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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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46話 〝汝欲望に抗うこと能わず〟

 

「あれはヤバいでしょ!? 咲夜〝臨界〟!」

「分かった!」


 【Sくん】がガチャから虹色のカプセルを出現させたのを見て、慌てて咲夜に〝臨界〟を指示する。

 あれから何が出て来るのか不明だけど、【典正装備】や仲間を呼ばれる以上にヤバい事が起きるのは間違いない。


 一息に倒すことはできなくても、せめてあのカプセルを使うのを妨害できれば……!


「はあっ!」

『ガチャー!?』


 咲夜に高速で殴り飛ばされ続ける【Sくん】には、あのカプセルを使用する間もなく一方的に攻撃され続けていた。

 咲夜の動きが速すぎて離れた所にいるのにその動きは見えず、高速で動く何かが【Sくん】をまるで太鼓のようにドコドコと音を立てて叩いているのだけが分かった。


 だけどその妨害も長くは続かない。


 〝臨界〟の制限時間は30秒であり、それ以上は体力が持たないのだから。


「うっ……ゴメン蒼汰君。はあはあ、仕留め、切れなかった……」

「やっぱり厳しかったか」


 僕は咲夜の体力を回復させながら【Sくん】を見ると、フラフラしながらも立ち上がった【Sくん】は頭上にあのカプセルを掲げだした。


「止めます!」

「……させない」


 乃亜とオルガが【Sくん】に近づき、各々武器を投擲して【Sくん】の行動を阻害しようとした。


 だけどそれは無駄だった。


『ガチャーー!!』


 【Sくん】は攻撃を受けながらも頭上に掲げたカプセルを地面に叩きつける。

 いくら大楯やナイフの攻撃を受けたところで、咲夜のように体を吹き飛ばすほどの威力でなければ地面に叩きつける程度の行動を防ぐことは難しかった。


  金色のカプセルで仲間を呼ぶのなら、虹色のカプセルだと一体何が起こるんだ……?!


 全員が戦慄しつつ身構えた。


 ………。

 ………………。

 …………………………?


 あれ? 何も出てこないぞ?


 虹色のカプセルが割れた箇所からは何も現れず、空のカプセルが転がっているだけだった。


 あのガチャにはハズレも混ざっているのか?


 そんな事を思った時だった。

 僕は正気を失った。


 ◆


≪冬乃SIDE≫


「ガチャーー!!」

『どうしたの蒼汰!?』


 突然蒼汰が倒れ込んだと思ったら、次の瞬間には地面に転がりながら「ガチャー」と叫び始めたわ。

 倒れる瞬間、蒼汰が無意識にか私を下敷きにしないように自分を下にしてくれたお陰で潰されずにすんだけど、今は私のことよりも蒼汰のことよ。


 何故急におかしな行動をとり始めたの?


『あらあら驚いたわ』

『ええ、本当ね。まさかこんな事が起きるなんて』


 いつの間にか私の近くにいて興味深げな目をしながら、マリとイザベラが【Sくん】を眺めていた。


 この2人の様子を見る限り、何か知っているようね。


「ばぶぶばぶ?(あれは一体何をしたの?)」

『何言ってるのか分からないわね』

『赤ちゃんの言葉は理解できないわ』


 やっぱりダメか。


 蒼汰が赤ちゃんになった時も会話は魔道具の〔絆の指輪〕頼りで、あれが使えない時はあまり意思疎通がとれてなかったもの。

 赤ちゃんの状態で何が起きたのかなんて聞きようがないわ。


『まあ何が起きたのか聞いてきたんでしょうけど』

『そうよね。それぐらいしかわざわざ今聞かないわよね』


 分かってるならとっとと答えなさい!

 この状況で人をおちょくってんじゃないわよ!


『簡単に言えば【Sくん】は私達の力を疑似的に再現し、この空間に影響を及ぼしたのよ』

『私達は“強欲”と“傲慢”の魔女。その力はすでに目の当たりにしていると思うけど?』


 この2人の“強欲”と“傲慢”の力は【ドッペルゲンガー】の時や今回の件で嫌と言うほど見てきたわ。


 なるほどね。【Sくん】が虹色のカプセルを叩き割る前から、すでにガチャ欲が徐々に増幅する空間だったはず。

 それが【Sくん】でさらに急速にガチャ欲が増幅されたせいで、蒼汰がこんな有様になったのね。

 ……蒼汰、“強欲”と“傲慢”に弱すぎないかしら。即落ちだったわよ。


『ガチャ欲に限定した欲の加速度的増幅と段階的な他者への配慮の喪失。それがさっきの虹色のカプセルから出てきた結界の効果かしら』

『ええそうね。この結界に名前をつけるならさしずめ〝汝欲望に抗うこと能わず〟ってとこかしらね?』


 ガチャ欲が増幅するのは分かるけど、他者への配慮の喪失って……………、まさか己の欲望を第一優先に行動するって意味?!


『あなたは赤ちゃんになっているせいか影響が薄いけど、それも時間の問題ね』

『誰も彼もがあんな感じになっていくわ』


 そう言ってイザベラが指さす先は蒼汰、ではなかった。


「こ、これはループ前と同じ……!? ガ、ガチャが頭から離れません……!」

「戦ってる場合じゃない……。ガチャ、回したい」

「……た、戦わないといけないはず?」

『あっちの敵を倒しにいけばスマホを奪ってガチャが出来るのです……』

「「ガチャー!!」」


 即落ちしていた蒼汰や、元からガチャ欲に支配されていたソフィアさんやオリヴィアさんはともかく、乃亜さん達まで徐々におかしくなってる?!


『クシシシ。凄いわね。もう戦いになってないわ』

『キシシシ。【Sくん】も戦うまでもないと出口に居座っちゃったわね』


 そんな……。こんなのどうしろって言うのよ!?












「ははっ」


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カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] く!バッドエンド!?!?? いや、、、天元を突破しまくった蒼汰のガチャ欲が、、、?
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