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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
2章

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1話 グッドラック!

 

「先輩、明日の準備に行きましょう!」


 放課後すぐに乃亜が現れた。

 白波さんの方が同学年でクラス近いのにそれよりも早く来るって、いつも思うけど凄いな。


「うん、分かったよ。すぐに準備を――」

「キャッ!?」


 立っていた僕に向かって来ていた乃亜が、何故か何もないところでつまづいて僕の方へと倒れこんできたので、乃亜を受け止めようと咄嗟に手を出して支えようとした。


 ――ツルッ


「へ?」


 だけど、なにか見えない力でも働いたのか乃亜を支えた瞬間、足元が滑って共に後ろへと倒れこんでしまう。

 あ、これ今日はどうしようもないやつだ。


「ぐへっ!」

「わっ!」


 ドシンと胸と背中に床に倒れこんだ衝撃がきて結構苦しい……!


「痛っ~」


 ――ムニッ


「きゃっ」


 ………またか。


 もう何回目だろうな。乃亜の胸を不可抗力で揉んだのは。

 いつもは腕に当てられる感触だけど、やっぱり手のひらで触れる方がその柔らかさをより実感できる。


 嬉しいという想いと同時に後ろめたさを感じてしまうので素直に喜べないけれど。


「大丈夫乃亜?」

「おっぱいを揉んだことはスルーですか?」

「せっかく人がスルーしたことを何故聞いてくるんだ」

「強いて言うならアピール?」

「せめて教室では勘弁してほしいな」


 乃亜の[ゲームシステム・エロゲ]は最近上手くコントロール出来てて、乃亜がわざと僕に抱き着いたりしてエッチなことをすることで不意なラッキースケベを防ぐことが出来ていた。

 だけどその反動か、今回のように時たま異常なまでの不自然さでエロいことが起きることがある。


 床は濡れたりしてないのに滑るっておかしくない?


 ただこうした不可思議な現象が起こることがままあるため、僕らもだんだん慣れてはきてるけど。


「後ろから倒れましたけど、腰とか大丈夫ですか?」

「ん、痛みはないし平気かな。乃亜はどこかぶつけたりしてない?」

「先輩がかばって下さったので全然平気です」


 お互いの心配をしながら僕らは体を起こして立ち上がると、大樹と他のクラスメイト男子が僕と乃亜の間に割り込み、僕を逃がさないように取り囲んできた。


「処刑を始める」

「裁判素通りするの止めてくれない?」


 いきなり刑を執行って、こっちが弁解する機会すら与えられないのは酷いよ。


「蒼汰、オレたちはお前が妬ましい」

「逆の立場だったら僕もそう思うだろうけど、これは完全に不可抗力だから」

「そうお前が言ったのはこれで何度目だ?」

「まだ2桁には届いてないはず」

「「「ギルティ!」」」

「回数があいまいなほどエロいことをした罪に処す」

「そんな罪で処刑されたくないなー」


 されたくないと言って止まるなら、最初から取り囲んだりはしないだろうけど。

 逃がす気0だよね。


「ならば聞こう、罪人Aよ」

「被告人ですらないのか」

「お前と高宮乃亜との関係性を述べよ」

「ダンジョンのパーティー仲間」

「「「ギルティ!」」」

「いや、なんでだよ」


 ただ事実を言っただけなのに有罪(ギルティ)ってどう言うことなんだ。


「お前は自分の罪の重さがまだ分かっていないようだな」

「いや十分分かってるけど」


 連日ラッキースケベを起こしてるんだからそれが罪なんでしょ?


「いいや、分かってない。蒼汰、お前はダンジョンのパーティー仲間だと言ったな」

「そうだね」

「彼女じゃないんだな」

「……そうだね」


 乃亜に告白された後、ごたごたしていたため直ぐに返事が出来なかった。けど有耶無耶にする訳にはいかなかったので、ダンジョン探索後2人っきりで話し合う場を設けた。


「乃亜、今日告白された件なんだけど……」

「はい」

「乃亜のことは嫌いじゃないけど、まだ出会って1週間しか経ってないし、何より今はデメリットスキルをどうにかする事に注力したいから付き合ったりは出来ないよ」


 最悪、僕に呆れて乃亜が離れていくことも覚悟したけど、正面から想いを告げてくれたのに曖昧な態度をとるわけにはいかないと思い、今の自分の気持ちを正直に伝えた。


「はい、構いませんよ」

「……へ?」


 僕が思ってたよりアッサリと返されて一瞬呆けてしまった。


「先輩がデメリットスキルをどうにかしたいと思っているのは知っていますし、わたしも自身のスキルのデメリットがないほうが当然いいので、()()彼氏彼女の関係になれなくても構いません。

 それに先輩の言う通り、まだキチンと知り合って1週間しか経ってませんから、徐々にわたしの事を知っていただき好きになってもらう方が嬉しいです」


 そんな訳で今の僕らの関係は友達以上恋人未満のような関係だと言える。


「もう一度聞く、彼女じゃ、ないんだな?」

「大樹がなんでそんな念押しして聞くか分からないけど、彼女じゃないよ」

「じゃあお前は、毎日のように教室で彼女じゃない女の胸を触りその尻に敷かれたと?」

「……………おう」


 ああ、そう言うことですか……。


「もしもカップルであるなら爆ぜて死ねと思うが――」

「さっきまでの対応とあんまり変わらなくない?」


 結局死ねと?


「彼女でもない女の胸や尻を触りまくる貴様はもはやただ死ねと念じることすら生温い。もはや直々にオレ達の手で処刑する以外、この胸の衝動を抑えることは出来ないんだよ!」

「思うだけと実際に手を出すのは結構差があると思うんだけど!?」

「問答無用! 全裸に剥いて辱めてくれるわ!!」

「男の裸とか誰得だよ!」


 もはや取り囲まれて逃げ場のない僕に群がってくる男達の無数の手。

 その顔は血の涙を流せそうなほどでホラー映画よりもある意味恐ろしい光景だった。


「うおい、ちょっ、これはシャレにならないよ!」

「当たり前だ。ガチだからな!」

「なお悪いわ!」


 これは無理って思った時だった。


「先輩に何してるんですか?」


 異常なまでに冷えた声が僕の耳に届き、群がっていた手の一部が唐突に僕から離れていった。強制的に。


 そちらを見ると乃亜が片手で1人ずつ男子生徒の腰のベルトを持って持ち上げていた。


「嘘だろ……あいつの体重100kgはあんだぞ」


 乃亜の右手で持ち上げている人物は相撲でもやっているのかと思うほど巨漢だったけど、それを軽々と持っており、全員がその光景に固唾を呑んだ。


 ユニークスキルやデメリットスキル持ちはダンジョンを出てもレベルの恩恵があるとは言え、こんな力を発揮できただろうか?

 乃亜は大楯を持つから一見怪力に見えるけど、それは[重量装備]で装備の重さを感じないだけ……あ、さっき胸を揉んだから[強性増幅]のスキルが発動してるわ。


 そんな乃亜に恐怖を感じたのか大樹がすがるような目でこっちを見てきた。

 ……グッドラック!


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