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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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19話 再び【泉の女神】

 

 オリヴィアさんが歓喜の声を上げている中、他の冒険者や軍人は膝をついて心の底から落ち込んでいるようだった。


「あと、あと10連回せば絶対に出たのに……!」

「こんな事なら【穢されし泉の女神】ガチャを回すんじゃなかった……」

「くそっ、【廃課金への道】のくせになんで課金要素がないんだ。金ならいくらでも払うぞ!!」


 あ~うんうん。周囲の人達のその気持ち、よく分かるよ。

 まさに普段僕が普通のガチャを回してる時によく思う事だね。


 それにしても最後に聞こえた人の言う通り、【廃課金への道】なんてゲーム名なのに課金についての説明がないのはどう言う事なんだろうか?

 このタイトルで課金がないはずがないし、後で課金要素が追加されるようにでもなるのかな?


「よし、なら後は【穢されし泉の女神】を見つければ〝鍵〟が手に入るんだな!」


 おっと。それはそうとオリヴィアさんだ。

 このままだとあてもなく探しに行ってしまう。わざわざ秘密にする必要もないんだからボスの所に連れて行ってあげた方がいいよね。


『待ってオリヴィアさん!』

「ん? ああ、鹿島先輩達か。

 ふふん。残念だったな。〝鍵〟の1つは私が手に入れられそうだぞ」


 おおっ。こんなにも上機嫌で笑顔なオリヴィアさんを見るのは初めてな気がする。

 何と言うか普段はその容姿から大人びて見えるけど、今のオリヴィアさんは年相応の女の子が自慢しているみたいで微笑ましく感じる。


『それはいいんだけど、【泉の女神】ならどこにいるか僕らが分かっているから案内してあげるよ』

「ホントか!? い、いいんだろうか? 鹿島先輩達が特効装備なしで倒そうとは思わないのか?」

『いや、あれは無理』


 うん、ホント無理。

 今の段階では到底無理だし、勝ち目が今のところ見えないので、倒そうと思ったらかなり時間をかけてキャラクターを強化しないといけないと思う。

 それだったらオリヴィアさんに倒してもらって、早く僕を助けてくれる方がありがたいんだよ。

 それに【典正装備】は僕らはもう何個も持ってるから、何が何でも欲しいとは思わないし。


「鹿島先輩達がそれでいいのであれば、是非ともお願いしたい」

『うん、分かったよ』

「それでは先輩がオリヴィアさんを案内してあげてください。わたし達はまだガチャチケットが残ってますし、ここは【煩悩の仏】ガチャを回してみようと思います」


 ああ、どうせなら残っているのを使い切ってしまおうってことね。でも――


『僕もガチャを回すとこ見たいよ!?』

「見る意味ないじゃない。どうせ暇してるなら【泉の女神】の元にまで案内してあげなさいよ」


 確かにそうなんだけど、そうじゃないんだ冬乃!

 たとえ他人のガチャであったとしても、一喜一憂したいんだよ!


「ウサギと猫が特効装備なら必ず勝てるって言ってたから、オリヴィアさん1人で十分勝てる、はず。だから蒼汰君よろしく、ね」

「……今後も沢山ガチャを回す事になるから一喜一憂できる」

『居ても意味ないのですから存分に役立ってくるのです』

『アヤメが辛らつすぎる!?』


 くっ、ここは何としてもここに残ってみんなのガチャを見なければ。

 こうなったら駄々をこねてでもオリヴィアさんに少し待ってもら――


「では行くぞ鹿島先輩!」

『ええっ!? そんな!?』


 オリヴィアさんがオルガの背負うランドセルに乗っていた僕を鷲掴みして、無情にもこの場から連れ出そうとしてくる。

 くっ、この身体じゃまともに抵抗もできない……!


「あっ、そこの黒い渦に入ると【泉の女神】の元にいけますよ」

「感謝するぞ高宮!」


 ううっ、そんなぁ……。


 残念ながら僕に選択する権利などなく、涙目になってる僕の事など気にされずオリヴィアさんに強制的に持ち運びされ黒い渦を通ってしまう。


「それで、どっちに行けばいいんだ鹿島先輩?」

『もうこっちに来ちゃったら仕方ないか』


 〈ガチャ〉の空間から離れてしまった以上、もうさっさと道案内してあの空間に戻れるようにした方が良いね。


 僕は仕方なく道案内係を務めることにした。

 まあ音のする方に行くだけだから、道案内といっても大した事ないのだけど。


 ――シュッ、シュッ、シュッ


「ん? なんだこの音は?」

『あっ、オリヴィアさんにも聞こえてきた? この音のする方にいけば【泉の女神】の所にいけるよ』

「そうなのか。分かった」


 オリヴィアさんが音に反応してその方向へと歩いてしばらくすると、何故かまた墨を磨っている【泉の女神】に出くわした。


『むっ、また来ましたね。先ほど痛い目に遭ったというのにすぐ来るとはいい度胸――っと、おや? さきほど連れて来た者達とは違う方ですね』

「あの幽霊みたいな女性が【穢されし泉の女神】なのだな?」

『その呼ばれ方は好きではありませんね。まあそれはともかく、ここに来た以上問いましょう。

 私と戦いますか?』

「もちろんだ。私は戦う為にここに来たのだからな」

『いいでしょう。では参ります』


 ――イベント発生 【穢されし泉の女神】と戦闘になった!


 乃亜達の時のようにアナウンスが流れバトルが始まった。


『泉に落ちたのは――』


【泉の女神】がデフォルメ化した姿でもはや定番のセリフを――


 ――特効装備発動! 


 言い終わる前にオリヴィアさんのキャラクターの装備の効果が発動してしまった。


『ちょっ、まだセリフの途中……!』


 デフォルメ化している【泉の女神】が青い顔で困惑しながら、オリヴィアさんのキャラが持っている墨汁の入っている容器を見て待って欲しいと言わんばかりの目をしているけど、残念ながら僕らが何かを操作しているわけではないので諦めて欲しい。


 ――必殺技 汚染する墨汁


 大量の墨汁が地面に広がる水に流され、【泉の女神】は黒く染まった水の中へと徐々に沈んでいった。


『こんな負け方嫌あああああぁ!!』


 ――You Win!


 ……いくら特効装備だからって、前口上キャンセルして一方的に倒すのは酷くない?

 ただ装備を身に着けていただけなのに0ターンキルになってしまったので何とも言えない気分になってしまった。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女神が磨った墨がガチャに供給されてたならえらい墓穴やなぁ
[一言] 雑なバランス調整してるな運営w
[一言] あー分かります。私も、謎解き要素ないゲームなら、ボスの語りとかすっ飛ばすクチでしたね。 シリアスものほどその傾向がありました。ライターさんには悪いけど、どうせテンプレなので。
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