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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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23話 時すでに遅し

 

 ウサギと猫に警告を受けたため、僕らは外に出る為の白い渦に近づく事が出来なくなってしまった。

 もしも無理やりにでも外に出ようと白い渦へと近づいたら、ウサギと猫がやってきて強制的に戦う事になるだろう。


 ウサギと猫がどれくらい強いかは分からないけど、もしも外に出るつもりなら少しでも自分達が操るキャラクターを強化してからでなければ勝ち目は薄そうな感じではあった。


 さて、そうなってくると1つ問題が発生してしまう。


「〔マジックポーチ〕に多少食料が入っていますが、だいたい3日程度ですか……」


 食料問題である。


 今回のこの試練が乃亜の話を聞く限り、地道にキャラクターを強化していかなければならない都合上どうしても時間がかかりそうなのだ。


 しかし乃亜達が自身の〔マジックポーチ〕の中身を確認した結果、3日分しかないことが判明した。


 普段は僕が用意していたからね。でも今の僕は自身のスキルも全く使えないから水も食料も出せないんだ。


 この【アリス】の世界に来る前に中国、ロシアの両国から食料を支給されているとはいえ、3日分では乃亜の話を聞く限り不安ではあるよ。


「ギリギリまで粘って、最悪強行突破かしら?」

「〈ガチャ〉から雑貨として食料も出るらしいけど、回す訳にはいかないから、ね」


 まあ最悪冬乃の案でいくしかないかな?

 〈ガチャ〉を回そうものなら仲良くガチャ中毒の出来上がりだから、咲夜の言う通り回せないし仕方ないね。


 みんなで食料が尽きそうになったらどうしようか話していたら、まだ近くにいたのかウサギと猫が再びひょこりと現れてきた。


『そこは心配しなくていいニャ。この世界は夢の中と言っても過言じゃないから、ここにいる限りお腹が空くこともなければ生理現象も起きないニャ』

『そうじゃなかったら【アリス】が死んじゃうよ』


 1週間も放置すれば勝手に自壊する【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】とか、放置するだけで倒せるから楽だっただろうな。今回に限って言えば飲まず食わずでも生きられるのは助かったけど。


「そう言われてみればあの時は特にお腹は空きませんでしたね。4時間ほどしか体感しませんでしたから偶々お腹が空かなかっただけかもしれませんが」

「ねえ、それってつまり4時間でほぼ全滅したってことじゃないのかな?」

「うろ覚えですが、実際わたしが死ぬまでに2500人くらいは死んでたはずですよ」


 乃亜がソフィアの問いかけに何でもない事のように平然とそう言ってのけたけど、それってつまり4時間後にはここにいる人達は僕ら以外ほぼいなくなると言うことでは?


 もう〈ガチャ〉を回している上にウサギと猫が対策を講じているから手遅れなのは分かるけどさ。

 それでも警告だけはしたいのだけど――


『ところで三千人近い人間がここに入ったはずなのにどこにいるの?』


 周囲を見渡しても人がいないのが問題だ。

 一応警告だけして回りたいのに、このままではここにいる人達だけにしか伝えられないんだけど。


『100人ごとに位相がズレてるだけニャ。お前らでも分かりやすく言うのなら……、サーバーが違うのニャ』


 急に俗っぽい言い方になったね。


『大勢の人間を1つの場所にまとめると混雑が起きるから仕方ないよね』

『一纏めにしてたらお前達みたいな人間にかき回されるところだったから、こっちにとっても都合が良かったニャ』


 同じ場所にいながら認識できず関わる事が出来ないという解釈でいいのかな?

 これはある意味試練側の配慮なのかもしれないけれど、そうなるとここにいる人達以外の人には警告も出来ないということだ。


「さすがに他の人達に関しては諦めるしかないね。そもそも挑む存在が【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】である以上、大なり小なり危険があるのは分かっていた事だよ」

「だがさすがにあんまりな死に方だろ。せめて警告だけはしておくくらいはするべきだ」

「無駄だと思うけどね」


 ソフィアさんは肩をすくめてここにいる人達が生き残る事はほぼほぼ諦めているが、オリヴィアさんは僕と同じで最低限のことはするつもりのようだ。


 そんな訳でウサギと猫から離れて周囲にいる人達に警告して回ったのだけど……。


「あ゛? そんな事言って、お前達が【典正装備】を独占する気なんじゃないのか?!」


 という極めて自然な反応はともかくとして――


「これが罠だって? ははっ、ガチャをほどほどに回す程度に抑えればいいだけだろ?」

「ガチャ程度で大袈裟ね。このくらいなら自制出来るわよ」

「ガチャを少しくらい回してキャラを強化したいんだよね~」


 これはないんじゃない?

 自分なら大丈夫という傲慢な考えと、ガチャを回したいという欲求がにじみ出る発言ばかりだった。

 “傲慢”と“強欲”に汚染されるの早すぎでしょ!?


「普段の先輩よりマシなレベル、というところでしょうか?」

「そうね。まだ引き返せそうな感じだわ」

「これ以上酷くなると蒼汰君みたいになるかも、ね」

『その先は地獄だぞ、なのです』


 え、僕これより酷いの?

 あとアヤメ。僕の生き様を地獄みたいに言わないでくれない?


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] みんなで食料が尽きそうになったどうしようか話していたら、 もう〈ガチャ〉を回している上にウサギと猫が対策を対策を講じているから
[一言] これ、蒼汰なら 回しても自制が効きそうで怖いw
[一言] そりゃ主人公のお母さんもデメリットスキルを無理矢理与えようとするわ
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