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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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41話 ジャバウォック?

 

 マリとイザベルの声に応じた3体から放たれる眩い光に目を開けていられず、目を覆い隠してしまう。

 しかしその時間は長くは続かず、すぐに光が弱まってそこから現れたもの。それは――


『ガチャ~』

「「「「「『99%【Sくん】!?』」」」」」


 合体したのにほぼ【Sくん】ってどうなってんの?!


 大きさはスミ僕の時のように3メートルくらいはあろうと思われるサイズになっていて、大量に排出された【Sくん】と同じような喋り方しかできなくなっていた。

 いや、それでもただの【Sくん】じゃん。正体不明のジャバウォックじゃないよ。もう既知の存在だよ。


 唯一胸のところに猫とウサギのワッペンがついており、猫とウサギの要素が1%、むしろ皆無といっていいくらいの存在になってしまっている。


『『アハハハハハッ!

 あなたと物語の存在を組み合わせたら、あなたの個性が強すぎて物語の存在が喰われちゃうわね』』


 また僕のせいか!

 ……これ、僕のせいだと思いたくないな。


 マリとイザベルが愉快気にしながらいつの間にか離れた所で観戦しているのは気にせず、とりあえず目の前のコレに集中することにしよう。


「もういいや。これをとっとと倒そうか」

「そうですね。いい加減この世界から出たいです」


 乃亜の発言に全員が頷き身構える。

 僕はとりあえず[チーム編成]でいつも通り乃亜にメイド服、冬乃に巫女服、咲夜にチャイナ服を着せ、〈サポート〉の機能でオルガとアヤメ、それと一応ソフィアさんとオリヴィアさんを強化状態にした。

 それが終わる直前に【Sくん】が両手を上に向けだした。


『ガチャー!!』


 ――ドスンッ!


 その叫び声と共に上から何かが降ってきて、出口である白い渦の前に重々しいものがそこを塞いでしまう。


 逃がす気はないってことか。


 もとよりこれを討伐しなければ逃げるのは難しかっただろうからそれはいいんだけど、それよりも何が降ってきたんだ?

 土埃のせいでそれが何なのか分からなかったけど、そのシルエットからすぐに何なのか分かった。カプセルトイである。


「またガチャか!」


 もうどんだけガチャ推しなんだよ!?


「まあ分かり切っていたことですが」

「蒼汰だもの」

「蒼汰君だから、ね」

『ご主人さまだから仕方ないのです』

「……蒼汰はもうそういう怪物」


 誰がガチャの怪物だって?


『ガチャ』


 こちらが呆れている間に降ってきたカプセルトイのツマミが自動で回りだす。

 カプセルが勝手に排出口から転がってきて真っ二つに割れた。

 そうして中から現れた物。それは――


「マズッ!? 乃亜!」

「分かってます。準備万端です」

『ガチャー!』


 【Sくん】の手にはエクゼキューショナーズ・ソードと呼ばれる西洋の剣に、柄頭に水晶が埋め込まれているもの。

 それは冬乃がよく使う〔籠の中に囚われし焔(ブレイズ バスケット)〕 だった。


 剣先から放たれた炎の塊は冬乃が撃つのよりも巨大で、まるで巨大な【Sくん】に合わせたかのようなサイズが僕らを襲う。


「ぐっ、〈解放(パージ)〉!」


 なんとか炎を〔報復は汝の後難と共に(カウンター リベンジ)〕の大楯で受け止め、さらに大楯の倍返しの能力で炎は【Sくん】の元へと返っていく。


『ガチャ』


 しかしその時にはすでに【Sくん】はガチャから出てきた新たな武器を手にしていた。


『あれはワタシのなのです!?』


 次に【Sくん】が手にしたのはアヤメの持つ〔曖昧な羽織(ホロー コート)〕であり、【Sくん】へと跳ね返された炎は【Sくん】をすり抜けてしまい後ろのカプセルトイへと直撃した。


『ガチャーー!?』


 【Sくん】はカプセルトイをペタペタと触って心配そうにしているけれど、どう見てもカプセルトイには傷1つ付いておらず、あれを壊すのは不可能だと思い知らされる。


「あのカプセルトイ、ヤバいね」

「そうですね。あの頑丈さではなく、出て来る物が」

「私達より性能の良い【典正装備】を使うボスとか反則じゃないの?!」


 冬乃は信じられないものを見る目でカプセルトイと【Sくん】を見ながら驚いていた。


 今まで色々な【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】と相対したことはあるけれど、こんなにもデタラメで見た目以上に厄介な存在はいなかった。

 【ドッペルゲンガー】も【典正装備】は使ってきたけれど、あくまで僕らが使うのと同じ性能だった。


 しかし【Sくん】はその巨体さと同じサイズの【典正装備】を使っているせいか、威力や範囲がその分高いように思われる。


『ガチャ、ガチャ』


 もっともそれを驚いている暇なんてほとんどなかった。

 【Sくん】が『ガチャ』と言うたびにコロンとカプセルが出てくるのだから。


「【Sくん】が【典正装備】を使いまくる前に急いで倒そう。咲夜とオルガで出来る限りダメージを与えるのと妨害をお願い」

「「分かった」」

『ガチャーー!』


 僕が指示したのと同時に【Sくん】は今度は〔傷跡のない恍惚なる(アンフォゲッタブル)痛み(ペイン)〕を()()に持って振るってくる。


「同じ【典正装備】を2個使うなんて事もできるんだ、ね」

「……デタラメに振るうから軌道が()()()()()避け切れない。意外と速く振るうから[先読み]でも追いつけない」


 【Sくん】の戦いぶりは素人みたいな動きなのが唯一の救いか。

 いや、でもそのせいでオルガの[マインドリーディング]がイマイチ発揮しきれてないみたいだ。


 さらに言えばその運動能力は巨大な分以上に元となってる僕よりも強化されているのもあるし。


 何してくるのか読めそうで読めないのが厄介だ。

 何とかして攻略する術を見つけないと……!


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] これも全部蒼汰君がわるぃ〜という風評被害にさらされながら sくんがもっとそれを後押しぃw ガチャだ!ガチャで全て解決できる!!たぶん
[一言] 武器は使ってきても、スキルも技術も無いし割とマシな方では?Sランクの木こりの泉とかの方が酷いことになりそう
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