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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
12章

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41話 何してるの?

 

 僕らは魔法の湖があるであろう場所に向かって移動した結果、思いの外簡単に目的の湖らしきものを見つけることに成功した。


「かなり見つかりやすい場所にあったな」

『そうだの。もっと妨害があったり障害物があったりするものかと思ったのじゃが、そういう類のは一切なく、ただ森の中を歩いているだけであったの』


 オリヴィアさんもシロも拍子抜けしていて、目の前の湖が本当に聖剣を返還するための目的の魔法の湖なのか怪しんでいた。

 まあ無理もないよね。


 だけどその心配はおそらく不要だ。


「たぶんこれが罠ってことはないと思うよ」

「何故そんな事が言えるのだ鹿島先輩? ここに至るまで散々おかしな試練だったのだから、これが罠ではないとは言い切れないと思うが」

「確かにオリヴィアさんの懸念も分かるけど、ダンジョンの入口のところでサラ達が1体分の【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】で試練を賄っているって言ってたし、道中の試練から考えるにこれ以上妙なギミックは仕込めないはずだよ」


 ここに至るまで、最初の偽の聖剣を引っこ抜くのを除けば、3つの試練をすでに越えてきている。

 【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】を創造する上でリソースが限られている以上、他のSランクダンジョンの【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】、【織田信長】や【アリス】と同等であることを考えると、これ以上のギミックは仕込めないだろう。


 特に“カムランの戦い”の試練でサラの趣味嗜好が思いっきり反映されたギミックが組み込まれていてリソースを消耗していそうだし、この島でサラ以外の敵がいないのもその証拠だ。


「だからここに聖剣を投げ入れれば、サラに攻撃が通るようになるはず」


 もっともその根拠なんて何もなく、多分そうだろうなと思っているだけなので、実際にそうなるかはやってみないと何とも言えない。

 下手すればギミック関係なく、ただサラの防御力が異様に高くて攻撃が効いていなかっただけというオチも考えられるので、もしそうだった場合僕らはただ聖剣を失っただけという事にもなりかねないのだけど。


 その考えを2人に話したら、2人はフッと軽く笑った。


「そんな事を言っていたら何も出来ないだろう。それにどの道この聖剣がどれだけ凄い装備であったところで、攻撃が効いていないのであれば失ったところで痛手にもならんさ」

『その通りだの。どうせ打つ手がないのであれば賭けに出てみるのも一興よ』


 そんな訳で僕らはあっさりと聖剣を手放した。


 オリヴィアさんが湖に聖剣を投げ入れると、聖剣は淡い光を放ちながら溶けるように湖の中へと消えていった。

 この感じだと湖から拾い上げるといった事は出来そうにないので、僕らはどうあがいても聖剣を取り戻せないということである――と同時に、やはり聖剣がこの試練のギミックに組み込まれていたことが明白になった瞬間だった。


 ギミックに組み込まれていなければ、今の様な演出は起こるはずないからね。


「ふむ。アーサー王伝説では3回目でようやく返還できるはずなんだがな。

 どうやらあの魔女もそれを仕込む余裕もないという訳か」

『聖剣を無事に返還できたのだし、そんな事はどうでもよかろう。問題は実際にあの女に攻撃が効く様になったかじゃ。攻撃が効くのであれば後は打ち倒すだけよ』


 それが一番問題なんですけどね。


『くっ、止められなかった! これでわたしに攻撃が通るようになったわね……』

「そっちから来たの……え?」


 聖剣を投げ入れたことで居場所が分かったのか、()()()()()()()()に乗ったサラが現れた。


 ……クロやん。


 え、本当にマジで何してるのクロ?


『おい、クロ。何をしておる……』


 静かながらも怒気を感じる声がシロから発せられていた。

 そんなシロに対し、サラは恍惚な笑みを、クロは物凄く焦った表情を浮かべながら慌てていた。


 そのクロは何か言いたげな様子を見せているけど、喋れないのか唸り声しか出ていなかった。


『フ、フヒッ、クロちゃんはわたしの事が心配だから応援に来てくれたのよ』

「クロが滅茶苦茶必死に首を横に振ってるんですけど」


 クロの様子から見るに意識はある程度ある状態で操られているってところか。


「人質のつもり? というか【白虎】の力は結界に使われてるはずなのに、どうしてクロが【白虎】の姿に……」

『人質? そんなくそったれみたいなことするわけないわ。それにクロちゃんはわずかに残った【白虎】を纏ってるようなものだから、普通に倒せば元に戻るわよ』


 サラは過去に人質でも取られたことでもあるのか、物凄く嫌そうな顔をしていた。

 この様子なら嘘を言っているわけでもなさそうだし、クロを倒すだけで救出できそうなのはラッキーだ。


『ほう。それはいい事を聞いたのう……』


 あの、シロさん?

 もしも球体ではなく肉体があったら、拳をゴキゴキさせてそうな雰囲気を放つの止めません?

 クロが冷や汗流しながら「ち、違うんだ!」と言いたげな目をしてますよ。

 浮気を疑われた亭主かよ。浮気を疑われてる亭主だったわ。


『主様よ! クロをボッコボコにしてやるのじゃ!』

「目的変わってるよね!?」


 いや、クロを救わないといけないからどの道【白虎】は倒さないといけないのだけど、必要以上に傷つける必要はないんだよ。


「私は別にクロに対して思うところはないが、敵である以上容赦はせん。行くぞ!」


 オリヴィアさんは本当に容赦なくサラ、ではなく機動力を奪うためにクロへと攻撃を仕掛けていた。

 シロとは別の意味で本当に容赦ないな。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] クロ、、、 蒼汰くんのようになるんだ! 女を増やしても怒られやしないよ! あれ?ちがう?
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