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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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20話 狂気の課金システム始動

 

 【泉の女神】が酷い負け方をした後、沈んでいった場所から銀色の小さな〝鍵〟が現れた。

 その〝鍵〟は宙に浮かぶとそのままオリヴィアさんの元まで移動してくる。


「これが〝鍵〟か。随分と小さいんだな」

『こういう試練で手に入れるものだし、僕ももっと重厚な〝鍵〟を想像していたからオリヴィアさんの気持ちは分かるよ』


 ウサギと猫が言っていたあの時計は、教室に飾ってあるような時計とさして変わらない古そうな時計だから、それに使う〝鍵〟は当然それ相応のサイズという訳か。


「まあ何でもいいか。さて元の場所に早く戻って次の特効装備を手に入れなければな!」


 そう言うとオリヴィアさんが僕を抱え直してダッシュで移動し始めた。


『えっ、1つ〝鍵〟を手に入れたのに、また特効装備を狙いに行くの?』

「当たり前ではないか! 【典正装備】は4人までしか与えられないのだから、〝鍵〟を2つ手に入れれば確実に手に入るだろう」

『それは確かに』


 しかし今回の場合どうなるんだろうか?

 4人の貢献した人物に【典正装備】が与えられるけど、〝鍵〟は5つある上に〝僕〟を探し出す事も貢献したと言えるはず。

 まあ今回は僕が【典正装備】を手に入れられるような貢献はできそうにないから考えたところでムダなんだけど。


「さて、では急いで戻ってガチャを回すぞ! ボスを倒した事で〈クエスト〉が達成されて100連分のポイントがまた貰えたからな!」

『どんどんガチャが回せるのは良い事だ』


 ………………しかしおかしくないだろうか?

 ガチャに目がくらんでいたせいで今の今まで気が付かなかったけれど、オリヴィアさんが100連分のポイントが手に入ったと聞いて不思議に思ったんだ。


 どうして【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】側が率先してボスを倒せる装備を手に入れられる手助けをしているんだろうか、と。


 そういうシステムだからと言えばそれまでなんだけど、()()()()()()()

 具体的に何なのか、今までの出来事を振り返ってみればそれが何なのか掴めるだろうか?


「他の者に特効装備を引かれてはいやしないだろうか?

 まだあと4つガチャから排出されるはずだが、まさか全部出てはいないだろうな?」


 焦るように僕を抱えて走るオリヴィアさんは、特効装備が無くなっているかもしれない事を不安に思っているようだけど、あれだけの人間が引きまくってようやく1つ出てきたんだから、そうそう無くならないと思う。


「せっかく100連分手に入ったんだからガチャが出来ないのは困るぞ」

『心配し過ぎじゃない? というか、別にガチャだけじゃなくて【アリス】を探し出すことでも貢献できると思うんだけど』

「何を言っているんだ鹿島先輩」


 まあ僕なら【典正装備】目的なら【アリス】探さずにガチャ一択ではある。

 もっとも【アリス】は僕なので、今回に限ってはガチャよりも見つけることを優先してくれないと困るのだけど。


「【アリス】を探すよりもガチャの方が楽しいじゃないか」


 オリヴィアさんが僕みたいな事を言い出し始めた。


『楽しい楽しくないで【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】の試練に挑むのはどうなの?!』

「ボスを倒せば100連なら、上手くやれば500連回せるんじゃないか?」

『人の話を聞いて!?』


 僕を抱えているオリヴィアさんの様子がドンドンおかしくなっているような気がして、胸に抱かれておっぱいに埋まっている頭を何とか動かしてオリヴィアさんを見上げると、その目が漫画のようなグルグルとした狂気に満ちた目をしていた。


 明らかに様子がおかしいぞ!?


「よし、戻って来れたな」

『なっ!?』


 〈ガチャ〉の空間に戻って来れた事を喜んでいるオリヴィアさんだけど、もはやこの異常事態を気にしていないくらいおかしくなっているようだ。


「回せば出る回せば出る回せば出る」

「まだいける。課金システムが解放された今がチャンスなんだ!」

「〈クエスト〉でチマチマポイント貯めなくても一気に回せるなんて最高じゃねえか。支払うのは()()()()()()H()P()だがどうせここじゃ本人にダメージは負わねえしな!」


 周囲の冒険者や軍人が床に座り込んで全員がひたすらにスマホをタップし続ける光景は圧巻だけど、今とんでもない話が聞こえてきたのは間違いなく空耳じゃない。


『これは一体なんなの? 誰か説明を……!』

『『呼んだ(ニャ)?』』

『さっきまでなら呼んでないと声を大にして叫んでいた』


 横からにゅっと現れたウサギと猫のあまりのタイミングの良さに色々言いたかったけど、今はそれどころじゃない。


『これは一体何事なの?』

『分かってるだろ? 君の大好きなやつだよ』

『もっと分かりやすく説明してくれないかな?!』


 ウサギの言いたいことはもう周囲の人達からの声で何となく分かっているけど、キチンと説明して。


『しょうがないニャ。もう周囲の反応から察してる通り課金システムが導入されたニャ』

「ほう」


 オリヴィアさんがその言葉に反応し、僕にも見える位置でスマホを操作しだすと、そこには画面の半分を占めるカプセルトイの絵の中央にあった〈ガチャ〉の下に、新たに〈課金〉の項目が加わっていた。


 オリヴィアさんが〈課金〉の項目を選択すると、()()HP1に対し1ポイント貰えると記載されており、さらに『本当に課金しますか』と記載してあった。


 お金でポイントが貰えるわけじゃないならもう課金って言わなくない? HPを料金として徴収していると考えれば間違っていないのかな?


 いや、そんな事はどうでもいいか。

 それよりも見逃せない事が書いてあるじゃないか。


『最大って事は永遠にHPが減ったままって事じゃないの?』

『この世界限定でね』

『外に出れば元に戻ってるから安心するニャ。だけど一度この世界から出て入り直してもHPが減った状態に戻るニャ』


 だからここにいる人達は躊躇なく課金に手を出しているのか。


「なるほど。なら課金する事に何の問題もないな」

『レベルが高い人ほど有利なシステムだね』


 だけど何でHPなんだろうか?


 そんな疑問にふとウサギと猫を見ると、嫌な笑みを浮かべてこちらを見ていた。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 課金された資産ってどこに行く? 胴元だよな?って考えてラスボスの体力が増えるのではと考えた
[一言] 完全に鷲◯麻雀じゃねぇかぁwwwwww これは沼なんてなまやさしいもんじゃねぇぞwww
[一言] ガチャで当たったときは気持ちがいい 外れた分が多いと更に気持ちがいい つまり気持ちがいいは正義
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