からない光景に周囲を見渡したけど、ただの荒野が広がっているだけで僕以外そこには誰もいなかった。


「【ドッペルゲンガー】の時の様な個別で受けるタイプの試練、ってことかな?」


 咲夜はおろか他の人達は誰1人として見当たらないので、完全に個別に分けられてしまったようだ。

 幸いにも今は〔明晰夢を歩く者(アリス)〕で精神世界に入っている状態なので、仮に何かと戦う事になったとしても【白虎】の時のように対処はできるから問題はないけれど。


 しかしこれでは協力するために一斉にこの世界に入り込んだというのに、わざわざ集まって入り込んだ意味がなくなってしまった。


「元から限られた人間しか試練を受けられないから、大人数で挑むタイプの試練じゃないというのは逆にありがたいかもしれない、か?」


 微妙に釈然としない思いを抱えながら、周囲をキョロキョロと見渡しながら歩いてみる。


 見る限り果てしなくどこまでも続く机の上に大量の料理が並べられているだけで、あまり試練っぽさは感じないけれど、一体ここで何の試練をすることになるんだろうか?


「早食い対決とかだと勝てる気がしないから勘弁してほしいところだけど」


 そんな事を呟きながら歩いていると、ようやく料理と机以外の物が見つかった。

 魔女達の試練でよく見かける看板である。


 看板にはこんな事が書かれていた。


 ―――――――――――


 百皿食べたら次の試練


 ―――――――――――


 あまりにもシンプル。

 この試練の主であるビディは基本的に無口だとマリが言っていたけれど、試練の説明すらこんなにもおざなりなのはどうなの?


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 100皿 いったい何を食べさせるきだろうか まさかカレーとかじゃぁ
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