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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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25話 特殊ミッション

 

 突如発生した特殊ミッションに困惑が止まらない中、【泉の女神】はそんな僕らの様子を気にせずに話し続けてきた。


『もしも私の願いを叶えて頂けるのであれば〝鍵〟をお渡ししましょう。どうしますか?』


 どうしますかと聞かれても、そんなの受ける以外の選択なんてないじゃないか。


「分かりました。一体どんな願い何ですか?」


 乃亜がそう問いかけると、【泉の女神】は何故か僕の方をジト目で見てから悲し気に自分の服を軽く摘まんだ。


『見てくださいこの服を。元々は真っ白だったのですよ』

『知ってる』

『ぶっ殺しますよ』


 何故に?


「煽らないでください先輩。すいません、続きをどうぞ」


 煽ってるつもりはなかったのだけど、確かに黒くなった原因は僕なのだから煽っていると言われても仕方がないか。


『ふぅ……。黒くなってしまったせいで私は呪いを受けました。

 この場所で墨を磨り続けねばならないという呪いを』


 随分ふざけた呪いだ。

 墨でトドメを刺されたのに、そんな呪いを受けるなんてある意味悲劇で喜劇だ。


『私は元の私に戻りたい。もう墨を磨り続けるのは嫌なんです!』


【泉の女神】の切実な発言が周囲へと響くけど、内容が内容だけにギャグとしか思えなかった。

 なんなんだそのふざけた呪いは。


「えっと、それでわたし達は何をすれば……」


 乃亜が困った顔をしながら【泉の女神】に問いかけると、悲しげな顔からすぐに真剣な表情になる。


『はい。私の服を元の白い服に戻してください』


 漂白剤でも買ってくればいいかな? 頑固な汚れも落ちるやつ。


『墨の汚れってそう簡単には落ちないんだよね。漂白剤でも綺麗になるかな?』

「〈ガチャ〉の雑貨で手に入れればいいんでしょうか?」

「でも〈ガチャ〉を下手に回せば、乃亜さんの言っていたように〈ガチャ〉に囚われる事になるんじゃないかしら」


 冬乃の言う通り〈ガチャ〉だけは回せないし、どうしたものか……。


 みんなでどうすれば【泉の女神】の服が白くなるかを話している時だった。


『はぁ……』


 何故か【泉の女神】はそんな僕らを失望するように見てため息を吐いていた。


「……分かった」

『どうしたのオルガ?』

「……【泉の女神】は自分から答えを言えない。けど、多少なら考えることは可能」


 ああ[マインドリーディング]か。

 どうやらオルガは【泉の女神】の心を読んだようだけど、一体【泉の女神】は何を考えていたんだ?


「……【泉の女神】の服は服じゃない。泉そのもの」

「「『あっ』」」


 そう言われて僕、乃亜、冬乃がうっかりしていたと言わんばかりに声を漏らしていた。


【泉の女神】と戦った事があるのに、言われた事を真に受けて服をどう綺麗にしようか考えてしまっていたよ。

 そりゃ【泉の女神】も失望した目で見てくるよね。


 でもオルガの言う通りなら――


『あの真っ黒な泉をどうにかしろってこと!?』


【泉の女神】のそばにある泉はすでに大量の墨汁でも落としたかのように真っ黒なんだけど、バケツの中の水を綺麗な水に交換するのならともかく、こんな量の水をどうやって綺麗な水に変えればいいの?!


「そんなの【泉の女神】と戦うのと同じくらい無理難題なんじゃないかな?」

「〈ガチャ〉が罠だと知っていなければ、特効装備に安易に手を出しているだろうな」


 ソフィアさんもオリヴィアさんもそんなのは無理だと首を横に振り、むしろ倒した方が早いとすら言い出すほどだ。


「泉の水を全部蒸発させて新しい水が湧き出るのを待つ、とか?」

「それは咲夜さんの〝神撃〟でも無理よ。私の〔籠の中に囚われし焔(ブレイズ バスケット)〕を含めた全ての【典正装備】を掛け合わせても不可能でしょうね」


 池とかそんなレベルだったら咲夜の言う通り力技でいけたかもしれないけど、この泉は湖みたいに広くて、とてもじゃないがそんな事は出来そうにないよね。


 服を綺麗にするだけかと思ったらより酷い難題のせいで頭を悩ましていたら、ふとソフィアさんが顔を上げて泉を見渡しだした。


「ちょっと待って。何故泉なのにこんなにも真っ黒なんだい?」

「どういう意味だソフィア?」

「泉は地中から湧き出ているものなんだよオリヴィア。時間が経てばある程度薄まってもおかしくないのにここまで真っ黒なのは何か理由があるんじゃないかな?」

「……正解。泉の中に何かいるみたい」


 ソフィアの考察にオルガが【泉の女神】の心を読んで頷いた時だった。


 ――ズズズッ


『うわっ、なんだ!?』


 突如地響きのような重い音が泉から発生された。

 泉の中心から何かが盛り上がるようにして現れる。


『スミ~』


 巨大なデフォルメの僕が墨汁の容器を片手に現れた。


 ……何あれ?


『スミ』


『スミ』しか言わないそれはゆっくりと僕らに近づいてくると、おもむろにその腕を振り上げ――


『スミスミスミ』

『泉を元に戻したければこの空になった容器を墨汁でいっぱいにしろ、とコレは言っています』


 ゴトンと人の身長ほどのプラスチックの容器が僕らの近くに置かれた。


【泉の女神】がなにやら『スミ』しか言わない存在の翻訳をしてくれたみたいだけど、今なんて言った?


『ここの泉が真っ黒になってしまった原因は、コレがうっかり手に持っていた容器を泉に落としてしまったせいです。

 その悲しみのあまりコレは泉の底でシクシクと泣き続けますが、その涙が水を黒く汚染してしまうのです』


 なんだそのふざけた理由は。

 ……もしかして【泉の女神】に墨を磨り続ける呪いがかけられた理由って、あの容器を墨でいっぱいにするためなの?


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 泉の女神ちゃんのヒロイン化はまだですか? 不憫すぎてメインはれそう〉
[一言] 主人公、ナチュラルに煽ってるw そりゃ自分を倒した相手に生前の姿は知ってるとか言われたらキレるわw
[一言] 蒼汰君ってやつは なんて鬼畜な呪いを、、、自業自得設定なのにぃw みんなで墨をするのかな?
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