表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
12章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

543/677

22話 選択権

 

「これが試練って事でいいのかな?」

「どうだろうな。捕まった人間を無視して次の試練に向かう事も出来ると考えると微妙なところだ」


 僕らはあらたに見つかった扉をため息混じりに見ていた。


 この見つかった扉は大理石の石像があった箇所から2キロくらいは離れた場所にあり、もしも捕まった人を助けるために解放してしまった場合、その解放した人達に襲われながら2キロもの距離を駆け抜けることになるだろう。


『襲ってくるのであれば返り討ちにしてしまえばよかろうが、問題はここでその鞘を失ってしまうことじゃな。

 その鞘を持てばあらゆる傷を癒してくれるのだから、ここで失うのはかなり痛いぞ』


 簡単に返り討ちにすればいいと言ってしまうあたりさすがシロと言えるけど、そう容易くはいかないだろう。


 この試練に受けようと思う人達は元から〔ドラゴンのダンジョン〕に入れる実力者であり、先ほどの試練とは相性が悪かっただけで僕らよりも強いであろう人達ばかりだ。

 そんな人達を倒すのはおろか、2キロもの距離を襲われながら逃げ切るのは並大抵の困難ではないだろう。


 それにシロの言う通り、ここで傷を癒せる鞘を失うのは次からの試練では回復手段を1つ失うということだから、この現状のように何が起こるか分からない以上それを失うのは痛すぎる。


『鞘の事は一先ず置いておくとして、あそこにあれだけ解放されずに捕まっているということは、ここに辿り着いた他の人達は無視してこの扉を通ったのですかね?』

「その可能性は高いだろうな。もしくは解放したはいいが逃げきれずに解放した人間に倒されてしまい、同じように石像化されてしまった可能性もあるが」


 しれっとオリヴィアさんは何でもない事のように言うけれど、もしも自分達も石像化してしまうのであれば堪ったものじゃないよ。


 さてどうしたものかと全員が悩んでいると、オリヴィアさんが躊躇いがちに口を開いた。


「鹿島先輩達。……その、すまないが私は彼女らを解放してやりたいと思う」

『ほう。よいのか? ここであやつらを解放するということは聖剣の鞘という回復手段を失うだけでなく、この長距離を逃げ切らねばならんのじゃぞ。

 下手すれば次の試練でも追いかけられ試練の邪魔をされるかもしれぬのに解放するというのかえ?

 この国のためを思うのであれば大を救うために小は切り捨てるべきではないのか?』


 シロが試す様にそうオリヴィアさんに尋ねると、少し迷った様子を見せながらもオリヴィアさんは頷いた。


「ふっ。私はやはり英雄になどなれないようだ。

 あなたの言うことは分かっているが、それでも私はパティを見捨てることなどできない。

 国などよりも一個人である幼馴染の友人の方を救いたいと願ってしまうんだ」


 自嘲するように笑うオリヴィアさんはどこか吹っ切れたような雰囲気をみせていた。

 そんなオリヴィアさんに対してシロは、白い石の状態だから表情など分からないはずなのに、それでも分かるほど上機嫌な様子になっていた。


『フハハハハ! ならば良し!

 何でもかんでも救いたいなどとぬかすのであれば身の程を知れと一喝しておったところじゃが、1人の友のために動きたいというのであれば止めはせぬ。

 妾もあやつらを解放してやることに賛成じゃ!』

『そんな簡単に言わないで欲しいのですママ。まあ、わたしは〔曖昧な羽織(ホロー コート)〕、ママはご主人さまのスマホ、ご主人さまは[画面の向こう側]で退避できますから、実質矢面に立つのはオリヴィアさんだけなのですが』

『ふむ。そう考えるとこやつに選択権があってよいのではないか? 主様はどうじゃ?』


 シロにそう問いかけられ、少し悩んだけど僕も同意するように頷いた。


「そうだね。オリヴィアさんがそうしたいと言うのならそれでいいと思うよ。

 回復手段が1つ無くなるけど、僕の〔穢れなき純白は(エナジードレイン )やがて漆黒に染まる(レスティテューション)〕があるからある程度の傷は癒せるし。

 それに友人を救いたいって気持ちをないがしろにはしたくないよ」

「すまない、鹿島先輩達」


 オリヴィアさんがそう言って頭を下げようとするけど、僕はそれを押しとどめる。


「こういう時は謝られるよりも別の言葉の方が嬉しいかな」


 僕が少しおどけながらそう言うと、オリヴィアさんははにかみながら笑った。


「そうだな。……私の願いを聞いてくれてありがとう」


 オリヴィアさんにお礼を言われた僕らは早速台座のあった方へと足を向ける。


『そうと決まったのなら早速鞘を台座に置きに向かうのです。さっさとこんな試練を終わらせて次に行くのですよ!』


 アヤメの号令の下、どうやって逃げ切るかを考えながら僕らはそちらに向かうことにした。


「それじゃあ解放する前にあらかじめ縛れそうな像は縛っておくのはどうかな? [フレンドガチャ]でそれなりに縛る物はあるし」

「鹿島先輩のスキル相変わらず便利なスキルだな。なんでも出てくるんじゃないか?」

「なんでもは言い過ぎかな。それにこれらは日頃の挨拶のたまものだね」


 挨拶をしなければいけないけど、それだけで[フレンドガチャ]を回せるポイントが手に入るからコスパは悪くない。

 まあこんな日用品なんかよりも[カジノ]で使うメダルの方が嬉しいのだけど。

 もっと言えばそのメダルで交換できる[衣装ガチャ]のコインが直接出てくれれば言う事ないのだけど。


 ああ、もっとコイン集めてまた思いっきりガチャしたいなー!!


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 全員まとめてがんじがらめにすればしばらくは動けなくなるのでは
[一言] は! きっこーしば、、、、いえ、なんでもございません
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ